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オリジン賞SF部門受賞作

アメリカのゲームコンベンションとして著名なオリジン。そのオリジンで選ばれるオリジン賞は,アメリカのゲーマーの志向,アメリカのゲームマーケットの動向を見るための指標と言えます。

その中で1977年にSFゲーム部門が成立し,その後,ゲーム界のトレンドともに分類が離合集散を繰り返しているものの,20年あまりに渡って続いています。

ここでは,その受賞作の一覧をまとめてみました。
ミドルアースのボックス
1977年 ウォーオブザリング / SPI

記念すべき最初の受賞作は,SPIの「指輪戦争」でした。20世紀を代表するファンタジーとまで言われるトールキンの指輪物語を,あのSPIが余すところなくゲーム化したと評判の作品です。画像は,ゴンドアとサウロンを同梱したミドルアース三部作のパッケージです。

最初の受賞作がこの作品だったことは,様々な意味で感慨深いものがあります。このゲームは,いわゆるウォーゲームの要素だけでなく,キャラクターの冒険をも描いており,ボードゲームとRPGの折衷タイプの初期のものです。そういう意味で,様々な形態を取り得るSFゲームの象徴として,第1回の受賞作にふさわしいように思います。

メイデイのボックス
また,SPIというSFゲームのジャンルの確立,SFゲームの様々な形態の基礎を作り上げたメーカーの作品という点でも,第1回の受賞作にふさわしいでしょう。

そして,著名な原作とリンクしているという意味でも,ゲームのみならず活字や映像にも広がるSFというジャンルを扱ったSFゲームの特性を反映しています。


78 メイデイ / GDW

第2回の受賞作は,GDWのメイデイでした。これもまた,第2回の受賞作として指輪戦争と同じく感慨深い作品です。

メイデイは,それ自体が独立したボードゲームです。しかし,同時にRPGの勃興期にSFRPGとして一世を風靡した「トラベラー」のサプリメントでもあるのです。


画像はHJのライセンス版ですが,左下に赤字で「TRAVELLER」と刷り込まれているのがわかると思います。当時のRPGは風雲昇龍の如き勢いでしたので,このゲームも「トラベラー」のサプリメントとしての扱いの方が大きかったように思います。
シーボイガン市を食った怪物
79 シーボイガン市を食った怪物 / SPI

言わずと知れたコスティキャンの傑作ゲームです。

ゴジラ,ガメラ発祥の地である日本では人気を集めた作品で,訳付きで輸入された他に,TACTICS誌の付録にもなりました。プレイしたことのある方が非常に多い作品ではないかと思います。


人気があったのはアメリカでも同様だったようで,堂々の第3回の受賞作です。このゲームは原作も厳密な意味ではありませんし(あると言えば怪獣映画はみなそうなのですが‥‥),またシリーズゲームでもありません。そういった単発の作品が,SFゲームの出版数が今よりずっと多かった時代に受賞したのは快挙と言えます。

このほどオリジナルボックス版を入手したので画像を補充しました。
アザンティハイライトニングのボックス
80 アザンティハイライトニング / GDW

第4回にして,再び「トラベラー」のサプリメントゲームです。当時の「トラベラー」の勢いが偲ばれます。

メイデイは宇宙船戦闘でしたが,このアザンティハイライトニングは宇宙船内部での個人戦闘を再現しています。トラベラー世界のライトニング巡洋艦の内部を解剖し,そこを舞台としたゲームシナリオを様々に設定してあります。

カーウォーズのボックス
81 カーウォーズ / SJ

SFゲーム界のビッグネームとして,この時代から今に至るまで存続しつづけているのがスティーブジャクソンゲームズです。


その代表作として,版が変わるたびに世界が広がってきたのがカーウォーズです。最初は近未来の自動車戦闘のミニゲームだったのが,AADAという全米自動車決闘協会ができてしまい‥‥。


今ではタンク,ヘリコプターから,ボートまで登場する世界になってしまいました。


画像は1985年のフラットボックスのデラックスエディションのものです。この他にも様々な版があります。
イルミナティのボックス
82 イルミナティ / SJ

スティーブジャクソンの代表作のもう一方の雄が,世界制服を企む秘密結社の確執を描くイルミナティです。

その後,トレーディングカード化された「イルミナティ ニューワールドオーダー」なども登場しました。そして,近年,再びデラックスエディションが再版され,2000年のカウントダウンに間に合わせて「Y2K」という拡張キットまで登場しました。


世界制服はSFゲーマーにとって永遠のテーマなのでしょう。


83 ニュークリアエスカレーション / FB

ニュークリアエスカレーション
フライングバッファロー社は,存在感はもう一つですが老舗のSFゲーム会社です。


ニュークリアウォーに始まる核戦争シリーズは,同社の看板ゲームと言っても良いでしょう。ニュークリアエスカレーションは,第2作に当たります。そこで不思議に思って調べたのですが,第1作のニュークリアウォーは,なんと1965年の発売で,オリジン賞SF部門よりずっと歴史の古いゲームなのでした。その時代からフライングバッファローがあったということも合わせて,驚くべき長命さと言えます。


