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外宇宙からのおそるべき緑のもの
The Awful Green Things from Outer Space / Steve Jackson Games


一言で言えば‥‥

探査船は居住可能な惑星で,1個の緑の岩石を積みこんだ‥‥

ところが,その岩は成長して乗員を攻撃し増殖して船内を埋め尽くし‥‥

こんなゲーマーにお薦めしたい

B級SFゲームをこよなく愛する貴方に是非!

勝敗を争うよりも状況の面白さを楽しむことのできるプレイヤーたちに

プレイ人数 2人対戦,大勢でワイワイやっても楽しい
プレイ時間 1〜2時間
ルール難度 初級ウォーゲーム,ただしかなり独創的
デザイナー トム ワム
入手状況 入手可能

おそるべき緑のもの設定
恐るべき緑のもの設定
「おそるべき緑のもの」の設定を知るには,ルールブックの冒頭に付いている2ページのプロローグ漫画を読むのが一番です。

右はその2ページ目で,4種族からなる共同探査任務船が居住可能な惑星に辿り着いて,そこでペット(まんまるな胴体に3つ目の鳥)を捕獲して連れかえるのに成功したところです。

この時に,記念に一緒にその星の緑色の岩石を持ちかえったのですが‥‥。

あとはB級SFの王道を行く展開が待っています。船内でばったり緑色の岩石のような肌の一つ目の怪生物と遭遇したという悲鳴のような報告が入り,船内は色めき立ちます。それもどうやら一体だけではないらしく,あちらからもこちらからも‥‥。

恐るべき緑のもののシステム

このゲームは,基本的には単純な移動/戦闘型のゲームです。が,二つの強烈なシステムがこのゲームをB級SFゲームの傑作に仕立て上げています。

一つは,緑のものの「成長」という手順があることです。緑のものは卵生らしく,卵から幼生を経て成体になるようです。そして再び卵を生んでどんどん増殖します。また,緑のものは粉砕されても一定の大きさの破片だと再生するようです。このため,乗員はどんどん緑のものを倒していかないと,あっという間に船内を制圧されてしまいます。
おそるべき緑のもののマップ
では,どうすれば緑のものを倒せるのでしょう?

ここがこのゲームの第2の特徴です。船内には様々な武器,工具,食料,薬品,燃料があります。その内のどれが緑のものに対してどんな効果を発揮するのか使ってみなければわからないのです。

なにかを緑のものに対して使うたびに,その効果を判定するためのチットを引きます。左の図の例だと,スタンガンを使うと緑のものは成長してしまいます‥‥。

電気衝撃ネットは効果があるようで,緑のものが触れてくれれば効き目がありそうですが,連中にも学習能力はあるでしょうし‥‥。

かくて技術者は溶接バーナーで緑のものに立ち向かおうとしているようですが,その効果やいかに???

使うものにより効果の判定範囲が異なっていて,溶接バーナーやスタンガンだと緑のもの一体を狙って使うことになります。しかし,となりのマシンショップにある消火器のようなものは,一つのエリアにいる緑のもの全部にいっぺんに効きます。

敵を倒せるような効果なら一網打尽も夢ではありませんが,万が一,敵を増殖させるような効果だと一気に人口爆発の危険も‥‥。

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最後に残された手段は‥‥?
恐るべき緑のもののボックス
善戦むなしく緑のものの爆発的増殖で船内が破局に陥ったならば,乗員にとって残された手段はなんでしょう?

そうです探査船の自爆装置を起動して救命ボートで離脱するのです。古今東西,宇宙のどこでも探査任務船ではそういうものだと相場が決まっているようで,このゲームのエイリアン(言い忘れていたかもしれませんが探査任務船は地球人のものではありません)もまた同じ手段を選べます。

うまく自爆装置が作動するかどうかは運次第ですが,もう一つ重要な問題があります。救命ボートで逃げたのはいいですが,果たして故郷へと帰ることができるのでしょうか?

その答えもこのゲームには用意されています。エピソードとして,ごく小規模のパラグラフブック式の生還の試みを解決するシステムが付いているのです。

上級ルール,プレイバランス調整

わたし自身は試したことがないのですが,このゲームでは船外作業を可能にする上級ルールも用意されています。また,プレイバランスを調整するためのサジェスチョンとして,クルーを助けようと思うなら船外作業は導入した方が良く,またビームピストルの設定を2種類あることにして2度の効果チット判定をして良いほうを選択できるようにすることが挙げられています。

緑のものを助けるのは簡単で,初期配置する緑のものを増やせば良いのです。きっと,発見が少し遅れたのでしょう。

このゲームは小品と言って良い手軽さと,ボックスゲームとしてしっかりした体裁を持つにふさわしいだけの芸の細かい念の入った作りとを併せ持っています。

恐るべき緑のものの難点

このゲームは,B級SFゲームの「B級」というフレーズにもっともふさわしいゲームの一つと言えるかも知れません。シンプルで痛快なゲームシステム,プレイして抱腹絶倒な展開,B級SFゲーマーを唸らせる念の入った細工の数々。誉めようと思えば,それこそ徹頭徹尾誉め切れる傑作ゲームです。

それでも強いて難点を挙げるとすれば,勝敗を争う競技ゲームとしては豪快に過ぎるところでしょうか。とは言え,痛快に遊んで楽しい思いをさせてもらえ,仮に負けたとしてもすぐにやり直せるようなプレイアブルなゲームですので,どうということはありません。

わたしの持っているものは,ルールブックを見ると「第5版」となっていて,出版年度の記載自体も1980年を筆頭に,1988年,1990年と3回を数えています。テストプレイも白熱してルールも練りこまれ,発売されてからも人気に応えて再版されているということでしょう。

関連ゲーム / 類似ゲーム

映画「エイリアン」もあるように,このモチーフはB級SFの定石の一つと言えるかも知れません。

同じようなゲームとしては,SPI/TSRの「スナイパーバグハンター」
、TASK FORCE GAMES の「イントルーダー」,Ares誌の「BSMパンドラ号の遭難」などがあります。

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