ウォーロック
Warlock / Games Workshop
ショートコメント
●「マジック・ザ・ギャザリング」以前の魔法の応酬を題材としたカードゲーム
●攻撃魔法に対して適切な防御魔法を唱え、これを相互に繰り返しデフェンスできなかったものから脱落していく
Spell against spell type Cardgame which is older than "Magic the Gathering"
You need to cast defence spell against opponent's attack spell, otherwise you will drop out the duel.
published designed players time
1980 Bob Connor 3-6 90+ minutes
魔法の応酬を題材とした「マジック」以前のゲーム
 90年代を席巻しトレーディングカードゲームというジャンルを確立した「マジック・ザ・ギャザリング」、しかし、魔法の応酬を描いたカードゲームの先達が、この1980年に出された「ウォーロック」です。
 ゲームはオーソドックスなカードゲームのシステムを利用していて、全員の共通のデックから各自に手札をディールし、これを使って魔法戦闘をしては山札からカードを補充していきます。
 ですから「トレーディングカードゲーム」として、各自が自身の構想でデックを構築するという決定的な部分が異なっています。
 また、5色のマナと、それを得るための地形からコストを支払って徐々に高コストの魔法を展開していくというような要素も「ウォーロック」にはありません。
 しかし、それでも「マジック・ザ・ギャザリング」に見られる様々な要素の基本ともいうべきものが随所に見られます。
 まず、魔法には様々な種類のものがあり、強力なものもあれば、然程でもないものもあります。それらに対して、コストという概念が設けられています。
 また、魔法使いには白魔法使いと黒魔法使いの2種類があります。そして、一部の魔法は白魔法使いには使いやすいのですが黒魔法使いには使いにくかったりします。もちろん逆に黒魔法使いに使いやすかったりするものもあり、公平にどちらにも作用するものもあります。こうした魔法使いのタイプによる呪文の得意、不得意の要素が既に盛り込まれていたのです。
ファイナル・コメント
 魔法同士の相互作用の問題などがかなり難しく、そこのところのデベロップメントは必ずしも十分ではありません。そのことは発売された年代や、当時のゲーム界のゲームシステムの進化の度合いを考えれば厳しく指摘することはできないでしょう。
 むしろ1980年という発売年を考えれば、かなり野心的なアイデアを当時の水準としては随分と頑張ってまとめ上げた歴史的エポックのゲームと言っても良いと思います。「マジック・ザ・ギャザリング」以前にこうしたゲームがあったという意義を感じてプレイしてもらえれば、いまもなおプレイに値する作品だと思います。
関連ゲーム
●マジック・ザ・ギャザリング
紋章使い
●ウィズウォー
 「ウォーロック」は多人数ゲームで、何回ものデュエルを繰り返していくゲームシステムを取っています。
 プレイヤーは自分の手札の状況を見て、その回のデュエルに参加するかどうかを決めます。丁度、「八八」の出降りを考えてもらえば良いでしょう。
 デュエルに出なかった魔法使いは、降り賃を支払い、これは出た魔法使いたちで分配されてしまいます。
 その後、デュエルに出た魔法使いは、順に自分が攻撃する相手を出たもの同士で選択していきます。Aが最初にBを攻撃すると選ぶと、次の選択権はBに移ります。BがCを攻撃すると選ぶと、次はCになります。そして、最後の魔法使いが最初のAを攻撃することになり、攻撃と防御の連環が出来上がります。
 そして、全員が同時に攻撃魔法を手札からプレイし、そのコストを支払います。
 続いて、自分に向かって打たれた攻撃呪文を有効に防御できる防御魔法を唱えます。
 これができない魔法使いはデュエルから脱落します。
 デュエルから脱落した魔法使いは30ポイントを失い、脱落させた魔法使いは逆に30ポイントを獲得します。連環は脱落者を除いて詰められていき、手札を使い切るか決着が付くまで続けられます。
 一方、デュエルから降りた魔法使いは、手札から不要な呪文を捨てて新たな呪文を引いて手札を改善していきます。
 1回のデュエルが終わると、次のデュエルが始まり、再び出降りの判断をしてくことになります。呪文を学習して手札を改善したものは恐らく今度は出陣してくるでしょう。逆に前のデュエルで強力な呪文を消費して、その後の補充札が悪ければ続けて出ることは難しいでしょう。
 こうしてデュエルを繰り返していき、呪文を唱えたり学習したりするための魔法エネルギーポイントが尽きたプレイヤーから完全にゲームを脱落していきます。最後まで生き残った魔法使いがゲームに勝利します。 
 このゲームの魔法の一例を紹介しておきましょう。
 左から攻撃魔法の「フォークトライトニング」、防御魔法の「デフェンススクリーン」、召還系魔法の「ドラゴン」、防御魔法の「マジックシールド」、召還系魔法で特に白魔法使いに有利な「ホワイトナイト」です。
 魔法は、作用が魔力的なものと物理的なものとに分かれており、物理的なものはパワー値が設定されていて同等以上のパワー値のもので打ち消すことができます。その一方魔力的な作用のものは対応する適切な種類の呪文でしか打ち消すことができないということになっています。この魔法同士の相性表が大きな一覧表になっていて、プレイの画像では各自の前に置かれているのがわかるかと思います。
 「魔法」には「魔法」としての体系があって、それなりのロジックやコストがあるということを感じさせる点では「マジック・ザ・ギャザリング」に良く通じるところがあります。