タイムトリッパー
Time Tripper / SPI Games
ショートコメント
●ヴェトナム戦争従軍中のティムの趣味は化学に電子に軍事史だった、彼はラジオをチューニングしてタイムマシンを作って‥
In South Vietnam in 1971, Tim had 3 hobbies, chemicals, electronics, and military history. He made time-machine from a radio.
published designed players time
1980 James F. Dunnigan 1-4 90+ minutes
時の旅人になろう

 「タイムトリッパー」は、SPIのミニゲームの中でもプレイして面白かったという点では「怪獣征服」と並ぶ懐かしいゲームです。

 冒頭に書いた通り、ヴェトナム戦争従軍中のティムは化学&電子&軍事史おたくで、上官の先任軍曹の覚えがよろしくなく、空き時間にせっせとラジオを改造してタイムマシンを作ってしまいました。
 そして、このタイムマシンを使って古今東西の有名な戦いの現場を見に行こうというのですが‥???

 ソリテアゲームではティムになって、ヴェトナム戦争の戦場から装備を一式持って時間旅行に出発します。行き先は出たとこ任せ、しかし、いずれも古今東西の著名な戦場ばかりです。しかし、考えは甘く、どこの戦場でも闖入者である彼は歓迎されません。歴史旅行どころか、戦場の混乱の中でタイムマシンと装備を掻き集めて、また次のタイムトリップに飛んでいくのが精一杯です。
 果たして彼は自分の所属する現代に帰りつくことができるのでしょうか?

 さらにタイムマシンは過去ばかりか未来へも誘ってくれます。そこでは、彼の持つライフルなど原始的に見えるような未来文明が待っていて、過去よりも一層危険なのです。
ファイナル・コメント
 ゲームのコンポーネントはミニゲーム規模ですから、登場する多彩なキャラに対してユニットは数種類しか用意されていません。ですから、猛獣と馬と飛び道具を持たない兵士と弓兵のユニットを、戦場ごとに見立てて使います。今なら全てをシルエット入りで用意するのかも知れませんが、逆にユニットを探す手間がいらないのでこれで良いのだと思います。

 敵のキャラは4つのパラーメーターで規定されているだけ、ユニットは使い回しの見立てなのですが、実際にプレイに参加すると不思議なことに各時代の戦場のフィーリングが感じられます。
 傍から見るといつも同じようなことをやっているだけなのですが、やっぱりクロマニヨン人とローマ兵は違いますし、これが二次大戦の銃火器を持つ兵士になるとまた全然違ってきます。
 飛び道具の有無、その威力、行動の敵対度合いの違い、人数、登場するときの隊形の違いなどで、様々な状況の差異があるのです。
 キャラクターメイキングの要素などもなく今にして思えば非常にウォーゲーム的なのですが、当時のプレイ感覚は斬新でロールプレイング的な協力プレイの醍醐味を初めて満喫させてくれたゲームとして個人的には印象深いです。
 素っ気ないコンポと戦闘ばかりが連続するゲームでありながら、不思議と満足度は高かった気がします。今回、レビューを書くに当って埃を払って遊んでみましたが、やはり面白いと思いました。
関連ゲーム
クロノノーツ
タイムパイレーツ
ダイノハント
タイムエージェント
タイムウォー
チームトリップが面白い

 「タイムトリッパー」はタイトル通り時間旅行をしてくるゲームですが、そこはSPI社のゲームですから主人公は軍事史マニアで、旅行先は古今東西の有名戦場ばかりです。
 時間旅行ものと言うと、往年のNHKで放映されていた「タイムトンネル」が子供心に印象が鮮烈ですが、あのイメージに非常に近いゲームです。
 時間旅行ものというと、筒井康隆の「時を駆ける少女」もありました。SFゲーマーの心をくすぐる題材です。

 実際のプレイですが、なんと言ってもチームトリッパーがお勧めです。二人から四人のチームでタイムトラベルをしていきます。
 戦場に辿り着くときに、メンバーは戦場にランダムにバラバラに投げ出されます。また、重量物であるタイムマシン(ラジオ)や、M1ライフルもメンバーの手を離れた散乱してしまいます。
 過去の戦場の真ん中に闖入者として登場し、いそいそと装備を掻き集めてタイムマシンを起動します。そして、戦場の主たちが襲って来ないうちに、次の戦場へと旅立つのです。
 メンバーや装備の配置もランダムなら、戦場の主である兵士や猛獣の位置もランダムです。時にはサーベルタイガーが目の前にいたり、戦闘準備の整った隊列の前に飛び出したりすることになります。
 そんな中で、「お前はタイムマシンを急いで起動しろ! オレは手榴弾で時間を稼ぐ!」というように役割分担をして窮地を切り抜けていくのです。チームプレイで敵と戦うという点では、近年ではクニッツアの「指輪物語」などと同じ作りですが、なにせ1980年の作品ですから、真に斬新なゲームでした。
 チームプレイで協力していくことが重要なのと同様に、プレイ開始時点で装備品をどう選択し、これをどう分割所持して運用していくかというマネージメントの部分も重要です。RPG的な個性付けのパラメーターまではないのですが、それでも戦闘要員と操作要員のような役割分担が不思議とできていきます。
 戦場は恐竜のいる時代から未来のタイムポリスが組織されている時代にまでまたがっています。過去の有名戦場も、メギドーやトロイから、ゴラン高原にまで及びます。
 したがって敵もティラノサウルスやサーベルタイガーから、古今東西の兵士たちから未来のタイムポリスまでいろいろです。
 上の画像はクロマニヨン人のバッファロー狩りの場に遭遇してしまったところです。
 続いて右の画像はザマの戦いで、狂乱した象がローマ軍戦列に飛び込んで暴れているところに飛び出してしまいました。