エイジ・オブ・ミソロジー
Age of Mythology / Eagle Games
ショートコメント
●2003年、クリスマス商戦の台風の目! 戦闘のある「プエルトリコ」だが、それだけで大違い!
●神話文明を構築し、伝説の魔物を率いて他の文明と激突せよ! 最後に勝つのはどの文明だ!?
The most attractive fantasy game in 2003 X'mas season. Briefly, "Pueruto Rico with Battle", but it differs unbelievably much.
Construct your own culture and recruite legendary monsters, then crash with other cultures. Can you get a final victory ?
published designed players time
2003 Glenn Drover 3-4 4-6 hours
2003クリスマス商戦の台風の目
 ゲームの世界では、クリスマス商戦というのは各社の力作が投入されて賑やかな時期です。インターネットで個人輸入をする人は経験があるかと思いますが、サンクスギビングからクリスマス直前まではどこに頼んでも忙しくてレスポンスが悪かったり、カタログに載っていても一足違いで在庫切れ再入荷待ちになったりします。
 2003年のクリスマス商戦でのSF/F系ボードゲームの中で台風の目と言えるのが、この「エイジオブミソロジー」です。
 同名のコンピューターゲームとのタイアップ作品で、最近、ミニチュアを満載したゲームを連続して出している元気の良いイーグルゲームズの一作です。
 コンピューターゲームの方はプレイしたことがないのですが、伝聞によると内容やテイストは非常に近く、古代文明を率いて国起こしから始めて軍を編成し、神話の魔物も従えて文明を進めて行くゲームです。
ファイナル・コメント
 最後にプレイの画像を示しておきます。
 見ての通り非常にゴージャスなコンポーネントです。各自の文明ごとに異なるボードがあり、各種の産物のキューブ、そして文明ごとの部隊のミニチュアフィギュア、アクションカードのデック、種々のチャートなどがギッシリと机に並びます。
 ある意味、本当にクリスマス商戦向けのゲームだなぁと痛感させられる部分もあります。賑やかで見栄えがするのです。
 内容的にも手堅いゲームシステムの上に題材にふさわしいテイストが上積みされていて面白く仕上がっています。
 勝利条件が最終盤に偏っていることと、戦闘という最後まで抵抗できる要素があるため、ゲームの行方は最後までわかりません。悪く言えば、最後の決戦次第なところもあります。
 特に「6出せ」システムと、ランダムアクションカードの揺れが大きいこともあり、ラックの要素はこのテの戦略的なゲームの中でも大きいかも知れません。
 終盤で大戦闘が起こることもあり、ゲームのプレイタイムも長くなりがちです。
 そうした多少の重さを考え合わせても、魅力あるゲームであることは間違いないと思います。一度はプレイしてみて欲しい、少なくともどこかでやっていたら観戦してみて欲しいゲームです。
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 その次の段は、「プエルトリコ」にはなかった要素である「徴兵」と「攻撃」です。部隊を増強し、攻撃を実行できるのです。これによって他のプレイヤーの地形タイルを奪ったり、建物を破壊したり、産物を奪うことができます。
 これは考えてみれば「プエルトリコ」の延長線として当然あって良いアイデアだったわけですが、「エイジオブミソロジー」という格好の題材を得て見事に成功しています。最後は産物の「交易」のアクションカードです。
 8枚目の色が異なる「ザ・ワンダー」のカードは勝利条件カードです。
 このゲームで勝利得点が得られる方法は4つあります。この4つに対応したカードがあり、毎ターン開始時に各プレイヤーがどの勝利条件に点数を配分するか1点ずつ加えていきます。つまり、自分がいずれ達成できそうなところにビッドしていくのです。したがってゲームの進行に応じてどの勝利条件が重要かが見えてくるし、また自分で方向付けができるのです。
 勝利条件の内の3つは終了時にしか判定されません。一つは、さきほどの「ザ・ワンダー」の建設です。これが建設された瞬間にゲームは終わり、そのプレイヤーがこの条件の得点を総取りします。ただし、ゲームは勝利条件ビッドのキューブ30個を使い切っても終わるので、誰も建設できない可能性もあります。
