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BSMパンドラ号の遭難
The Wreck of the B.S.M. Pandora / SPI / Ares #2


一言で言えば‥‥

冷凍睡眠から覚めると非常警報がなっていた!

宇宙生物採集船パンドラ号は,帰路,電磁波嵐に巻き込まれて‥‥

こんなゲーマーにお薦めしたい

遭難した宇宙船,逃走して徘徊する宇宙生物,まさにB級SFを好きな方に

状況の醍醐味を楽しみ,プレイバランスに寛容な方に

プレイ人数 1,2人 (3−5も可能だが薦めない)
プレイ時間 30分〜120分
ルール難度 初級ウォーゲーム,ただし独創的
デザイナー ジェイムズ ダニガン
入手状況 海外中古ショップを当たられたし,他にTATICS版も

冷凍睡眠から覚めると,非常警報がなっていた!
Ares 2号の表紙
宇宙を旅して様々な惑星で未知の宇宙生物を捕獲して研究のために持ちかえることが任務である生物探査船(BSM:バイオロジカル サーベイ ミッション)パンドラ号。

地球への長い帰路,クルーは冷凍睡眠につき,宇宙船は自動航行でワープを繰り返していた。その行程の一つ,白色星ウルフレイト付近でワープアウトした時,偶然,強力な恒星爆発による電磁波嵐に巻き込まれてしまった。

船体は損傷を受け,乗組員は非常警報とともに緊急解凍された。緊急解凍で朦朧とする彼らは,宇宙船に関する完全な記憶も甦らぬまま,損傷を受けた艦の復旧任務に就かねばならなかった。

そして,船内には逃走した宇宙生物が徘徊していた。宇宙船の装備の多くは損傷しており,使って見なければ動くかどうかさえわからない。なお悪いことに,宇宙船の機能維持システムが深刻なダメージを受けていれば,時間とともに生命維持システムが停止してしまう可能性さえある。

まさに絶体絶命!

 だが,この状況の中でベストを尽くさねばならない。

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BSMパンドラ号の遭難のシステム
パンドラ号の遭難のマップ
このゲームは,SPIが刊行していたSFゲーム専門誌「Ares」の2号の付録ゲームです。

デザイナーは,SPIの社長であり幾多のウォーゲームの原型ともいうべきデザインを提出したことでも知られるジム ダニガンです。

ハーフサイズのマップには,宇宙船内の模式図と,様々な装備の状態表示欄,そしてゲームで使う様々な判定表がコンパクトに詰めこまれています。

各クルーは,宇宙船内のランダムな場所からプレイを開始し,新しいスペースに入るたびに発見チェックをして宇宙船の様々な装備や宇宙生物をランダムに発見していきます。

そして,宇宙生物のすべてを捕獲,もしくは捕獲できなければ処分し,最後は宇宙船の全システムの再起動に成功すれば生き残ることができます。

プレイの仕方としては,ソロプレイでクルーチームを操って任務に挑む他に,二人で対戦してクルー対逃走宇宙生物で宇宙船の支配を争うこともできるようになっています。また,クルー一人ずつを一人のプレイヤーが担当してチーム戦でプレイすることもできます。

このゲームは,後になってTACTICS誌の付録ゲームとして完全日本語化されたものも登場しました。そのため,Ares誌のゲームの中でも日本でプレイしたことのある人がもっとも多いゲームの一つではないかと思います。ゲーム好きの知人,友人に聞くと,案外と押し入れから出てくるかも知れません。

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姉妹作もあり,連結もできる
Ares2号の関連記事
探査任務船というと,当時放映されていた「スタートレック」が連想されます。このゲームでは,帰路での事故というあまり関連性のないモチーフを切り出していますが,こうした生物探査任務のゲームも面白そうではないか‥‥というのはアイデアとして浮かぶところです。

この任務を扱ったゲームが,後に登場した「BSMパンドラ号の航海」で,同じAres誌に付きました。さらに,この2作品を連結させるルールも登場しています。

宇宙生物というのは,SFマインドを刺激するものの中でももっとも有力なものですが,この号にはパンドラ号にちなんでそうした関連記事が掲載されています。右の様々な宇宙生物の想像図のほかに,「宇宙生命は実在し得るのか?」という真面目(?)な考証記事もあります。

「パンドラ号の遭難」の難点

このゲームでは,クルーがランダムに様々なものを発見していきます。宇宙船の装備の状態や,遭遇する宇宙生物の能力は,その都度,ランダムに決められていきます。

これは未知の状況を作り出すために止むを得ないと思うのですが,実際にプレイすると困ったことが起こることもあります。宇宙船がもはや絶望的な状態にあることが発見されたり,とてもかなわない凶悪な生物に行方を阻まれ対策がなくなってしまったりします。

クルーの人数が多い方がディザスターを招きにくいのですが,そうした場合にはプレイバランスの都合で宇宙生物が強力になるようにダイス修整をします。ところが,この修整をしてしまうと出てくる宇宙生物がどれもこれも「ずるがしこくて強暴で危険な攻撃力を持ち武器が効かないほど硬い」やつばかりになってしまいます。

仕方がないと言えばそうなのですが,宇宙生物が没個性なのはプレイしていてどうも興味を削がれること必至です。せっかく,宇宙生物のシルエットを一つ一つ異なるものを付けているのにもったいない話しです。

関連ゲーム / 類似ゲーム

姉妹編である「BSMパンドラ号の航海」があり,連結もできます。もちろん同じSPIの同じAres誌のゲームです。

宇宙船内で宇宙生物と戦うというシチュエーションは映画「エイリアン」でポピュラーになりました。中でも傑作なのは,スティーブジャクソンの「外宇宙からの恐るべき緑のもの」しょう。他にも,SPI/TSRの「スナイパーバグハンター」や,TASK FORCE GAMES の
「イントルーダー」などがあります。

また,Ares全体については「Aresを覚えていますか?」を是非ともご参照ください。

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