指輪物語:決闘
Der Herr der Ringe das Duell / Kosmos
ショートコメント
●指輪物語の第一部のクライマックス、モリアの坑道でのガンダルフとバルログの一騎討ち
Climax of the first of Lord of the Ring triology, Gundalf against Barlog in tunnel of Moria.
published designed players time
2002 Peter Neugebauer 2 30+ minutes
魔法使い 対 悪鬼
 映画「指輪物語」三部作は、異論もあるようですが大きな成功を博し、数多くのゲームを生み出しました。
 この「指輪物語:決闘」もその一つで、第一部のクライマックス、モリアの坑道での灰色のガンダルフと、太古の悪鬼バルログとの対決を描いています。
 日本語タイトルでは、クニッツアの傑作「指輪物語:対決(コンフロンテーション)」と非常に紛らわしくて、損をしているかも知れません。
 どちらも二人用のゲームで、モチーフのエッセンスを良く出しており、駆け引きも面白い佳作です。是非とも間違えずに二つあることを認識して両方ともプレイしてください。

 ゲームは全部で4ラウンドからなります。カードは全部で27枚ずつあり、これをシャッフルして最初のラウンドは9枚配って、6枚プレイして3枚を最終ラウンド用に残します。以下同様に2、3ラウンド目をプレイし、最終ラウンドは残しておいた3枚×3の9枚すべてを使ってプレイします。
 各ラウンドごとに勝敗を判定して、その勝利の度合いによって得点が加算され、最終合計を競います。
ファイナル・コメント
 ルールを読んだときは正直に言ってあまり感心しませんでしたが、対戦プレイしてみたら非常に面白くて気に入ってしまいました。
 コンフロンテーションも傑作ですが、ゲームずれ、特に軍人将棋やウォーゲームの積木シリーズに慣れた人と、ゲーマーでない人が対戦するには少しとっつきが悪かったでしょう。
 それに比べると、こちらの方がわかりやすく、初心者でも少しプレイすると駆け引きの要領が飲み込めてきます。
 ただし、魔法カードの抄訳は必須でしょう。
 一対一の丁々発止の決闘と言う意味では、クニッツアの「アンギャルド(リメイク版は「デュエル」)」とテイストが少し似ているかも知れません。
関連ゲーム
指輪物語コンフロンテーション
指輪物語
指輪物語カードゲーム
ウォーロック
●アンギャルド
 左の画像がゲームプレイの様子です。
 ボードはモリアの坑道の中を描いており、地の底まで続く裂け目の上に掛かった橋を立体で描いた得点表示ステージを中央に設置します。
 一方から灰色のガンダルフが、他方から赤のバルログが登っていき、最上段に先に着くか、ゲーム終了時に上にいる方が勝利します。

 プレイは比較的単純で、交互にカードをプレイして行きます。最初のカードは左端にプレイします。カードの左右には攻撃のマークが付いており、次のプレイヤーはその右側にプレイします。このときに向かい合った両端のマークを判定して、自分の側だけマークがあれば相手に1ダメージが、相手の側だけにマークがあれば逆にダメージを受け、両方にあったり両方ともないときには相打ちとなります。マークの付く位置は4箇所あり、一回の応酬で相互にダメージが入ったりもします。
 結果としてボード上の手前側にある体力トラックが削られていき、一方の体力がマイナスになるか、あるいは両者が規定のカード枚数を使い終わるとラウンド終了となります。
 その時点の体力差に応じて勝利得点が得られます。このとき、体力差が3点以下なら1VPにしかなりません。4−5点差だと2VP、6点差以上だと3VPになります。
 最終ラウンド終了後に、よりVPの多い方が全体のゲームに勝利します。もし同点ならファイナルラウンドを勝利した側が勝利します。

駆け引きと魔法の応酬
 このゲームではカードを交互にプレイし、1枚プレイするごとに接した辺で攻防の応酬が判定されます。
 このあたりが、映画のガンダルフとバルログの丁々発止の戦いを表していて面白いと思います。
 あと、このルールの妙味として、同じマークが2つのカードでも位置によって効果が違うことがあります。両者ともにマークが二つずつでも、同じ位置でバッティングしていれば両者ノーダメージですが、ズレていると両者とも1ダメージ/2ダメージということになります。これによって体力消耗が早く早期決着するラウンドと、決着が最後まで縺れるラウンドが生まれてきます。これによって一部のカードが使用されずにボイドになったり、体力差がどの時点で決着が付くかが変わってくるのです。
 さらに、このゲームには特殊な能力を持つテキストカードが挿入されています。これが魔法の応酬を表しています。バルログのカードは力で押すものが多く、ガンダルフのカードはトリッキーなものが多くなっています。この辺りも両者の個性を表していて面白いと思います。
 また、ゲーム全体の駆け引きとして、序盤のラウンドで勝負を賭けていくのか、ファイナルラウンドに良いカードを温存するのかも重要です。体力差3点までは、相手に1VPしか与えませんから、相手に効率の悪い勝ちを与える分には、ファイナルラウンドに楽しみを取って置くのも有力です。
 さらに両者の魔法カードには、互いの魔法カードの返し技として有力なものもあるので、どうやってそれを避けて自分の有力なカードをタイミング良く使うかも駆け引きです。