タイタンアリーナ
Titan the Arena / Avalonhill Games
一言で言えば‥‥
アリーナに集った8体の異世界のものたち,生き残ることができるのは?
アリーナでの死闘を背後から操るとともに,生き残るものに賭けて最大の利益を獲得せよ!
こんなゲーマーにお薦めしたい
考えるカードゲームを好きなプレイヤーに
駆け引きが徐々に煮詰まっていく重圧を好むプレイヤーに
プレイ人数 |
3−5人 |
プレイ時間 |
1〜2時間 |
ルール難度 |
レジャータイムゲーム |
デザイナー |
ライナー クニッツア |
入手状況 |
絶版になったが,探せばなんとかなるかも |
タイタンアリーナのシステム

タイタンアリーナのデザイナーであるクニッツアは,当代を代表するドイツのレジャータイムゲームデザイナーです。前衛芸術家の絵画を売買するオークションゲームである「モダンアート」や,ダイスをまったく使わずに好きなだけ移動して良いという奇怪なスゴロク「ツタンカーメン」などで衝撃的なデザインを見せた切れ者デザイナーです。
そのクニッツアの基本デザインに,AH側でモンスターの戦いというモチーフのデベロップメントを施して誕生したのが,この「タイタンアリーナ」です。
8体のファンタジーキャラが集い,1ラウンドごとに1体ずつが脱落していきます。5ラウンド実施して,最後に生き残った3体に各プレイヤーが賭けていたポイントを集計して勝敗を決めます。
プレイヤーは自分の手番には,いずれか一体のモンスターに賭け(ベット)をすることができます,そしていずれか一体のモンスターのカードをプレイすることができます。この時に賭けをできるのは,そのラウンドにまだ誰も賭けていないモンスターだけです。ですから有力モンスターは,早い者勝ちになります。ラウンドが変わると,その都度,また同じモンスターに新たに誰かが賭けられるようになります。この時に有力だからと言って一人で賭けていると,皆から狙い撃ちされてしまいます。それを跳ね返して生き残れる自信があるなら,賭けるべきですが‥‥。
ラウンドごとの戦闘の解決は簡単です。すべのモンスターにカードがプレイされた時点以降に,単独最下位となったモンスターが発生したら,そのモンスターが脱落して1ラウンドが終了します。それぞれのモンスターには0−10のカードがあり,これらは各プレイヤーの手札として配られています。これらがどんどんプレイされていくのです。
最下位になると脱落ですから,0はそれより下がないわけで,必ず負けますので重要です。逆に言えば,狙ったモンスターを沈めてしまうのに使える必殺のカードであり,これさえ上手く使えれば自分が応援するモンスターのそのラウンドの数字が1だとしても生き残れるということです。逆に言うと,9や10という数字は強力ですが,序盤のラウンドではあまり意味がありません。むしろ序盤に使ってしまうと,本当に険しくなってくる終盤で辛くなるでしょう。
また,ミソは,すべてのモンスターにカードがプレイされない限りはラウンドは決して終わらないということと,単独最下位でなければまだ生き残れるということです。
つまり,自分のモンスターに0がプレイされても,まだそのラウンドのカードがないモンスターがいたり,他にも0のモンスターがいてくれれば,新しいカードを0の上にプレイすることで強化して生き残るチャンスが残っているのです。ラウンドの終了のタイミングは,まだカードを持っていない最後のモンスターにカードをプレイするか,あるいは最下位タイを打開することで決定されます。ですから,自分の支援するモンスター以外のカードもとても重要です。
かくて駆け引きに満ちた暗闘が続いていくのです。

タイタンアリーナの闘士たち
システムで紹介した通り,このゲームはかなり純然たるカードゲームに近いシステムになっています。
そこにファンタジーのキャラクターの戦いならではの色をAHが付けたのが,それぞれのモンスターの特殊能力です。
モンスターの特殊能力を使用するには,2つの条件があります。1つは,現時点でそのモンスターに賭けているチップの点ががいちばん多いプレイヤーだけが使えます。チップは,1ラウンド目に賭けたものは4点,2ラウンド目は3点という風になっています。この他に秘密のベットというのがゲーム中に一回だけできます。このベットを公開すると,5点になります。もう一つの条件は,そのモンスターのカードをプレイした時にだけ使えるという条件です。

