タイタン
Titan / AH games
ショートコメント
●盤上を移動してモンスターを召還して軍団を編成、徐々に強いモンスターを得て戦術マップで激突していくゲーム
●独特のアブストラクトなマップ、重要な進化の道筋、把握しておくべき戦術マップの運用、テクニカルで面白いゲーム

Wandering to hunt the monsters, getting stronger monsters gradually, fighting on the tactical map.
Unique abstract map, important evolution system, utilizing advantage of tactical map terrain. Interesting technical game.
published designed players time
1982 J.B. McAllister, D.A. Trampier 2-6 2-6 hours
 左の図が、全体の戦略ボードと、モンスターを召還する進化チャートです。
 このゲームの概要が先に予告されていた時点では、もっとファンタジーの王国のリアルなマップのようなものを想像していたものです。ところが、箱を開けて出てきたのは三角形を組み合わせたようなアブストラクトゲームのようなマップでした。
 三角形を結んでいる鍵模様は移動の制限を表していて、三角の連結に沿って原則として移動しなければなりません。
 丸の連結は移動開始時であれば選択可能な進路、四角の連結は移動開始時に必ず進まねばならない進路です。
 このへんのマップのルールと運用は、非常にアブストラクトゲーム的でテクニカルなものになっています。
 ハントチャートは、このゲームでもっとも重要なものです。ゲームで最初に与えられるモンスターは、オーガ、ケンタウロス、ガーゴイルです。これは進化の最末端に位置する下級モンスターたちです。
 進化チャートは各地形ごとにそこで得られるモンスターを示しています。チャートに合致する種類のモンスターを持っていれば、それと同じモンスターが得られます。さらに、そのモンスターを左に書かれた数字だけ持っていれば一覧下の強力なモンスターが得られるのです。
 最強のコロッサスは、火山とツンドラでのみ召還でき、そこに至る進化の過程は長いものです。チャートを十分に把握して、長期的な視点で軍団編成を進めていかなければなりません。
独創的なモンスター軍団の戦闘ゲーム

 「タイタン」は、一部に根強い人気を誇るモンスター軍団の戦闘ゲームです。
 プレイヤーは、タイタンと呼ばれる魔法の国の君主となり、最初に与えられた下等なモンスターたちを率いてゲームを始めます。全体の戦略ボードはアブストラクトなボードになっていて、様々な地形がタペストリーのように配置されています。
 このタペストリーのような地形を移動することで、移動終了した地形と、既に所有しているモンスターの種類によって新たなモンスターが召還できるのです。
 下等なモンスターを複数持っていることで、それより上のモンスターが召還でき、さらに中級のモンスターを複数持つことで上級のモンスターが召還できるようになります。最上級のモンスターであるコロッサスを召還するには、上級のモンスターを持って盤中央の険しい火山とツンドラへと踏み入って行かねばなりません。
 こうして編成したモンスター軍団を使って他のプレイヤーのモンスター軍団と激突していきます。相手の軍団を撃破することでタイタンは新たな力を身につけていきます。そして最後に盤上に最強のタイタンだけが生き残るまで戦い続けることになります。
ネガティブ・コメント

 思えばこのゲームと前後してAH社からは随分と多くのファンタジー/SFゲームが立て続けに登場しました。「ウィザーズクエスト」、「マジックリオーム」、「ドラゴンハント」、「アメーバウォーズ」などです。さらに、SPIからのライセンス復刻である「フリーダム・イン・ザ・ギャラクシー」なども同じ時期に登場しました。今にして思えば、AHの中興期であり、ファンタジー/SFゲームの豊作期でした。
 そうした事情を踏まえて見ると、このゲームは同時期に出たファンタジーとSFのマルチの傑作「ウィザーズクエスト」や「アメーバウォーズ」と比較されざるを得ません。そうしてみたときに「タイタン」には欠点とまでは言わずともアクの強さが目立ちます。
 第1にアブストラクトでテクニカルな戦略ボードが、シミュレーションゲーム的でなく、当時の比較的狭かったシミュレーションゲームのデザイン手法からすると違和感が強かったことです。
 第2に戦術マップで個別の戦闘を解決することもあり、プレイタイムがかなり長く掛かることです。
 第3に戦略移動、モンスターの召還戦略、戦術マップでの地形の運用など、テクニカルな要素が多く、このゲームを研究しているプレイヤーに初心者が太刀打ちしにくいことです。
 このため、このゲームは今でも愛好家の間で根強い人気を持つ一方で、万人向けのゲームとしての成功は収めなかったように思います。
関連ゲーム
エイジオブミソロジー
ウィザーズクエスト
●マジックリオーム
●ドラゴンハント
アメーバウォーズ
ウルズッペ
ウルランド
戦術マップでの戦闘

 召還したモンスター軍団を使って他のプレイヤーの軍団と戦うことになります。
 敵のモンスター軍団と同じマスに進入することで戦闘は開始されます。そうすると両軍はそれぞれの地形ごとに用意された戦術マップに移って戦うことになります。
 右の画像はジャングルです。手前側はジャングルの地形を得意とするサイクロプス、ベヒモス、そしてジャングル地形の進化の終点に位置するサーペント軍です。このサーペントに至る進化の道は、「蛇道(邪道)」とも呼ばれ、王道であるコロッサスに至る道とは交わることのない行き止まりの道です。とは言え、サーペントまで行き着くとそれなりに強力です。
 奥側の侵入者はオーガとミノタウロスの軍勢です。ミノタウロスは王道のコロッサスに至る過程に位置するモンスターです。ゲームの長期戦略上、重要な位置を占めるモンスターです。
 王道に至る過程のミノタウロス軍を、邪道とは言えその系列の頂点に位置するサーペントが得意の地形で迎撃に成功するかどうか中盤のポイントになる戦闘を迎えています。