4日夜の記録的な大雨により、自宅が床上浸水しました(涙)。以下、記憶を辿りながら、その時のドキュメント。
その日の夜、のんびり部屋でテレビを見ていたのだが、いつしかBSが全く視聴不可な状態になっていることに気が付く。今までも天候の条件によって映りが悪くなる事はあったが、まったく観られなくなったのは初めて。それぐらい強烈な豪雨だったと言う事だろう。今から思えば、これが最初の予兆であった。
続いて、台所から異音が聞こえてきた。流し台の下からボゴボゴっ、ボゴボゴボゴっ、という今まで聞いた事の無い音。水を流してみたが全く流れない。後で分かるのだが、この時点で排水の許容量を超えていたらしく、配管の水が逆流していたのであった。
その後、あまりの豪雨の音に外の様子が気になり、カーテンを開けて外を覗いてみた。そしてビックリ。既にベランダ一面に水がたっぷり溜まっていて、底面が見えない状態になっている。水位はサッシの敷居の高さに迫っていて、隙間から水が少しずつ染み出してきていた。慌ててタオルで蓋をするも、これが何の役にも立たなくなるまで、そう時間はかからなかった。
さすがにビビって、玄関から外の様子を確認してみる。ドアを開けてみると、マンションの廊下は川のような状態。偶然、隣のご主人もドアから顔を出していて「いやぁ、大変な雨だねえ」と会話を交わす。僕にもそのご主人にも、この後に起こる惨劇のイメージはまだ頭の中には無かった。
部屋に戻ってみる。サッシの隙間から水がシトーっと侵入している。かなり不気味な状況。慌ててパソコン(床置き)を奥の和室に移動。モデム、ルータを取り外して机の上へ退避する。雑巾じゃ追いつかない範囲まで侵入していたので、バスタオルで水を拭き取る。この時点でも、まだ何とか乗り切れるんじゃないか(多少、部屋は濡れるかも知れないけど)と思ってたような気がする。
再び玄関へ。かなりの勢いで水が浸入してきている。もうバスタオルなんかじゃ拭き取れない状況。家中のタオル、シーツなどをかき集めてダムを作る。しかし、あっという間に満水になる。そして決壊。水の流れが止まらない。止められない。
洗面器で水をかき出し始める。かき出した水を洗面所に流そうとするが全く流れない。仕方なく浴槽に水をかき出す。あっと言う間にいっぱいになる。気が付くと、風呂の排水溝からも水が溢れ出てきていることに気が付く。風呂場から廊下に水が溢れ出す。もうどうすることもできない。
部屋に戻ってみる。唖然。完全に水に浸っている。カーペットが浮き始めている。リビングはもうダメだ。和室だけでも救えないかと思い、今度は和室の入り口にバスタオル等でダムを作る。布団も畳んで押し入れに。リビングは和室よりも床が一段、低くなっているので、貯水池のようにドンドン水が溜まっていく。携帯電話とその電源を退避。
ここで突然、停電になる。漏電遮断機が作動したのだ。コンセントの位置まで水位が達したと言う事だ。真っ暗。慌てて懐中電灯を探す。見付かったが電池が入っていない。暗闇の中、今度は電池を探す。d足の感触だけで水位がかなりの高さまで達している事を感じる。子供用のプールの中を歩いているようだ。
電池が見付かった。暗闇に照らし出されたのはスリッパがプカプカと浮いている様であった。その他、CDやらライターやら細々したものが水面に浮いている。そして何処へとも無く流されていく。ベランダに溜まった水の水位が部屋の高さを超えている。水槽のようだ。状況が全く分からない上、真っ暗闇で殆ど何もする事ができない。椅子の上に膝を抱えて座り、煙草に火をつけた。悲しい笑いが込み上げてくる。後で気が付いたのだが、煙草を持ってた指を火傷してた。動揺してたんだろう。
ふと、和室は大丈夫か?と気が付く。暗がりの部屋に一歩踏み入れると、もの凄く不安定な感触。畳が水に浮いているのだ。浮き島のようになった畳の上にパソコンが置き去り状態になっている。ヨロヨロと畳の上を渡り歩きながら、パソコンをテーブル上に退避。和室ももうダメだ。完全に部屋中が水没している。
玄関の方から慌ただしい人の声。上の階の人がこの状況に気が付いて降りて来てたのだ。風呂場の小窓から外を覗く。マンションの廊下は腰の位置まで水位が達しているのが分かる。ドアを開ける事はできない。機転の効く人がいたもんで、デジカメで証拠写真をバンバン撮っている。
何にもする事ができず、ただただ椅子に座ってじっとしているしかない。1時間ぐらい、そうしていただろうか。もの凄い不安。また煙草に火を付ける。ラジオを付けてみるが、これと言った情報は得られない。外はどうなっているんだろう。
