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タイムエージェント
Time Agent / TimJim games-Prism games

一言で言えば‥‥

タイムマシンで過去に遡り銀河の歴史を自種族に有利に改変せよ

都合の良い歴史ができたらタイムマシンを根絶して歴史を確定せよ

こんなゲーマーにお薦めしたい

タイムパトロールものSFを愛する貴方に!

ルール学習の負荷が軽くて,それでいて斬新なSFゲームを求める方に

プレイ人数 4−6人(ブラルティ族の有無で雰囲気が大きく変わる)
プレイ時間 2−6時間
ルール難度 初級SFゲーム(かなり独特)
デザイナー トム レーマン
入手状況 流通在庫のみと思われるが,国内,米国ともまだありそう

タイムエージェントの設定

タイムエージェントのボックス
銀河に圧制を揮うブルドッグのような姿のブラルティ族。ルー族が戦闘要員として開発したブラルティ族は,その戦才を如何なく発揮して現在の地位を築いた。

彼らの前にかつての銀河の支配者であったザイタール族も,ブラルティの開発主であったルー族も,また後からやってきた新興勢力である人類も敗北した。ブラルティの銀河での優位は不変のものと思われた。

だが,そんなときにザイタール族がタイムマシンの開発に成功した。これさえあればブラルティの支配を覆せる‥‥。彼らは近い過去へと遡り自らの種族の地位が向上するように歴史を改変し始めた。近過去の改変で獲得した経済的復権を足がかりに,彼らはさらに遠い過去にある決定的な歴史の分岐点,ブラルティ−ザイタール戦争の結果を反転させようと考えていた。

だが,このことに気づいた他の種族もタイムマシン技術のスパイ,模倣に力を注ぎ,あっという間に銀河の覇権をめぐって時間線を遡って6種族が争う時間戦争が勃発してしまった。

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タイムエージェントのシステム
タイムエージェントのイベント
タイムエージェントのゲームシステムは,タイムパトロールものの本質を捉えたものになっています。

その中核を成すのが過去のイベントを示すタイルです。左の図はボード上のイベント説明です。左上の凡例に示されているように,ブラルティ,その同盟者であるフィオリ,人類,ブラルティの製作者であるルー,ルーに作られた文官系の奴隷生物であるヴェネブ,かつての銀河の支配者ザイタールの6種族に対する,経済的影響と支配力への影響とがイベントごとに示されています。

右下のクローニングと,キリルアンブッシュのそれぞれに振られている7aとか7bという符合は,そのイベントが発生した時空領域を示しています。アルファベットが若いものほど大過去に属しています。

イベントの周囲の凡例に示された位置に振られている数字はそのイベントが歴史通りに発生した場合の各種族への効果です。クローニング技術はルー族が開発したもので,彼らはこの技術により銀河で優勢を一時築きました。そのため,このイベントにより経済効果+6,支配力+4を得ています。

逆に白抜きの数字はマイナスの効果を示しています。キリルの待ち伏せは,銀河種族として名乗りを挙げた人類が強大なブラルティに緒戦で敗れたあと,待ち伏せにより一矢報いたい局面です。これが歴史通りに発生することにより,人類は大きなポイントを挙げます。逆に,ブラルティや,ルーなど他の銀河種族はこれによりマイナスの影響を被ります。

こうしたイベントがタイムエージェントの活動で反転すると,この数字の効果が失われます。したがって,クローン技術が時空系列の中で位置特定され反転されるとルー族は経済力を6ポイント失い,支配力を4ポイント失うのです。
タイムエージェントのマップ
右の図はボックス裏のプレイ例の図です。灰色の時空領域符号の六角形はまだめくられていない時空タイルです。いずれかのエージェントが侵入した時点で初めて歴史の真相が明らかにされます。

すでに開いているタイルに描かれた放射状のルートは,銀河の基幹発明の流れを描いているものです。内側の一本線と外側の二本線には機能的な差はありません。この基幹発明のフローは二つの役目をゲームで果たします。一つは,過去に侵入しているエージェントが時空を移動する経路として利用できるのです。一回の移動で,同じ基幹発明のルートで連続している限りどこまでも移動できます。つまり,歴史の流れを利用して移動できるのですね。

