トムチューブ
Tom Tube / kronberger spiele
ショートコメント
●トム・チューブとドリフティング・デイブは建築中の宇宙ステーションでソーラーモジュールの接続作業中
Tom Tube and Drifting Dave are working for a new space station to connect
solar modules into own control base.
published |
designed |
players |
time |
2003 |
Roland & Tobias Goslar |
2 |
45minutes |
二人用タイル置きゲーム新機軸
一大ファミリーを形成しつつある「カルカソンヌ」シリーズを筆頭に、タイル置き系というサブジャンルが最近はあるような気がします。
タイルを置くことでゲームマップを形成しながらゲームが進行して行くというタイプです。
この「トムチューブ」もそうしたタイル置き系のゲームの新作です。二人のプレイヤーは建設中の宇宙ステーションで働いています。
現在、ステーションはコントロールベースと、ソーラーセルを所定の位置に展開したところです。プレイヤーの仕事は、自分のコントロールベースと、対応する二つのソーラーセルを連結してエネルギーを確保することです。
このゲームで斬新なのは、タイルの形状がダイヤモンド型だということです。ボードには三角形のグリッドが切ってあり、これを2個連結した菱形のタイルを使用するのです。
プレイヤーのコマが移動する基準は三角形の頂点のドットになります。各タイルには、このドットを連結する二色のチューブが描かれています。赤のチューブは赤プレイヤーだけが、黄色のチューブは黄色のプレイヤーだけが、螺旋縞に二色に塗られているチューブは両プレイヤーが使用できます。
チューブのパターンは、各色について4頂点の内の2頂点を結ぶようになっています。これが共用だったり、独立だったりはしますが、チューブが多かったり少なかったりすることはありません。
ファイナル・コメント
二人用のアブストラクトゲームは、どうしても煮詰まりやすいものです。
このため、わずかなスキル差でも勝敗が明確についてしまったり、作戦の選択肢が狭かったり、容易に必勝法が見えてしまったりします。
その点、このトムチューブは非常に面白く、5回くらい遊びましたが、まだまだ勝ちパターンもいろいろありそうです。
単純に考えると、自分のルートをできるだけ直線で効率よく結ぶことが最善なので、最初はそういうプレイになるでしょう。あるいは逆に、相手にそうした経路を作らせないように互いに妨害しあう作戦になるかも知れません。
ところが、プレイしていくと、エネルギーキューブによるジャンプがあるので、良いタイミングでジャンプされてしまうと、苦労して妨害しても意外と効果が薄いかなという気がしてきます。また、コントロールキューブで自分のチューブを利用されたりしてしまうと、妨害して上手くやったつもりが存外だったりもします。
となると、今度はジャンプやキューブマネージメントも考えながら自分の経路と、移動の具体的な手順を考えたマネージメントをするようになります。
そして、今度はこのレベルで相手の妨害と自分の利益を並行して考えるようになっていくわけです。
このゲームはやればやるほど「良く考えられているな」と思います。タイルに、明らかに強かったり弱かったりするタイルというのがありません。状況に応じて良かったり悪かったりするのです。また、菱形を使うことによる歪があるのですが、端数の三角形タイルを使って上手く逃げています。そして、袋小路や、行き場のないポイントもゲームに意義があるようにしている特殊キューブのルールも良く考えられています。
たっぷりとテストプレイされているようで、二人用のアブストラクトゲームとしては、かなりお薦めだと思います。
単なるルート作りだけではない
タイルを置いてルートが出来上がってくると、自分の宇宙飛行士コマを発進させてコントロールベースから二つのソーラーセルを経由してベースまで戻ってくることになります。
このとき単に出来上がったルートをなぞるだけではないところに「トムチューブ」の工夫と奥深さがあります。
まず、重要なテクニックとして、三角形の辺の中点にパワーキューブと呼ばれる移動用のエネルギー源が置かれることがあります。これを1個消費すると、三角形の頂点から頂点へと1辺分だけチューブの有無にかかわらずジャンプできるのです。
次に、チューブの接続の結果として、その交点へ入るチューブが一本しかない袋小路や、まったくチューブが通っていない交点ができることがあります。この前者には、コントロールキューブと呼ばれるキューブが置かれます。これを手に入れると、後で使うことで相手の色のチューブを一手番の間、通過することができます。後者にはさらに特殊なエイリアンキューブが置かれます。これは5点の得点になるほか、コントロールキューブ+エネルギーキューブ2個に両替できます。
こうしたキューブの獲得と、それによる特殊移動を組み合わせることで、移動の自由度が広がります。
もう一つ重要な要素として、移動する際に交点上を直線に通過する場合には、停止する必要がなく一回の移動でどこまでも進めるということがあります。このため、タイルレイアウトの段階から有効な直線経路を作ることが作戦になります。しかし、そこは相手も見ていますから、そうは問屋が卸しません。