タイムウォー
Time War / Yaquinto

一言で言えば‥‥

時空間を内過去へと遡り、歴史の流れを自らの有利に引き寄せよ

時間戦争物の古典ゲームだが、その輝きは今もなお色褪せてはいない

You must stream down the time-line and change the history as you want.
strongly recommended as a classic of time-traveling sci-fi game.


プレイ人数 3〜4人
プレイ時間 2〜4時間
ルール難度 初級ウォーゲーム
デザイナー J・ステファン・ピーク
入手状況 海外中古ショップとオークションが頼み

タイムマシンに乗ったかのようなタイムウォー入手
タイムウォーのボックス
さきごろ海外オークションで長年探していた「タイムウォー」を手に入れることができ、念願叶ってついにプレイすることができました。

インターネットオークションについては弊害も言われますが、やはり売りたい人と買いたい人を空間の制約なくダイレクトに繋ぐことのメリットは素晴らしいと思います。もう手に入らないと諦めていた往年のSFゲームを手に入れる機会が、再び生まれたのですから。

それにしてもこのゲームの発売年は1979年、実に22年前となります。その諦めかけたゲームが今になって手に入るとは、まさにタイムマシンに乗ったかのような気分です。

ヤキント社は当時はかなりの量のSFゲームを出しており、このサイズのフラットボックスとして、「シューティングスター」、「スターフォール」、「マリーン2002」、「ビーストロード」などがありました。その中でもこの「タイムウォー」は時間戦争という題材を扱った珍しい作品で、90年代に入ってティムジム/プリズムから「タイムエージェント」が登場するまで、このテーマのトップゲームであり続けました。

ボックスアートには2種類があるようで、右の図は今回プレイした初版のものです。この他に「タイムエージェント」風のタイムマシン技術者たちのイラストの二版のものが存在しています。内容には特に大きな違いはないようです。

タイムウォーのシステム
タイムウォーのプレイ
左の画像が、実際のタイムウォーのプレイの風景です。中央の同心円が過去の時空を表しています。外側が現代で、過去へ進むほど中心に近づいていきます。
各プレイヤーのタイムマシン設備は四囲に位置しており、ここから過去へ向かってオペレーティブ(作戦員)を過去へと送り込みます。
同心円には軸線が描かれています。各時代の円のいずれかの軸線との交点に矢印マーカーが置かれているのがわかるでしょうか? これがその時代の蓋然性の内、現時点で実現しているものを表します。
オペレーティブを送り込んで歴史改変を行うことで、この矢印を回転させたり、自軍の支配が及んでいる証拠として自軍の色の矢印に置き換えたりすることができます。
このとき面白いのは、ある時代の矢印が回転すると、それより未来方向の矢印はすべて同じ角度だけ回転するということです。このため、深い過去をねじるといっぺんに多数の時代の矢印が一斉に動くことになります。

勝利得点は、個々の時代の矢印が自軍に都合の良い軸線に近い角度に位置しているかどうかで得られます。現代に近いところほど得点が高くなっています。つまり、プレイヤーにとっては今が都合の良い現実になっているかどうかが最大の問題なわけです。
また別の問題として、時代によってオペレーティブの歴史改変の難易度が異なります。現代に近い時代では、その時代のテクノロジーが高いため、その時代の抵抗が強く変更が難しくなります。しかし、どのように改変を加えると、それが現代にどういう影響を与えるかは理解しやすいので、望む方向に制御することは容易です。
その一方で、過去になると抵抗は弱いので改変すること自体は容易なのですが、それがどういう影響を与えるかは予測しにくくなります。たとえばティラノサウルスを早めに駆逐したからと言って、それが現代での自軍勢力の拡大に役立つかどうかは良くわからないのです。なんらかの影響が出るであろうことは想像に難くないですが‥‥。

また、先ほども述べた通り、過去が動くとそれより新しいすべての時代が動くというのも曲者です。このため、基本的には影響の読みやすいはずの近過去の改変も、もっと過去での乱暴な改変の煽りを受けて頓珍漢なことになってしまうこともあるのです。
ここらへんの時間戦争の仕組みは、なるほど時間改変というものの醍醐味を感じさせてくれます。こうしたいかにもSFらしい基本的なゲームシステムが、プレイしても面白く出来上がっているところがこのゲームを傑作にしています。



タイムウォーの難点

実は、まだ基本ゲームしかプレイしていません。
基本ゲームではプレイヤーは全員、最初から大過去まで介入できる最高性能のタイムマシンを持っています。このため、どこらへんから介入するかはプレイヤーの作戦次第となっています。これでも十分面白いのですが、少々、ストーリー性に欠けるところがあります。

選択ルールでは、最初は近過去にしか旅行できないタイムマシンからゲームが始まり、タイムマシンの開発もしていけるようになります。そうなると序盤は制御しやすい近過去で勝負し、そこで乗り遅れた陣営が逆転を狙って、より大過去から全体を回す作戦に転換して深く潜っていくようになる‥‥のではないかと思います。
おそらくはこの方が面白いのではないかと思います。

また前項で説明しませんでしたが、現代でのオペレーティブのトレーニングルールなどもあり、ここらへんもプレイアブルでありながら面白いものになっています。

とまぁそんなわけで、まだ醍醐味のすべてを味わい尽くしていないのですが、非常に良くできたゲームと思います。
このゲームが良くできていたことが、時間戦争もののゲームが長年出なくなってしまった原因にもなっていたかも知れません。そうした意味では、後続の追随を許さず、後続を断ってしまったことが罪かも知れません。

この時代のゲームに共通の問題ですが、入手が難しいというのはいわずもがなでしょうか。

関連ゲーム / 類似ゲーム

ティムジム・プリズムのタイムエージェントは、このゲームとともに時間戦争テーマの2大傑作でしょう。プレイアビリティという面で「タイムウォー」、銀河史のガジェットの醍醐味で「タイムエージェント」というところでしょうか。

この他に最近の作品でルーニーラボのクロノノーツ
が歴史改変カードゲームです。また、創作ゲームのFULL-NESLONブランドで「HISTORY」も改変可能な歴史構成カードゲームでした。

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