 残りの二つは「ゲーム終了時点で最大の都市を建設している」と「最大の軍隊を保有している」です。都市は建物の建っている数で、軍隊はユニット数で決まります。これらは戦闘で破壊されたり消耗したりするので、最後の最後まで誰に転がり込むかわかりません。加えて単独トップで総取りである一方、同点の場合には誰も取れないので僅差の場合にはどうなるかわかりません。
 唯一ゲーム中に取得される勝利得点は「戦闘に勝つ」で、これはカードにキューブがビットされているときに戦闘が起こると、その都度、勝者が取って行きます。
 この勝利条件でわかると思うのですが、勝利条件の3/4がゲーム終了時点に決まるものなので、最後の最後まで勝敗の帰趨は見えず、しかも戦闘ができるために土壇場まで逆転がありえます。かと言って途中の有利不利や積み重ねが重要でないわけではなく、最後の決戦のときに選択肢を増やし良い立場にあるためにも常に努力し続けなければなりません。
 もう一つ重要な要素があります。
 さきほど紹介したアクションカードはいつでも選択できると書いたのですが、このほかにデックとして一式で与えられランダムに引いて使い捨てるランダムアクションカードというのがあります。行動の種類は通常のアクションカードと同じなのですが、効果がずっと強力になっています。
 ただし、これも両刃の剣で、このターンに実行したい行動が引けるかどうかはわかりません。文明が進んできて手札がたくさん持てれば良いのですが、序盤ではなかなか難しいところです。
一言で戦闘のある「プエルトリコ」、だが戦闘があるだけで大違い
 コンピューターゲームとのタイアップということで、ある程度の売れ行きが見込めます。
 その一方で売れるということは、そこに駄作を投入するとメーカーとしては多くの人に「あの会社のゲームはダメだ」と覚えられてしまうことになるので両刃の剣です。
 そこでボードゲーム版「エイジオブミソロジー」は、手堅いデザインになっています。
 ゲームシステムのベースになっているのは、最近、ボードゲームの新定番として定着している「プエルトリコ」です。各自が自分のボードを持っていて、そこを開拓して地形タイルを置いていきます。そこから得られる産物をベースに、建築物を建てたり交易をしたりして勝利得点を稼いでいくという流れのシステムです。
 ゲームの実際の手順としては、プレイヤーはターンの開始時に与えられている様々なアクションカードの中から、現在の文明の段階の範囲でこのターンに実行する可能性があるものを選択します。初期文明では4枚しか選ぶことができません。そして、実際のターンの進行では3回のアクションラウンドがあり、その内の3枚を状況を見ながら実行していきます。
 左の画像はいつでも選択可能な通常のアクションカード7枚です。
 「探検」は新しい地形タイルを取得するために使います。「収穫」は地形から産物を得るために使います。「建設」は産物を使用して建物を建築するために使います。「新時代」は各種産物全てをまとまった数、消費することで次の時代に進みます。新しい時代に進むと、手札制限が増えて自由度が増し、新しいユニットが作れるようになります。いちばん最後の神話時代になるとゲームを終了させ勝利得点を得られる「ザ・ワンダー」が建築できるようになります。
魅力ある各種神話の部隊
 この「エイジオブミソロジー」は発売後、非常に好評でクリスマス商戦の勝ち組ゲームになっています。
 その最大の理由は、手堅いゲームシステムもさることながら、付加価値として加えられている神話文明の軍隊を編成して戦闘できるところにあります。
 とりわけ「売れることが期待でき採算が取れる」という背景から、部隊のミニチュアフィギュアのコンポーネントは非常に充実しています。
 しかも、この神話文明が3種類も用意されていて、それぞれが全く異なる部隊ユニット、フィギュアを与えられているのです。これは非常に贅沢な作りと言えましょう。
 青いユニットは北欧神話文明のユニットで、左からヴァルキリー、フロストジャイアント、トロールです。
 茶色のユニットはエジプト文明で、左からウォーエレファント、スフィンクス、チャリオットです。
 緑のユニットはギリシャ文明で、左からミノタウロス、メデューサ、ヒドラです。
 こうした作りの良いフィギュアをリクルートして行き、これを使って決戦をするのですから、こうしたゲームが好きな人には応えられません。
 戦闘のルールは相性が問題になる軍人将棋的な対戦修整を持つワンオンワンの「6出せ」システムです。
 相手の部隊編成を見て、互いに相手の弱点を狙って1ユニットずつ戦場に送り出していきます。この相性システムも上手く機能していますし、文明ごとの個性も出ています。
 とは言え最後は「6出せ」システムですので、10個以上振っても1個も6が出ないと、思わぬ伏兵に不覚を取ることもあります。