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Warhammer 40,000 第2版
Games Workshop

一言で言えば‥‥

豊富なミニチュアフィギュアを使って対戦するSF戦術級バトルゲームシステム

紀元40000年,銀河に広がった人類文明は幾多の内憂,外患と常に戦いつづけていた

こんなゲーマーにお薦めしたい

豊富なラインナップのフィギュアを自分の筆で塗装するのが楽しくて仕方ない方に

ヒストリカルなミニチュアゲームは史実考証が面倒なので自由にやれる世界が欲しい方に

プレイ人数 2人
プレイ時間 2〜4時間
ルール難度 初級ウォーゲーム(ただしガジェットが多い)
デザイナー リック プリーストリ, アンディ チャンバース
入手状況 次の第3版が発売されたため,発見困難か?

気分はもうWarhammer 40,000
40k ブラッドアクスコマンド
茂みから草色のジャケットの一団が飛び出した。その肌はジャケットの色よりさらに濃い緑。彼らはスペースオーク。銀河にかつて繁栄していた文明が、戦闘要員として作り出した兵士生物たちだ。痛みを苦にせず、少々の手傷は凄まじい生命力で再生してしまう戦うために生れてきたものたちだ。その中でも迷彩を着込んで、戦場に身を隠して敵を待ち伏せする策を弄するのは、ブラッドアクス族のコマンドたちだった。

彼らの襲い掛かる相手は、赤色のパワースーツを来たスペースマリーン。紀元40、000年の人類文明を守るエリート兵士たちだ。ブラッドアクスコマンドがスティックボム(オークたちの手榴弾)をスペースマリーンたちに向けて投げ込み、スペースマリーンはボルター(スペースマリーンの標準装備の軽機銃)でコマンド向けて応射する。スティックボムの爆煙も収まらぬ内に、今度はボルトピストルと、手斧を構えてコマンドがなだれ込んでいく。

激しい戦闘に呼応して空中から新たな部隊がてんでに戦場に飛び込んで来た。黒い鉄兜の下に牙のある緑色の顔。背中にはデカいロケットパックを背負っている。彼らこそはスペースオークの鉄砲弾ストームボイズであった。先頭に立つストームボイズの指揮官であるドリルボスが、凶悪なメルタガン(高熱光線銃)を乱射する。空気が瞬間的に高温に熱されてヒステリックな軋みを上げる。見る間に一体のスペースマリーンの腹部が溶解して蒸気と化した。スペースマリーン側も小隊支援火器のフレイマー(火炎放射器)を持った兵士が、ストームボイズの一団を火炎で薙ぎ払う。またたく間に死骸が積みあがる凄惨な戦いになった。
40k 襲撃!
ズン、ズン、ズン、ズン

地響きが戦場に近づいてきた。それを取り巻く鯨波の声も聞こえてきた。スペースオークの凶悪な支援兵器であるドレッドノートが戦場に投入されてきたのだ。2本の格闘戦用の腕と、2丁の支援用の重火器を持ったロボット。その操縦席には一体のオークの同族であるグレッチンが半生物半機械的な方法で組み込まれている。

ズビ ズビ ズビ ズビーッ!

眩いばかりの光輝が戦場を横断し、凄まじい爆裂音が発生した。ドレッドノートのラスカノン(レーザーキャノン)が火を吹いたのだ。

その周囲にスペースオークの小さな弟分たちであるグレッチンの大群が付いてきた。小柄な体に不似合いな大きなオートガンを両手に翳して、賑やかに戦場に駆け込んで来る。なにか彼らの姿は祭りの様相を思わせる。事実、戦うことが何より好きなスペースオークたちにとっては、これは祭りなのだ。彼らがいちばん好きなものは勝ち戦さ、そして次に好きなものは負け戦さなのだ。負けるとしてさえ、彼らは三度の飯より戦争が好きなのだ。

スペースマリーン軍もやられたままではいない。スペースオークの強襲を受けてたじろいだが、彼らとて銀河のエリート戦士なのだ。このままやられてしまうほど、ヤワではない。