もう一つの役目は,基幹発明を現在も存在させるための役割を果たしています。たとえばタイムマシンの原発明がされたタイルから現在までタイムマシンのルートが連続していればタイムマシンは現在も有効な技術たりえるのです。逆に言えば,この連絡がすべて途絶えるとタイムマシンは現存しないものとなります。かくて過去の改変は不可能となり,歴史は固定されてゲームが終了するのです。

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タイムエージェントの難点

タイムエージェントには6つの種族が出てきますが,それぞれに個性的な存在です。

ブラルティ族はゲーム開始時点において圧倒的な経済力と支配力を持っています。しかし,そのために他の全プレイヤーを敵に回して序盤をプレイすることになります。彼らが銀河の支配者となるには幾多の星間戦争を勝ちぬいてきており,逆に言えば歴史を改変されることで失うものが多いというのが彼らの弱点です。

ザイタール族やルー族には,ブラルティ族と反対のことが言えます。彼らはブラルティが支配者となった歴史を覆すため,懸命の努力をすることになります。

ヴェネブ族は他の種族と異なり銀河の哲学者として軍事や政治から遠ざかることで自らの存在場所を銀河に確保した歴史を持ちます。彼らは経済的基盤を持たず,これを回復するためには哲学者としての地位を捨てねばなりません。右上の例にあるヴェネブフィロソフィー(ヴェネブ哲学)のイベントがこの焦点です。これを覆すことで,経済的基盤を確保できる一方で,銀河での影響力を失うことになります。彼らは自分たちの哲学を一度は覆して経済力を確保し,それをもって支配的な地位を築いてから再び哲学へと回帰することを目指さねばなりません。彼らは気難しい存在ですが,そのプレイの仕方もまた難しいと言えます。

人類は比較的新しい存在であり,そのため大過去にはあまり利害を持っていません。このため大過去で死闘を繰り広げる他の種族とは異なる近過去の領域で行動することになります。このため,どちらかと言えばソロプレイ的な印象があるようです。敵と衝突しにくいというメリットの一方で,歴史が浅いため歴史改変で大幅な地位向上が望めないという弱点もあり,他の勢力が団子状態になってくれないと勝機が出てきません。

こうした個性的な種族が争う時間戦争を,それにふさわしい独特のシステムで描いているのがこのゲームの素晴らしいところです。SF色の強さ,高い独創性,良好なプレイアビリティー,ガジェットの豊かさなどいずれをとっても水準が高く,近年の傑作SFゲームの一つです。

ただ,その一方で,シチュエーションが非常に固定的であるという難点があります。こうした多人数の戦略的なボードゲームでは,マルチシナリオなものが多いかと思うのですが,このゲームはそうはなっていません。人数が足りないときのためにいくつかの提案がなされていますが,基本的には本線ではないでしょう。

そういう意味では6人でのプレイが本線で,譲っても5人プレイで人類を抜くオプションくらいまでが本来の醍醐味かなという気がします。プレイ人数の確保がこのゲームを実際にプレイする上での最大の障害になることでしょう。

関連ゲーム / 類似ゲーム

時間戦争のゲームとしては古典的傑作ヤキントのタイムウォーがあります。最近の作品としては、ルーニーラボのクロノノーツというカードゲームがあります。

」タイムトリップ系のゲームとしては,SPIから
タイムトリッパーというゲームが出ていました。これは言ってみれば往年のTV番組「タイムトンネル」の戦闘中心版と言ったゲームです。なかなか人気のあった作品です。

この他にはファンタジースゴロクとして有名なGWのタリスマン第2版の拡張キットの第5弾にタリスマン第2版タイムスケープというのがありました。これは時空嵐に巻き込まれて様々な時代のキャラクターがタリスマン世界に混入してくる拡張キットです。

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