指輪物語カードゲーム
Der Herr Der Ringe Die Gefaehrten / Ravensburger
ショートコメント
●鬼才クニッツアが映画:指輪物語の第一部に材を取って次々と移る場面を戦っていくカードゲーム
Master game designer, Knizia designed traveling cardgame which simulates a hobbits' journey in Lord of the Ring part 1.
published designed players time
2001 R. Knizia 2-4 1 hour
場面を移っていく指輪の世界を再現
 「指輪物語カードゲーム」は、クニッツアがデザインした、非コレクタブルのカードゲームです。2001年に発売されており、映画の「指輪物語」第1作の範囲をカバーしています。
 このゲームはクニッツアらしい、シンプルでジレンマのあるカードゲームになっています。そして、それと同時に指輪物語のストーリーを上手くゲーム的に再現しています。
 各プレイヤーは、ホビットの一人となり、専用のデックを与えられます。各自の持っているカードの全体としての内容は同じものになります。カードは、最強の5を筆頭に、4、3、2、1、0、そしてナズグルカードとなっています。枚数配分が不均等で、ガンダルフのイラストの5は1枚だけしかありません。ギムリ、ボロミア、レゴラス、アラゴルンを表す4は4枚です。3はホビット本人でやはり4枚、2も4枚、そして1が7枚、0とナズグルは1枚ずつです。手札はこのデックから6枚を引きます。プレイする度に6枚に補充し、デックが切れたら使い切りです。
 プレイは、1番目のホビット庄から霧降山脈やモリアを経て最後の10番目のアモンヘンまで場面タイルの周囲にカードを配置することで進んで行きます。
 最初にカード2枚を並べて場面タイルが置かれ、その周囲を長方形に囲う10箇所にプレイヤーたちが順にカードをプレイしていきます。
 手番が回ってくると、原則としてカードを1枚だけ周囲の好きな位置にプレイします。全ての位置が埋まった時点でプレイヤーごとにカードの値の合計を計算し、もっとも大きいプレイヤーから順にその場面に割り振られている得点を得ていきます。
ファイナル・コメント
 「指輪物語カードゲーム」は、クニッツアらしいシンプルでジレンマのある小技の効いたカードゲームです。
 そしてなおかつ「指輪物語」らしさが随所に良い味付けとして含まれています。とかく映画の派生ゲームはチープな内容のものが少なくありませんが、これは面白いゲームだと思います。
 このゲームのリメイクで指輪物語ではない設定になったのが、FFGの「キングズゲート」だそうです。こちらはカードでなくタイルになっていて、机の面積を取らなくなっているとのことです。
関連ゲーム
指輪物語
●指輪物語:友と敵
指輪物語:サウロン
指輪物語コンフロンテーション
●指輪物語デュエル
 これだけだとあまり妙味がありませんが、ここにいくつかの仕掛けがあります。
 第一にカードをプレイするときに、2以上のカードは1枚だけしかプレイできないのですが、1のカードは例外で一遍に何枚でもプレイできます。これが特に大きな意味を持つのは周囲10箇所が埋まると精算になるというタイミングを早めることができるという点です。
 第二に2番目の場面以降は既にプレイで配置されたカードに隣接して置かれるということです。結果として、隣接して配置してもらった既存のカードは新たな場面に既に配置されたものとして再機能するのです。この場面の配置は前の場面で最後にプレイしたプレイヤーの権利なので、上述のタイミングがずれるということには二重の意味があるのです。
 また、ナズグルカードは既にプレイされたカードを取り除くことができるカードです。1の複数プレイで精算タイミングは早まりますが、ナズグルでは逆に遅くできます。こうして現在の場面、次の場面を睨んで駆け引きが展開されます。 
 ここまででもシンプルなカードゲームとして面白いのですが、さらに指輪物語ならではのガジェットがいくつか付与されています。
 先ず場面には2種類があります。白地の場面は戦闘のない場面で、通常のルールでプレイされます。
 これに対して黒地の場面は戦闘場面で、ここでは既に置かれたカードに対して、それを上回る数字のカードを重ね置いてしまうことができます。下になったカードは計算されません。
 この他にも戦場によって特殊なルールがある場所があります。
 画像の6番目の霧降山脈は白地で戦闘がなく、単純にカードを置いていくだけです。ここでは通常と異なり、1のカードも1枚しかプレイできません。道が険しくて急ぐことができないのです。
 8番目のモリアは本作の佳境です。カードの右上に並んでいる3つの数字が、その場面で1位、2位、3位になったときの得点なのですが、モリアでは特別ルールで最下位には−3点というルールがあります。逃げ損ねて谷に落ちてしまうのでしょう。 
 このほかに指輪のルールがあります。ホビット本人を表す3のカードには指輪が印刷されていてナズグルカードで攻撃されません。また、場面によっては得点の他に追加で特別な指輪が与えられることがあって、これによって戦場の地色を変えたり、カードに戦力を追加したり、既にプレイしたカードを移動したりできます。
 プレイ風景の画像はプレイ終了時のものですが、プレイし終えた場面に次々と新たな場面が隣接して展開され、最後には壮大な旅の構図が机一杯に広がることになります。