玄関の外から「もうドアを開けても大丈夫ですよ!」の声。ドアを開けてみる。もの凄い勢いで玄関に溜まった水が外へ流れ出て行く。マンションの廊下は電気が生きているようだ。外に出てみる。他の部屋の人も外に出てきていて。大騒ぎになってる。隣の奥さん、泣いちゃってる。そりゃ、泣くよな。お子さんを2階の部屋に避難させたようだ。
時間の経過とともに徐々に水位が下がってきて、やっと部屋の電気が復活。被害の全貌を見て愕然。浸水していない部屋が無い。全部水浸し。トホホ・・・。とにかく部屋に溜まった水をかき出さなきゃならない。近隣の方々に協力してもらい、必死のバケツ・リレーを延々と続ける。消防団もやって来て、電動ポンプで掘りコタツの穴に溜まった水をかき出す。もうバケツじゃかき出せない、って状況になったのは朝の4時。全部屋、水浸し&泥だらけ。家財、家電の多くが壊滅状態。
疲労困憊。ソファー(下の方が水に浸っているが、上の方は少し生き残ってる)に倒れて爆睡。朝9時。玄関からの呼び出し声で目が覚める。市の職員の人々が被害状況を確認しに来ていた。床上浸水の状況を説明する。以下、後始末の状況推移。
5日(月):会社に連絡。残っている水のかき出し作業。水没した家具、畳の搬出。ビデオ、DVDプレイヤー、スピーカー、掃除機、除湿器、布団乾燥機、アイロン、シンセサイザー、MTR、パソコンとモニター(昔のMac)の死亡を確認。その他、押し入れも含めて、地上30cmに置いてあったものは全滅。電気、ガス、水道局の職員が次々と訪れて、ライフラインに問題が無いかをチェックしていく。三鷹市の対応はかなり迅速であった。マンションのエレベーターも動かなくなってる。モーターがイカれたようだ。市が用意してくれた避難所に宿泊。実家に連絡。
6日(火):引き続き、残っている水のかき出し作業。水没した家財の搬出。殆どの家財を処分したので、部屋はガランとしている。かなり水は引いて来たが、もの凄い勢いで水っぽい&泥だらけである。近所の薬局でモップを買って来て必死に清掃。やってもやっても終わらない。生憎の天気なので乾燥も侭ならず。テレビ、冷蔵庫、ステレオは辛うじて生き残っていた。保険会社に連絡。どうやら火災保険のオプションに水害の条項もあるらしく、何かしらの保証は出るようだ。がしかし、担当員がてんてこ舞いらしく、いつ来訪できるか見通しが立たないとの事。
7日(水):市の職員の方に部屋の消毒をしてもらう。その後の拭き取り作業に追われる。建築業者による状況確認、工事費の見積もりを依頼。床と壁紙は全取っ替えが必要。除湿器を購入。最も被害の大きい和室を24時間体制で除湿&乾燥。ニュースを観て、三鷹市の降雨量は1時間に102mmという記録的なものだった事を知る。そりゃダメだろうて。杉並、荻窪辺りも被害が大きかったらしい。ウチみたいな半地下構造の建物は殆どダメだったらしい。あとで計ってみたら部屋の水位は最大で30cmを超えていた。避難所に宿泊。
8日(木):母親が様子を見に来る。差し入れのおにぎりにパクつく。コンビニ弁当で無い物を久々に食べた気がする。引き続き部屋の清掃&乾燥に励む。和室以外はだいぶマシになってきた。不必要な衣類を整理。工事のための引っ越しに備えて、要らないものはドンドン処分することにする。身軽にしとかないと後々、厄介だ。パソコン復活。
9日(金):避難施設の部屋の鍵を市役所に返却に行く。被災証明書の発行を申請。不必要な書籍をBOOK OFFに引き取ってもらう。弟が手伝いに来る。取りあえず、今できる事は殆どやった感じ。リビングルームの隅っこに寝床を確保。カーテンも捨てちゃったので、外から丸見え。
この1週間、働き詰めだったのでクタクタ&筋肉痛なのだが、取りあえず和室とキッチン以外の部屋は(見かけ上)復旧した。ただ、全体的に湿っぽい感じはする(当たり前だが)。殆どの家財を捨ててしまったので、部屋はすっかり空っぽになってしまったが、保険会社の状況確認と工事の日取りが決まるまで、何とかここで生活するしかないだろう。清掃&乾燥作業もこのまま継続する予定。台所を片付けなくては。
関係者各位にはご心配&ご迷惑をおかけしました。また、連絡してない方々には突然の報告で驚かれたとは思いますが、取りあえず無事にやってますのでご心配なきよう。思ったより落ち込んでないので大丈夫です。やらなきゃならん事は山積みですが、少しずつ立て直して行きます。月曜日から職場に復帰予定。この週末は・・・とにかく疲れたのでゆっくり休みます。おやすみなさい。