ロストシティーズ
Lost Cities / Kosmos
ショートコメント
●往年のクニッツアらしいシンプルながらもジレンマに満ちたカードゲーム
Sinple but filled with dilenmma cardgame by Knizia which shows old Knizia's taste.
published designed players time
1999 Reiner Knizia 2 30+ minutes
失われた5つの都市を捜し求めて
 ライナー・クニッツアに往年の切れ味が最近は見られないのではないかという気がして久しいです。
 しかし、この「ロストシティーズ」はそんな中にあって彼らしいシンプルでジレンマに満ちた切れ味が感じられる作品です。

 やることは単純です。自分の手番が来たら、カードを1枚プレイし、その後で山札から1枚補充するだけです。
 カードは5種類の失われた都市を探検する探検旅行を表す5スートになっています。各スートごとに3枚の投資カードと、2〜10の数字の冒険カードがあります。
 プレイする場所がボードで定められていて、しかも必ず先ず投資カード、その後は順に数字の昇順に置いていかなければなりません。数字カードは冒険の進行を表した絵柄が付いていて、数字が大きいものほど遺跡の核心部分に到達しています。
 そして、この順番にプレイできている内はカードを順にずらして前のものが見えるようにしていきますが、順番に合わないカードを置くと、それ以前のカードを全て隠すように揃えてプレイします。
ファイナル・コメント
 こんな簡単なルールで、こんなに悩ましくも面白いゲームがまだ作れるとは感激の驚きでした。
 このゲームを見てしまうと、トレカ的な複雑な要素を持ち込んだ「スカラベロード」のようなゲームは、複雑さの程にはプレイの面白さを生んでいるだろうかと改めて考えさせられてしまいます。
 手札やツモによって、冒険が順調な場もあれば、逆になるべく何もしない方が良い場もあり、プレイの雰囲気や指針もかなり幅があって楽しめます。
 カード運がどうしてもあるので、数ラウンドプレイして得点を累計していくことが推奨されていますが、時間がなければワンラウンドでも楽しめます。
 クニッツアの歴代作品の中でも傑作だと思います。
関連ゲーム
スカラベロード
カタンの宇宙船
トムチューブ

指輪物語コンフロンテーション
 ゲームは山札の最後の1枚がめくられた瞬間に終了します。
 そして、プレイ終了時点で各都市の冒険状態を得点評価します。
 このときに、プレイした数字カードを合計し、そこから20を引きます。これが基礎点になります。つまり、ルールに従って昇順に配置されて見えている数字カードの合計が21以上ないと基礎点がプラスになりません。また、カードを1枚もプレイしなかったところは0点です。
 これに倍率を掛けます。倍率は基本は1倍で、もし見えている投資カードがあれば1枚ごとに倍率が1ずつ上がっていきます。
 ルールはこれだけなのですが、実際にプレイすると非常に深刻なジレンマがあります。つまり、あるスートをプレイし始めてしまうと、そのプレイしたカードより前に置くべきカードを後でツモってくると有効にプレイできないのです。
 このため、新しいカードを重ねて前にプレイした分をリセットしてやり直すか、新しいカードを抱いたまま最後まで辛抱するかのいずれかになります。手札は8枚と比較的多いので、最初は辛抱しきれそうに見えるのですが、やってみると大変です。
 その一方でプレイの終了が近付いてくると、今度は冒険の終盤で数字が大きく得点を稼げるカードをプラン通りにプレイしきる必要が出てきます。そうしないと基礎点計算の−20を跳ね返してプラス得点を取ることができません。また、投資カードを最初にプレイしなければならないのですが、序盤の段階ではどこの冒険が確実に−20を越えてプラスになるかはわかりません。ハイリスクハイリターンで投資カードをプレイするのか、それとも一旦プレイしてディスカード(順序に合わないカードをプレイして前のカードを埋める)してしまうのか、あるいは持ったまま辛抱して様子を見るのかは作戦の分かれ道です。
 そして重要なことは、相手がプレイしたカードを見ると、相手の手の中にどんなカードがないかを推察できるということです。逆に言えば、うっかりプレイすると相手に情報が見えて相手がプレイしやすくなるということもあるのです。
 各自が独自に冒険しているだけで相互作用がないように見えますが、実際にはカードの枚数が少なく、最後に両者の手札に残るカード以外は全て使い切りですので、カウンティングして詰めて考えていくと互いのプレイは非常に強く影響しあっていることがわかります。