Warhammer 40,000 のシステム

「WARHAMMER 40,000」は、ゲームズワークショップ社が発売しているミニチュアフィギュアを使用するSFミニチュアウォーゲームです。

舞台は遠い遠い未来の紀元40、000年代。この時代、人類文明は銀河に広がっています。が、その各所で様々な敵と遭遇し、いつも戦いが絶えないと言います。そんな背景世界の中で、プレイヤーは任意の種族のフィギュアを集めて自分の軍を編成し、他のプレイヤーの軍と戦うのです。

ゲームシステム的には、いわゆるヘクスウォーゲームと比較すると、ごくシンプルだと言えます。特に、一人の兵士、一台の車両を扱う戦闘級のゲームであることを考えれば、驚くほどにシンプルです。 具体的には、移動/戦闘からなるプレイヤーターンを交互に4ゲームターンプレイするのが基本になります。たったそれだけのシークエンスで戦術級ゲームとして成立するのか‥‥という疑問があるかも知れません。しかし、プレイしてみると妙に複雑なシステムより、それなりにもっともらしくなるので不思議です。

4ゲームターンというのも短すぎるのではないかと思えます。ですが、プレイしてみると戦闘のクライマックスだけをプレイする規模なので、これで十分です。実際、部隊の消耗が凄まじくて、これだけでもかなりの部隊が蒸発してしまうほどです。

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WARHAMMER 40,000 の戦士たち
40k スペースオークドレッドノート
ミニチュアを使用するこのゲームの醍醐味は、なによりフィギュアのコレクションの段階にあります。

このゲームに登場する種族は数あるのですが、基本セットにはその内のスペースマリーンとスペースオークが入っています。

スペースマリーンは、言ってみれば「宇宙の戦士、スターシップトルーパー(ただし、最近の映画や新版のゲームではなく、原作もしくは旧版のゲームの方)」のようなイメージです。彼らは、重装甲、大火力のエリート兵士集団です。その長所は、高いレベルでバランスの取れた射撃能力、格闘戦能力、装甲にあり、生存性が高く、特に防御射撃戦闘に回っては極めて頑強です。その一方で、少数精鋭の「少数」というのが弱点で、戦場では持てる能力を最大限に活用することを要求されます。

スペースオークはその逆で、数と獰猛さを頼みにガシガシと押し寄せて来る緑色の津波です。射撃能力は杜撰ですが、格闘戦能力はそれなりであり、接敵してしまえば数を頼みに猛威を振るいます。また、彼らは彼らを作り出した高度先住文明の技術の断片を駆使して、様々な奇怪な発明品を投入してきます。その威力もあなどれません。射撃能力が杜撰なため、接敵するまでにどれだけの損害が出るかが客観的に見て彼らの問題でしょう。もっとも彼らはそんな問題など気にかけずに、ただ敵目掛けて突進していくでしょうが‥‥。また、奇怪な発明品の信頼度が低く、しばしばアクシデントを起こすことでも有名です。もっともそんな心配をして引き金を引くのを止める連中ではありませんが‥‥。

この他にも様々な種族が確認されています。 まず、銀河の太古文明の生き残りで超能力を駆使する忍者エスパー集団のようなエルダー族というのがいます。また、銀河の外側から軍隊イナゴの集団のように来襲してきたティラニッドと呼ばれる不気味な爬虫類のエイリアンの集団もいます。彼らのあくなき攻撃本能と、生命力の強さは銀河を震撼させています。人類文明を守る兵士としてはスペースマリーンの他に、どこか現在の20世紀の兵士の面影を感じさせる帝国親衛軍というのもいます。様々な車両を配備しており、生身の歩兵の能力の低さをコンバインドアームズで補完します。銀河のいくつかの文明が利用するワープ技術がワープ空間の向こう側から呼び出してしまった邪悪な存在である混沌軍も人類文明を脅かしています。スペースマリーンの半数近くが彼らに魂を売り渡して地球に進行してきたのは人類文明最大の危機だったと伝えられています。