では,特殊能力というのはどのくらい強力なのかというと,まずいちばん左側のドラゴンですが,その特殊能力は場に出ている1枚のカードを焼き尽くすというファイアーブレスです。これにより他のモンスターの強力なカードを排除することができます。また,自分が支援するほかのモンスターに弱いカードがプレイされている場合に,これを排除することもできます。これによってそのラウンドのそのモンスターのカードがなくなると,ラウンドの決着が伸びることになります。
次ぎのユニコーンの能力は,テレポート能力です。現時点で見えているいずれかのモンスターの2枚のカードを入れ替えることができます。左上の方のプレイの写真を見ていただくとわかるのですが,1ラウンド終了するごとに,モンスターのカードは新しい列へと移っていきます。同じモンスターでもラウンドごとにカードがあるわけです。これらを入れ替えることができるのです。この能力は自分の支援するほかのモンスターに対して使ったり,あるいはユニコーン自身に使って,現在のラウンドの弱いカードを過去の強いカードと入れ替えて使うことが多いでしょう。このゲームではカードは基本的に使い捨てなのですが,これによって1枚のカードを複数ラウンドにわたって有効に使うことができます。
3番目のトロールの再生能力は,この観点でもっと強烈です。現時点で見えているトロールのカードを1枚,手札に補充することができるのです。そして,次ぎにそれをプレイすれば,またどこかから補充できます。つまり,この特殊能力を使っている限り,トロール手札の枚数は減っていかないのです。ユニコーンでさえ,その能力を使えば手札のユニコーンカードは減っていきますから,トロールの再生は脅威と言えます。大抵のモンスターでは,その特殊能力を生かすのに手札に多くの枚数がないと難しいのですが,トロールの場合には最初に2枚くらいしかなくても押せる場合が出てきます。
最後のものは,一種のジョーカーです。このゲームでは,それぞれのモンスターには,それぞれのモンスターのカードしかプレイできませんが,例外として0−10までのジョーカーが1枚ずつあり,どのモンスターにでもプレイできます。しかも,これをプレイするとそのモンスターの能力は一時封印されます。次ぎにこの上にプレイされるそのモンスターのカードは,特殊能力を発揮させません。
ジョーカーの中でも0はとりわけ重要です。これはゲームから排除したい有力モンスターに対する引導となることでしょう。余談になりますが,このカードにサーペントが割り当てられているのは,AH社のサーペント観が現れているようで興味深いです。同じAH社のファンタジーゲーム「タイタン」でもサーペントは,進化の袋小路の終点として,体力は凄いけれども知能の低いモンスターとして描かれているからです。

タイタンアリーナの難点
タイタンアリーナは,小品ですが,駆け引きに満ちたプレイと,ファンタジーならではの能力の応酬がミックスされた良いゲームです。
ただ,難点を言えば,駆け引きに満ちたカードゲームのプレイというのは,ファンタジーキャラのバトルロイヤルの賑やかさとは少しミスマッチな気もします。けれども,魔法の戦いというのは,存外,こうした駆け引きの勝負なのかも知れません。
実際にプレイすると,オリジナルデザイナーのクニッツアのテイストも,AH社ならではのデベロップメントのテイストも,両方ともゲームに生きています。
惜しむらくは,AH社がハスブローに買収されてしまい,このゲームも絶版ゲームリスト入りしてしまいました。また,この事件で立ち消えになってしまいましたが,「ギャラクシーアリーナ」というカードゲームの企画が末期のAH社にはありました。それがどんなゲームだったのかはわかりませんが,見てみたかった気がします。
関連ゲーム / 類似ゲーム
クニッツアのゲームとしては,アミーゴシュピールのツタンカーメンが,ツタンカーメンの呪いをシミュレート(?)した怪作です。SFゲームではありませんがハンスイムグリュックのモダンアートが個人的には傑作と思います。
AH社のゲームとしては,その名もずばりタイタンというボードゲームがあります。ファンタジーキャラ総出演で,地形を巡りながら部隊を進化させて激突するゲームで,時間は掛かりますが賑やかで面白いゲームでとても人気があります。
