エヴォ
Evo / Euro Games

一言で言えば‥‥

気候の変化に対応して土地を移動しながら進化する恐竜たち
種族全体をマクロで捉えた進化ゲームの新機軸システム


While moving to find the favorite weather, Dinosaurs are getting evolved.
Innovative evolution-game system which cover the problem from viewpoint of species.

プレイ人数 3人〜5人
プレイ時間 2〜3時間
ルール難度 ファミリーゲーム
デザイナー Philippe Keyaerts
入手状況 published in 2001
エヴォのボックス
エヴォのシステム

「エヴォ」は、進化ゲームの新機軸です。
進化を題材としたゲームというと、イーオンの「クワークス」や、ドリス&フランクの「ウルズッペ」が思い浮かびます。たとえば「クァークス」では3枚のカードの組み合わせで生物種が作られ、これが捕食関係と環境適応度で評価されました。これに対して「ウルズッペ」では各プレイヤーはいくつもの個体をユニットとして持ち、その種族が進化すると個体の全部に新たな能力が加わりました。観点として、「種族の能力」=「個体の能力」という図式がありました。
「エヴォ」では少々、風変わりなことになっています。各プレイヤーは、自分の種族の個体をたくさん持ってプレイします。その意味では「ウルズッペ」と同じです。ところが、進化することによって得られる能力は各個体ではなく、種族の中のいずれかの個体に分配されるのです。
たとえば、冬の寒さに耐えられる毛皮を、ゲーム開始時には1個だけ持っています。そうすると、あるターンに好適な気候より寒い土地にいる個体を1個だけ生き残らせることができるのです。毛皮が2個になると、2個まで寒さを越せるようになります。すべての個体が寒さに強くなっていく訳ではないのです。ここのところは、かなり思い切った着想の転換で、個人的には目から鱗が落ちる思いでした。「そうか、こういうデザインの仕方があったのかぁ!」という感じです。

ちょっと妙な視点から脱線してしまいましたが、上記の点は「エヴォ」のゲームシステムの大きな特徴になっています。
「エヴォ」では気候が4段階に異なるエリアに分けられた大陸で、恐竜たちが気候の変化に応じて適温のエリアへと移動していきます。このときに、各プレイヤーは自分の種族の進化状態を現すシートの能力を持っています。開始時点では、「1本の足(1移動力)」、「1個の毛皮(耐寒能力)」、「1個のパラソル(耐熱能力)」などを持っています。ここでいう移動力も毛皮と同じで、種族全体でいずれかのコマ一つが1マスしか移動できないことを意味しています。このため、気候が変動しても、ほとんどの個体は新しい適温エリアに移動できません。そのため、毛皮やパラソルでしのぐことになるのです。

こうした能力は、毎ターン競売に賭けられて、各プレイヤーに一つずつなにかしら加わっていきます。そうして環境適応力が高まって行くと、個体数が増えて過密となってぶつかり合うようになっていきます。進化によって手に入る能力には、他の恐竜を攻撃するための「角」や、子孫を残すための「卵」、将来の進化を促す「遺伝子」、手番を決めるための「尻尾???」、特殊なイベントカードなどもあります。
こうして毎ターン追加される能力により個性の差が生まれ、種族間の関係が変化しながらプレイが続いていきます。
得点計算は毎ターンの生存個体数の累計で行われます。最後には隕石雨で恐竜は滅びてしまいますので、その時点での累積個体数が大きいプレイヤーが勝利します。



エヴォのプレイ感と難点
エヴォのプレイ
左の画像は中盤でのプレイ画像です。
わたしの恐竜はパラソル、毛皮が2個ずつになっていて、環境適応力はまずまずです。卵も2つで子孫も残せます。
ただし、ちと問題があって、足が一本しかありません。このため、環境に応じて移動できません。ですから、否応なしに毛皮やパラソルに頼ることになります。
もっと問題なのは角が二本もあるのですが、あまり役に立ちません。実は攻撃するには移動して他の恐竜がいるマスに入らねばならないのですが、移動力がないので宝の持ち腐れなのです。しかし、なかなか競売に足が出てこず、アンバランスなままプレイが進んでしまい苦戦しています。

「エヴォ」は新機軸で着想が面白いのですが、プレイ感としては少しスローゴーイングで鈍い感じがします。その理由は、種族全体で移動力が1とか2とかなので展開が鈍いことです。また、進化の能力競売でも全員に一つずつが必ず渡るので、方向性は多少違っても、それなりにどれも同じように強くなっていくので大差が付き難くなっています。
このため、割と小利を拾って積み上げていく感じが強くなっています。これが、「恐竜」とか「進化」とかいう題材の持つ豪快そうなイメージと、ちょいとミスマッチな気がします。

ゲームとしては上手く機能していて、ゲームシステムはスムーズに動きますし、ガジェットも良い加減だと思います。けれども、「クァークス」や、「ウルズッペ」のようなイロモノ的な先達から比べると、こじんまりとまとまってしまった印象も否めません。
ここら辺はゲームとしてのまとまりを取る人は高く評価すると思いますし、わたしのようにB級イロモノ志向な向きには少し物足りないかと思います。

関連ゲーム

進化ゲームとしては、イーオンの
「クァークス」が先ず思い浮かびます。
ドリス&フランクの「ウルズッペ」と、その続編
「ウルランド」がその次に来るでしょうか。

トップへのボタン