この他にも帝国の開拓地を守るシスターオブバトルや、いずこより現れるとも知れずいずこへ消えるとも知れぬメカニックなアンデッドであるネクロン族の来襲も伝えられています。紀元40、000年の紛争の規模は、ますます大きくなるばかりです。

WARHAMMER 40,000の醍醐味と難点

プレイヤーはお気に入りの種族を決めて、その部隊のコレクション、そして塗装から始めることになります。そのために,自分の種族の読本(コーデックス)を買うことになるでしょう。コーデックスには,基本キットより遥かに詳細なその種族の背景説明や様々な部隊の紹介が載っています。これを見て,その賑やかな要素を取り込んで部隊を編成し,そして幾多の戦場を戦い抜くために、次々にフィギュアを購入していくのです。

部隊、兵器にはそれぞれ、火力の優れたもの、機動性の高いもの、生存性の高いもの、特殊な効果を持つもの、敵の特殊な兵器を無効化するものなど、色々なものがあります。自軍の部隊に次はどんな兵器を追加するか、また敵の部隊が次回はどのような編成で来るかを予想してどう対策を立てるかなどは極めて面白いです。フィギュアをコレクションしてそれを塗装して戦闘に備える。この過程だけでも既に実際のプレイに匹敵する、いやもしかしてそれを上回る面白さを与えてくれるかも知れません。

実際にプレイしてももちろん面白いです。期待した兵器が活躍すれば爽快ですし、逆に相手の思わぬ兵器に絶句するのもまた一興です。様々なドラマが戦場に繰り広げられ、その賑やかな戦場絵巻きの半面を描き出したのは、紛れもなく自分なのです。たとえ負けたとしてさえ、「次の戦闘に向けてなんとかしてやろう!」と思い、さらなるこのゲームへの傾倒となるほどです。フィギュアは毎月のように新しいものや、以前に出ていて絶版になっていたものの新規造形品が出てきます。このゲーム一つで、いくらでも尽きせぬ楽しみを与えてくれると言って良いでしょう。

また,プレイする戦場は一種のジオラマであり、これも部隊の塗装と同様に、凝ろうと思えばいくらでも凝れる楽しい醍醐味の一つです。模型のジオラマと違って,実際に戦場となって動的なダイナミズムがあるので,ワンシーンを作りこむことはできませんが,その一方で物語性というまったく異なる能動的な魅力があります。

しかし,こうした醍醐味がそのまま難点でもあります。メタルフィギュアやジオラマ地形は、収納空間という課題を克服できない人にとっては致命的な問題でしょう。また,塗装作業に費やす時間は,家庭サービスとゲームに割く時間配分に悩んでいる人にとっては確保しきれないものかと思います。もう一つの問題として,フィギュアの購入価格がかなり高いのもハードルを高くしています。

ただ既に始めた人間のコメントとしては、「それだけのハードルを越えても人生に一度はコレをやる値打ちはある!」と思います。

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関連ゲーム / 類似ゲーム

既に第3版が登場しています。「第3版への印象」「第3版初プレイ」をご参照ください。

ゲームズワークショップのミニチュアフィギュアを使うウォーゲームは他にもあります。

ファンタジーの舞台で、WARHAMMER 40,000と似たような種族たちが戦うのは、より歴史のある
「WARHAMMER FB (fantasy battles)」です。

「WARHAMMER 40,000」の世界でのスペースオークたち同士の小規模紛争を扱ったものが
「ゴルカモルカ」です。また,深宇宙でのスペースマリーンとティラニッドとの遭遇戦闘を描いた独立単体ゲームがオリジン賞をかつて受賞して新版もでた「スペースハルク」です。

また、フィギュアのスケールがこれらとは大きくかわりますが、より規模の大きい戦いを扱う「WARHAMMER 40,000」の上部スケールゲーム
「EPIC 40、000」もあります。

このほかにも最近は宇宙艦隊戦闘を扱った新ゲームが登場してきており,同系列のフィギュア,同時代の設定を使った一連のゲームファミリーは尽きせぬ拡張世界となっています。

なお,登場勢力の一つスペースオークを扱った「スペースオーク友の会」も用意しましたので,是非,一度,ご参照ください。


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