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リスク2210A.D.
RISK2210A.D.

一言で言えば‥‥

かつてゲームの4大聖典とも言われたリスクから時代の埃を吹き払い新しい息吹を与えた!
SF的なガジェットが上手く機能し、展開もダイナミックで面白い、原型を越えた新版

Revive the old big name "Risk" by removing dust and pouring new sci-fi gadget.
Honestly speaking, this is much more interesting and exciting than the old one..

プレイ人数 3−5人
プレイ時間 2〜4時間
ルール難度 ファミリーゲーム+α
デザイナー Rob Daviau, Craig Van Ness
入手状況 published 2001

古い革袋に新しい酒を盛って成功したリスク
リスク2210のボックス
「リスク」は、ゲームの4大聖典とも言われた古典です。ちなみに他の3点は、「モノポリー」、「アクワイア」、「ディプロマシー」です。
いずれも後継者を多く生み、その後のボードゲームの発展を生んだ傑作です。

「リスク」はその中でも世界を舞台にした地政学マルチとして多くの後継者を生みました。と同時に、そのことにより後継者に完成度で追い越されてしまい、他の3点以上に急速に陳腐化してしまったように思います。

しかし、その「リスク」が21世紀を迎えて、新しい時代を舞台に、新しいガジェットを加えて登場したのです。
時代は23世紀、舞台は前の大戦で荒廃した地球、それに加えて人類の新たな植民地である月です。
新しいガジェットは、5種類のコマンダーと、それに対応したコマンドカードです。
コマンダーは通常の部隊の3倍のコストを必要としますが、戦闘では6面体の代わりに8面体を使用できます。実際には8面体を使えること以上に重要なのが、そのコマンダーの種類に対応したコマンドカードを引いたり使ったり出来るようになることです。
コマンドの種類は、外交、陸戦、海戦、宇宙戦、核兵器の5種類あります。それぞれの能力に対応した凶悪な兵器や、効果的なイベントを引き起こせます。この存在により、プレイヤーの作戦により部隊の方向性が異なるようになり、多様な作戦やイベントが発生するようになりました。このため、ゲームは俄然、B級SFらしい賑やかで怪しい雰囲気を帯びてきます。

これに加えて、元来、リスクは攻撃側有利な戦闘システムを持っていて、各プレイヤーターンごとに勢力が激変します。これに様々な秘密兵器や作戦が輪を掛け、中盤以降はドラマドラマの連続となります。

リスク2210の実際のプレイ
リスクのセットアップ
先日、このゲームを初プレイしたのですが、上述の紹介の通り、大変、白熱した抱腹絶倒プレイとなりました。

左の画像はセットアップの状況です。わたしは緑色陣営です。このプレイでは、セットアップ時にランダムに置かれる前大戦の核兵器の影響で、旧中国に当たるエリアがすっぽりとノーマンズランドになってしまいました。
プレイではエリアをたくさん制圧することで、エネルギー(ゲーム中の通貨)や増援が得られます。このときに一つの大陸やコロニーをまとめて制圧するとボーナスが付きます。アジアは最大規模のボーナスが付くのですが、中国がノーマンズランドなため南北に分断されてしまい非常に制圧しにくくなっています。
そこでわたしは南北アメリカを拠点にヨーロッパとアフリカの橋頭堡を抑えて、大西洋を確保できるようにしてみました。黒陣営はオーストラリアからアジア南部とアフリカを制圧しています。青陣営はアジア北部からヨーロッパを制圧しています。この三つ巴の状況から新たな大戦はスタートしました。
リスクの新開拓地、月
南米と大西洋を抑えた我が緑陣営と、オセアニアとインド洋を抑えた黒陣営がゲーム序盤を優勢に進めます。青陣営はジリ貧となり苦戦します。この結果、青陣営は早々に地球を捨てて新天地「月」へと向かうことを決意します。青陣営が地球を諦めたことで、緑陣営と黒陣営は地上での雌雄を決するべくアフリカで激突します。しかし、共に体力に余裕があるため、消耗戦となって容易に戦線は動きません。
そうこうしている内に、青陣営は月を完全制圧してしまいました。その見事な状況を第2の画像として紹介しました。月は肥沃とは言えませんが、それでも完全制圧すれば大変な経済力をもたらします。これにより気が付くと青陣営が経済力トップに躍り出て逆転してしまいました。

青陣営が月から逆上陸して来るのを見て、緑陣営と黒陣営は現実に目覚めます。「月人の侵略だぁ!」、「ディアナさまの降臨だぁ?」
なんのことやらわかりませんが、緑陣営と黒陣営は遅まきながら月への侵攻を開始します。ところが、青陣営のダイス目は月面では異常に強く、容易に月の独占打開は果たせません。「低重力戦闘の訓練が足りなかったかぁ!」
しかし、青陣営の地球上陸も逆にダイス目さっぱりで青の優位も確実にはなりません。「6倍の重量を操り切れまい!」
ゲームは全部で5ターンなのですが、クライマックスの4ターン目を迎えて我が緑陣営は禁断の核兵器を月面へ大量に撃ち込むことを決意します。これにより月の青陣営の一角に隙間を作り、ついに上陸を果たします。
これに続いて黒陣営が極悪非道の禁制カード、「アルマゲドン」を投入しました。このカードにより全プレイヤーが手持ちの核兵器をコストなしで打ち合えるようになります。この解決はプレイヤーターン順なので、緑陣営は先に打つ機会を得て、それを黒陣営の核兵器コマンダーらがいる司令基地に打ち込みました。結果は全滅となり、これにより指揮官を失った黒陣営は打つ予定だった核兵器を打ち損ねてしまいます。
最終の第5ターン、財力に任せて先手を買った我が緑陣営は、核を持つ潜在脅威である黒陣営をボコボコにして核を発射する経済力を奪ってしまいます。後は青陣営の地球逆上陸をなんとか食い止めて辛勝しました。

地球で敗北した青陣営の月での劇的な復活。青陣営の地球逆上陸を睨んでの核兵器の撃ち合い。アルマゲドン発動で最初に打ち込まれた核兵器で司令官が死に野望のまま終わった黒陣営の核戦略。青陣営の月で異常に強く、地球で妙に弱いダイス目。レポートでは書き尽くせない、ドラマチックで面白いプレイとなりました。
旧リスクの長所は残して、そこに新しい要素を加えて鮮やかに仕上がった傑作と思います。

関連ゲーム / 類似ゲーム

MBの旧「リスク」を挙げておきますが、新「リスク」があれば良いのではないかという気もします。
「リスク」的な世界を舞台にした陣取りゲームとしては、新機軸が加わってかなり変わってしまっていますがMBの
「アクシス・アンド・アライス」や、AHの「ヒストリー・オブ・ザ・ワールド」があります。ここらへんはいずれもヒストリカルの範疇でしょうか。

SFゲームでリスク的な毎ターン豪快な陣取りが起こり得るゲームとしては、AHの「アメーバウォーズ」が挙げられます。また、XENOの
「寿司タラペノウォーズ」は架空戦版の「アクシス・アンド・アライス」的な存在のようです。「ヒストリー・オブ・ザ・ワールド」に相当するもので当分科会で紹介したものとしては「ヴィンチ」があります。

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