チェーンリアクション
Chain Reaction / Abacus Spiele
ショートコメント
●故シド・サクソンの二人用傑作アブストラクトゲーム
●一つのムーブが次のムーブを生み出していく正に連鎖反応が面白い独創性あふれる作品
Great game designer Sid Sackson's excellent abstract game for 2.
One move creates the next move, it is really a chain reaction. Unique and interesting abstract boardgame.
published designed players time
1993 Sid Sackson 2 30+ minutes
シドサクソンの隠れた傑作
 シド・サクソンと言えばゲーム会の重鎮と言って良いでしょう。その作品には、「アクワイア」、「キャントストップ」、「バザール」、「フォーカス」、「スルース」、「メトロポリス」などいまも名を残すものが数多くあります。
 基本的にはサクソン先生のゲームはアブストラクトゲームであり、あまりB級SFゲーム分科会の範疇ではありません。
 しかし、その中でこの「チェーンリアクション」はタイトルの通りの連鎖反応的なゲームメカニクスを利用した、独創性溢れるインスピレーションに富んだ二人対戦ゲームとなっていて、サイエンティフィックなフックを持っています。
 このゲームは90年代初期に出たアバカスシュピーレのアバカスエクスクルーシブという高級な木製のボックスとソフトフェルトのボードと木製のコマという仕立てのシリーズの一作として発売されました。
 画像を見てもらうとわかるのですが、高級感のあるシックなコンポーネントが素晴らしいのです。
ファイナル・コメント
 細かいルールが他に少しあるのですが、基本的には非常にシンプルなアブストラクトボードゲームです。連鎖反応的なムーブメントで一手番で一気に局面が動き、アメリカンフットボールのような醍醐味があります。
 得点はエンドラインを越すと1点、特にどまんなかの「×2」のマスに飛び込むと2点となっています。ゲーム開始時に適当な点数(12〜25くらい)を設定しておき、先に到達したプレイヤーの勝利となります。
 タイトルの通りのチェーンリアクション(連鎖反応)的な動きが独創的なゲームを作り出しており、実際にプレイしてもとても面白い傑作です。
 残念ながらアバカスはあまり国際的な営業力があるとは言えず、特にこのシリーズは二人用アブストラクトが日本ではあまり売れないことや、価格が高かったこともあって日本には入ってこなかったようです。
 けれども写真で見てもらうとわかるように、価格の高いコンポーネントは格調が高く、シンプルで面白いシド・サクソンの二人用ゲームの演出としては申し分ありません。持っていてとても嬉しい一作です。
 惜しむらくはシド・サクソンさんが昨年亡くなられてしまったことで、このまま復刻されずに終わるとすれば非常に勿体ない作品だと思います。
 このゲームのメカニクスは、ゲーム大賞を取った「フォーカス」にも類似しています。ただし、個人的には大賞作品の「フォーカス」よりこちらの方が面白いと思います。
関連ゲーム
●フォーカス
 左のプレイの画像を見ると分かるように、一見チェッカー風のゲームです。
 しかし、このゲームでユニークなのはその移動メカニズムが連鎖反応式だということです。
 ゲームではコマをボード中の1箇所でだけ、2個重ねることができます。そうすると、このスタックが次の移動を連鎖反応的に生み出します。
 自分の手番が回ってきたときにスタックがあればそれを、なければ単独のコマを動かしてスタックを作るようにして手番を開始します。コマは通常はタテヨコナナメに1マス移動します。
 スタックができると、そのスタックを崩すように移動します。スタックを任意の方向に移動させ、1マス目で下のコマをドロップし、上のコマはさらにその次のマス目へと進めます。
 その結果としてまた新たなスタックが生まれると、今度はそのスタックを移動させることになります。
 こうして連鎖反応的に移動ができ、自分の手番に合計5回まで移動させることができます。
 プレイの目的は自分のコマを相手の陣営の奥のエンドラインの向こうにゴールさせることです。