生きる花
PC が面白い変換をするので、
時々キーボードに指を置いたまま、
画面を凝視していることがある。
射切る。
その文字がモニタに現れた時、
狙いを定め、生を切っていくことが生きていくことなのかな、と思った。
切手 とまた、現れて
誰かに郵便的に繋がっていく連想に遊んで、また手を止めた。
蘭はとても好きな花で
形、香、立ち姿に
凛としてパワフルなそれでいて、潔いそんな印象がある。
とりわけ、魅了という花言葉を持つカトレアに。
殆ど眠りに帰るだけの部屋である。
お風呂にはいり、洗濯をして、眠り、朝食と化粧、着替え。
それだけのことしかしないのに、帰る部屋に花を欠かさない。
お財布が乏しければ、こっそりアパートの庭木から一枝を拝借する。
そこまでして花を飾るのは、
花がわたしを励ましてくれることを知っているからだ。
生きている花は、枯れていくことを逃げない。
自分のいのちの輝きを射るように鮮烈に咲く。
それは、生きることを
選びとっていく意識的なことばとおなじ姿だ。
咲くことばは、光となる。
人生という道の、時には真っ暗で、どこにいるのかわからなくなった時にも。
上田假奈代
2002年1月1日
⇒10月号 ヤリタミサコさん
⇒11月号 さいとういんこさん
⇒12月号 いとうさん(poenique-詩の寄り添う場所-)
(ページ及びグラフィック製作 芳賀 梨花子)