シーボイガン市を食った怪物
The Creatures that ate Sheboygan / SPI
ショートコメント
●あなたのデザインした怪獣で街を踏み潰せ!
●様々な特殊能力とパラーメーター設定で個性的な怪獣をデザインして人類側と対決してみよう
Wreck havoc with the monster you designed.
With a variety of special abilty and free parameters, try to make a fantastic crearure and fight against mankind.
published designed players time
1979 Greg Costikyan 2 1 hour
怪獣ゲームの古典

 「ゴジラ」、「キングコング」、「ガメラ」、「ウルトラマン」‥。
 巨大な怪獣やモンスターが都市を踏み潰し人類文明に警鐘を鳴らす。
 モンスター映画、特撮ヒーローものは、それ自体が一つのジャンルと言って良いほど一時は全盛を極めました。そしれこれを題材としたボードゲームも一群を成しています。
 その中でも古典的とも言える存在が、このSPIの「シーボイガン市を食った怪物」です。デザイナーは鬼才グレッグ・コスティキャンです。

 内容は右のボックスアートに言い尽くされている感もあります。
 怪獣を使って街を踏み潰し、逃げ惑う人々を追い回すのです。
 このゲームが成功し、今もクラシックとして残っている最大のポイントは、特定の一つの映画や怪獣だけでなく、怪獣物全般の汎用システムになっているところでしょう。
 つまり、怪獣は自由にデザインすることができるのです。
 基本的にはポイント式の買い物システムになっていて、ポイントを攻撃力、防御力、移動力、建物破壊力、そして特殊能力に割り振ることになります。
 この特殊能力のバリエーションが豊富で、いろいろな怪獣を作ることができます。それによってゲーム展開が大きく変わってくるあたりが面白いのです。
実際のプレイでは
 プレイ画像2枚はタイプの異なる怪獣でのプレイです。

 最初の画像は、飛行する妨害電波を出す怪獣です。「帰ってきたウルトラマン」の電波怪獣ビーコンをイメージしています。
 これは人間側から見ると非常に捕捉の難しい怪獣です。シーボイガン市には川が流れていて、地上ユニットは橋とトンネルでしか通過できません。この川を自由に渡れる飛行怪獣は此処で人間側の地上部隊を振り切って、勝手に暴れまわろうとします。

 次の画像は、攻撃力と防御力が高く、射程距離を持つ光線攻撃のできるロボット怪獣です。真っ向から人類側の地上部隊と対決する路線です。人間側の主力ユニットを射程攻撃で撃破して堂々たる勝利を目指す路線です。
 特殊な移動などはできないので、どうしても人間側に一角に追い込まれ、まともに撃ち合う展開となってしまっています。とは言え防御力も高いので、これはこれでそう簡単にやられはしません。

 「シーボイガン市を食った怪物」はシンプルでプレイアブルなゲームです。1時間ほどで終わりますので、いろいろな怪獣を手軽に試せます。肩の凝らないB級テイストの佳作として、いまなお怪獣物の古典として楽しく遊べると思います。
関連ゲーム

●モスラ対ゴジラ
ウルトラマン
●トーキョークライシス戦力なき軍隊
●スーパーモンスターショウダウン
●モンスターラベージアメリカ
封印の魔
ゲームシステムと怪獣設計
 基本的には移動/戦闘型のゲームシステムです。ちょっと捻りがあるとすれば、怪獣は移動の途中で攻撃力を配分して攻撃を実施できるところです。のっしのっしと歩きながら群がる戦車やパトカーを踏み潰していくイメージです。
 もう一つ工夫されているのは、部隊や群集を攻撃する攻撃力と、建物を破壊する建物破壊力を分けているところです。勝利条件は得点方式なのですが、建物を破壊しても、部隊や群集を踏み潰しても取ることができます。どちらの路線で行くかによって怪獣の暴れ方が変わってきます。

 最後になんと言っても魅力があるのは特殊能力でしょう。
 もし単純な攻撃、防御、移動のパラメーター割り振りだけだったら、恐らくこのゲームの魅力は半減していたでしょう。
 しかもルールで買い物ポイントの1/4以上を特殊能力に費やさなければならないとされています。このため、出てくる怪獣がどんな能力を奮うかは両軍とも注目するところとなります。
 特殊能力のいくつかを紹介しておきましょう。
●炎の息
 火を吐く怪獣というのはオーソドックスな特殊能力です。これによって建物に火がつくと火災と消火のルールが発動してゲームに消防隊も登場してきます。またデフォルトでは怪獣も火に弱いのですが、火に対する抵抗力という特殊能力が別にあって火のマスを自由に通過できるようにもできます。
●蜘蛛の巣を紡ぐ
 このへんはモスラの連想のような気がします。移動する代わりに蜘蛛の巣を紡ぐことでそのマスのユニットを封じ込め、そこを移動困難にしてしまえます。直接的な攻撃力ではありませんが、画像を見て分かるとおりビルの多いシーボイガンの街で、戦車やパトカーの移動を封じるには有用です。
●飛行
 ラドン、キングギドラ、ガメラ、ギャオスなど空を飛ぶ怪獣は少なくありません。ビルで移動が制約された都市の中で、飛行することで自由にどこへでも移動できることは大変な優位となります。と言っても人間側にもヘリコプターがあり、ある程度は飛行怪獣の移動を制約できます。ただし、ヘリコプターは想像が付く通り脆弱なのが難点です。 
●妨害電波
 人間側の反撃は、複数のユニットが攻撃力を合算して攻撃できます。これによって数を頼む人類側の攻撃も強大な怪獣に効果を挙げるのです。ところが、妨害電波は、こうした合算攻撃をスタックして同じマスにいるユニットの間だけに制約してしまいます。妨害電波で連携を妨げてしまうのです。これはわかりにくい能力ですが、高めの防御力とセットにして使うと、頑強きわまりない怪獣が生まれます。
●精神コントロール
 怪獣の精神コントロールによって人間側の一部のユニットが操られてしまうという能力です。これも使い方次第です。