このほど首尾良く入手したので画像を補充しました。

ウェブアンドスターシップのボックス

84 ウェブアンドスターシップ / WE

ウェストエンド社は,80年代に台頭してきた新興勢力です。ヒストリカルシミュレーションからSFゲーム,さらにはRPGまで広く手がけました。しかも,そのいずれの分野でも80年代を代表する傑作をものにしました。


コスティキャンの「ウェブアンドスターシップ」は,まったく異質の星間文明の間の宇宙戦争を描いたSFゲームらしいSFゲームです。と同時に,3人プレイ用のゲームを標榜してデザインされた異色作でもあります。


捻りのあるシステムや,3人ゲームという特殊な設定で,これ以前の作品よりプラスアルファ,あるいは以前の作品のニッチを狙ったものです。そういう意味で,このあたりを境にSFゲームは第2段階へと移行したと言えるかも知れません。


85 ワビットワンページ / Pacesetter
ワビットワンページ
かなり以前に友人にインストしてもらってプレイした記憶では,農場を荒らすワビットたちと,農夫との一年間の戦いを描いた戦術級ウォーゲーム(?)です。

ワビットと農夫の一年間の戦いという題材と,それを大真面目に戦術級ゲームとしてデザインしているというミスマッチが強烈に印象に残っています。

このほど首尾良く入手したので画像を補充しました。

86 キングスアンドシングス / WE

キングスシングスのボックス
「キングスアンドシングス」も,80年代中興の祖ウェストエンド社の作品です。同時に,SFゲーム界では,これまたビッグネームの一人であるトム・ワムの作品でもあります。

まさしくタイトルの通り,王様となんでもかんでもが集うマルチプレイヤーズゲームです。


87
 アーカムホラー / Chaosium
アーカムホラーのボックス

臆病者のわたしは,ホラーというジャンルが苦手で,近年までクトゥルフとは関わりのない生活を送ってきました。そのため,この「アーカムホラー」もプレイしたことがありません。

どうやら怖いもの見たさでクトゥルフに近づいていく冒険者たちのゲームらしいのですが‥‥。


これ以上は,恐ろしくて書けません‥‥。

88 スカイガレオンズオブザマース / GDW

スカイガレオンズオブマースは、GDWのスチームパンクRPG「スペース1889」の火星艦隊戦ミニチュアフィギュアバトルゲームです。
1870年にトーマス・エジソンはエーテル飛行船で火星に不時着陸したことになっています。1889年はその19年後、英国領火星帝国において植民者たちの不満がいま正に爆発せんとしているようです。

89 スペースハルク
 / GW
90 ジーンスチーラーズ / GW

「スペースハルク」は、「ウォーハンマー40,000」の世界を舞台としたスペースマリーンとティラニッズの小規模船内戦闘を描いたミニチュアフィギュアゲームです。
「ジーンスチーラーズ」はその拡張キットです。このゲームには大箱の第2版が登場し、両者を統合して整理した形になったようです。画像はその第2版です。

91 コスミックエンカウンター / Mayfair

「コスミックエンカウンター」の初版はEONから出ていました。英国ライセンス版がGWから出ていました。メイフェアがこのゲームの整理された第2版を出したのが91年で、この第2版が受賞しました。

92
 ニュークリアプロライフレーション / FB

アメリカ人は核戦争ゲームが好きなのだろうかと思ってしまうのが、このニュークリアウォー三部作の第2作に続いての第3作「ニュークリアプロライフレーション」の受賞です。第2作から実に9年ぶりの登場でもあります。

93 マジックザギャザリング / WOTC

90年代のゲーム界での最大のトピックは、やはりトレーディングカードゲームの登場でしょう。
多くのカードを提供し、そこからプレイヤーがデックを構築するという新しい形態のゲームは、プレイヤーから継続的な購入を引き出すビジネスモデルとしても大成功しました。

94 ロボラリー / WOTC

前年に続いてリチャード・ガーフィールドのゲームです。こちらは、AHの「ガンスリンガー」を思わせるロボットのプログラミングゲームでした。拡張キットも次々に出たのですが、個人的には人気先行で押せ押せで発売された感が強く、もう少し練って欲しかった気がします。

95 ドラゴンダイス / TSR

「マジックザギャザリング」以降、乱立したトレーディングカードゲームでしたが、成功したものは一握りでした。そんな中、TSRがトレーディングダイスゲームを出したのが、この「ドラゴンダイス」でした。これも続々と拡張キットが出たのですが、個人的にはダイスのレアリティーに凶悪なものがあり興趣を削がれてしまいました。

96 カタンの開拓
 / Mayfair
97 ロボラリーグランプリ / WOTC
98 クリムゾンスカイ / FASA
99 門前のオークたち / JR
00 ザグレートブレインロバリー / Cheapass
01 リスク2210 / Hasbro
02 マーベルヒーロークリックス / Infinity Challenge


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