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原始スープ
Ursuppe / Doris und Frank

一言で言えば‥‥

原始生命となって太古の海で優勢種となることを目指す生態系ゲーム

進化次第で様々な能力を身につけるのが面白い

こんなゲーマーにお薦めしたい

生態系シミュレーションを面白いと思う方に

奇抜なゲームを求め,数時間かかる多人数ゲームも苦でない方に

プレイ人数 3−4人(かなり雰囲気の違うゲームになる)
プレイ時間 2−4時間
ルール難度 中級マネージメントゲーム
デザイナー ドリス・マシューズ フランク・ネステル
入手状況 ドイツ本国では発売中,国内でも取り扱い店あり

ウルズッペの設定

ウルズッペのボックス
古の地球。生命が生まれてまだ間もない頃,そこでは舞台に登場したばかりの生物たちが激しい生存競争を繰り広げていました。

その様子を再現したボードゲームがこの「ウルズッペ」です。プレイヤーは,それぞれ生存競争を繰り広げる生物の一種となって,自分の種の生存,さらには繁栄を目指します。

生物は,移動し,食べ,排泄し,繁殖し,そして進化して行きます。時に環境が悪化すると退化したりもしますが‥‥。

このゲームでは毎ターン生物の状態を判定して得点を計上します。個体数が多いほど点数が高く,また高等に進化した状態であるほど点数が高くなります。各ターンの得点を累計していき,目標点数に到達した生物が出た時点でゲームが終了し,最高得点の生物種のプレイヤーが勝利します。

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ゲーム展開を千変万化させる個性豊かな進化
ウルズッペの進化カード
このゲームを面白くしている最大の要素は,進化です。生物は基本的な「食べ,排泄し,繁殖する」能力しか最初は持っていません。これに対して進化カードを買うことで様々な追加能力を得ることができます。

左側のカードは,その一例です。いちばん左側のものは,生存競争の能力です。通常,生物は他の生物の排泄物を摂取して生きているのですが,この能力があれば生物を襲って食物とすることができるという凶悪な攻撃能力です。

次のものは知性です。知性は何も役に立ちません。ただし得点判定の時に進化しているほど点が高いという判定には含まれますので意味はあります。知性は原始の海で生き残るのに役には立たないが,それでも進化の一形態であるというあたりには,一種の風刺が感じられるような気もします。

最後のものは移動能力の最初の1段階です。生物は最初はほとんど風に流されるままでごく未熟な移動能力しか持っていません。しかし,この能力を身につけることによって能動的に移動できるようになります。こうした基本的な能力さえ進化カードによって身につけなければならないというところが,いかにも太古の海の生物黎明の時を再現したゲームと感じさせます。
ウルズッペの進化カード
右側のカードも進化カードです。いちばん左側のものは,増殖能力です。「産めよ殖やせよ」という能力で,他の種よりも容易に個体数の増殖を行えるものです。

その次は長寿の能力です。他の種よりも寿命が長いということです。生物は飢餓にさらされると衰弱し,もう一度衰弱すると死んでしまいます。ところが,長寿能力を持つ種の個体は,さらにもう一段階もちこたえることができます。

最後は触手の能力です。生物は他の種の生物の排泄物を食物としています。この時,生物は行った先々で食料を確保します。移動できるものは自分で行き先を選び,そうでないものは基本的に風まかせです。いずれにせよ行った先に必要な食料があるとは限りません。この触手の能力は現在いる場所にあるいくつかの食料を触手で取りこんで移動の際に持って歩けるという能力です。かなり奇妙な能力ですが,上述した通り飢餓は個体の衰弱や死亡に結びつくので,非常に有用です。

各生物種は,こうした進化カードを順次購入していき,それぞれに個性的な生物種へと進化して行きます。

このゲームで良くデベロップ/テストプレイされていると思うのは,その枚数設定が絶妙なことです。どの能力も枚数制限が厳しく,全員が買うことはできません。基本的な能力は大目に設定されていますが,特殊なものは1枚しかないものさえあります。そのため,それぞれの生物種は必然的に異なる方法で進化していかなければなりません。

そのため太古の海は個性豊かな生物がそれぞれの能力を競い合う場となるのです。そして,進化カードの組み合わせにより思わぬ相乗効果や相殺効果が生まれ,ゲームをプレイするたびに新しい展開が発生します。かくして太古の海は,いつも新鮮な驚きに満ちているのです。

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生態系シミュレーションとして,マネージメントゲームとして

このゲームはいくつかの側面を持っています。題材としては,生態系シミュレーションと言えます。生態系シミュレーションとして有名なゲームに「LIFE」があります。碁盤目に区切った空間に生物の有無を1/0で表示し,次の世代へ移る際にその空間の周囲の生物の個体数をカウントして3−4なら生存,それ以下なら過疎死,それ以上なら過密死というものです。数学関係の書籍や,コンピュータープログラムの入門本などに良く載っているのでご存知の方も多いでしょう。「ウルズッペ」もまた,もっと複雑ではありますがそうした生態系シミュレーション的な要素を持っています。ですが,空間が狭すぎて生物種間の競争が激しく,むしろ進化能力を尽くして生物種が争う部分が支配的です。その意味で,やはり「ウルズッペ」はボードゲームとしてデザインされていると言えます。

もう一つの側面として,マネージメントゲームとしての要素を持っています。ゲーム的には,進化も個体数も各ターン終了時の得点計算で得点に換算されます。ですから,進化カードの購入も,個体の増殖も,得点を獲得するための投資とみなすことができます。進化カードは個体の生存能力を上げて長いターン数にわたり得点に寄与させるための改善投資としての側面も合わせ持っています。そうした観点で見ると,進化カードの購入も,個体の増殖も投資案件として吟味することができるのです。マネージメントゲームが得意な人は,ウルズッペでも手強いことが多いようです。

最後にB級SFゲームとしての側面を持っています。「ウルズッペ」の太古の海は,実際の太古の海のモデルというよりは,そこに題材を得て面白そうなガジェットを詰め込んだ架空の海です。そこで生まれて来る進化の組み合わせには,凶悪無比なものから抱腹絶倒なものまで千差万別です。こうした奇怪な進化生物を作る感覚は,B級SFゲームマインドの一つのコアと言えるでしょう。採算をある程度まで看過しても,自分の好みの進化カードを集めて奇妙な生物を試してみるのも興味深いところです。

関連ゲーム / 類似ゲーム

生態系シミュレーションとしては,「LIFE」があります。

「進化」や「適者生存」を題材としたゲームとしては,EONの「クワークス」や,MOSQUITO SPILE/AHの「ティラノ エックス」があります。また、ユーロゲームズの新作エヴォもこの題材です。

様々な奇怪な能力の生物種がぶつかり合うゲームとしては,EON/ツクダ/GW/Mayfairのコスミック
エンカウンター
があります。特に複数の種族のカードを持ってプレイする選択ルールを使用してプレイすると,「ウルズッペ」と近くなるかと思います。

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