薦田式「独り学習」とは?
 薦田式「独り学習」につきましては,拙著「学習革命シリーズ」の小5編・小6編・中学編で,頭脳の使い方の模式図等を使って詳しく述べてあります。ここでは,それらをまとめた形で要点のみを述べます。
 「独り学習」はさておいて,学力をつけるための学習とは,一体どういうことなのでしょうか。人間が学ぶ(学習する)ということの原点は幼児期に遡ると解り易いと思われます。幼児は大人に向かって「どうして?」を連発します。これは,自分のそれまでに体験したものが,自分にとって当たり前のものとして,まだやっと形が整えかけたものにせよ,それなりの知識体系の雛形のようなものとして自分の中に有り,それと矛盾している新しい体験に出くわした折に,その矛盾を解いて,新しい体験をそれまでの知識体系に矛盾なく取り入れたいために,大人に助けを求めて発する「どうして?」なのです。この幼児期の学習は最も自然で,あるべき姿であり,その延長線上に,小・中・高・大の児童・生徒・学生のみならず,大人も含めて全ての学習が存在するべきであると思っております。
 自分で考えて,「相互矛盾が無いように自分の頭の中に作り上げて来た知識体系」と「新しく入って来た情報(体験や書物や人の話等から得たもの)」が矛盾しないように新情報を取り入れていくという作業は,自分一人でやらなくてはならないという頭脳的作業です。この頭脳的作業のことを私は「独り学習」と名付けているわけです。
 従って,これは本来あるべき頭脳活動であって,「薦田式独り学習」などと特に言う必要のないものです。しかし,この頭脳活動(独り学習)が世の中一般では意識化されていなくて,まだ話題にすらされていないので,その掘り出し者(発見者)である薦田安美知の薦田を冠して,敢えて「薦田式独り学習」と申している次第です。

 この「独り学習」の学習形態は見掛け上は自学自習の唯一人で学習するという形態をとります。この「独り学習」が一般的にいわれている自学自習と大きく異なる点は,頭の中の頭脳活動ですこの頭脳活動が上で述べたようなものであって,目をキラキラと輝かせながら,学習内容に引き付けられるような様子で,唯一人で学習しているという場合を意味します。従って,学習している知識が,それまでに自分の中に構築されている知識体系と矛盾のない形で取り込まれていって,新しい知識体系が再構築されるという知識体系の再構築が次々と繰り返されていきますので,そのような頭脳活動を通して,問題解決能力(学力)も飛躍的に付いて行くという学習をしていることになります。
 このように申し述べますと,大変難しいことのように思われるかもしれませんが,この「独り学習」をしているお子様本人の立場からは楽しくて楽しくて仕方がないというようなものになります。ですから,目もキラキラと輝いて来るということになるわけです。お子様の頭の中の知識は理路整然として矛盾なく整理されていて1つの体系を構築しており,「学習とは,新しい知識をそれまでの知識体系との間に矛盾がないかどうかをよく考えて,矛盾のない形でそれまでの知識体系に組み込んで,新しい知識体系を作ることである」というわけですから,頭の中はすっきりとしますし,充実感も味わえるということになります
 そして,問題演習などを行う学習では,パターン暗記当てはめ式解答をするのではなくて,上で述べたような頭脳活動によって,構築された知識体系とのやり取をするのですから,頭脳的ゲームをしているときと同じような充実感や緊張感を味わうことになります。
 この「独り学習」を始めさせるのに最もよい時期が一生の間に2回あります。1つは「0〜3歳」の時期,もう1つは「小学校高学年(5,6年生)」の時期です。いずれの時期も医学的に前頭葉の著しい発達のある時期です。前者は乳幼児期で,この時期に主体的な体験活動を多くさせ,本人が自ら考えて安全に活動できる良好な環境を与えることによって,望ましい方向へ向かわせられます。このことは,拙著「学習革命シリーズ」の「幼児編」で詳しく述べてあります。後者の小学校高学年期には,学校で学ぶ教科書、中でも算数教科書を媒体として「独り学習」の方法を学ばせ,その「独り学習」によってどんどん自学自習させることが望まれます。この学習方法と指導方法につきましては,拙著「学習革命シリーズ」の各学年編で詳しく述べてありますが,中でも小5編・小6編・中学編の各編で特に詳しく述べてあります。
 ここで,小学校高学年から始めるのが最適と申しましたが,既に中学生以上になっている場合でも,小学校高学年生と同様にして「独り学習」の方法を身に付けることが望まれます。例え大学生でも十分可能なことですので,臆することなく取り入れて,是非小学校高学年生と同じように学習させて頂きたく思います。中学生以上の場合には,年齢的に経験も多く積んでいますので,小学校高学年生よりはスピードアップも出来ます。このことも申し添えて元気を与えて頂きたく思います。
 全くの「独り学習」では,指導者はいりません。理解出来ないところに出くわしても,どこを質問するべきかの問題点がはっきりしておりますので,そのような場合には,学校へ行って学校の先生に質問すればそれでこと足りるということになります。指導者を必要とするのは,この全くの「独り学習」の1歩か2歩手前までです。ときどきそれとなく指導者からそっと助言をして頂かなくてはならないといったような場合です。この場合の指導者選びは非常に大切です。この選び方次第では,折角伸ばして来た「独り学習」の姿勢をつぶしてしまうことになります。非常に簡単な指導のようでも,ものすごく指導者の力量が問われるもので,出来ることなら超一流の先生を選んで下さいと申し上げたくなります。数歩譲っても,少なくとも,ここで述べている「独り学習」の頭脳活動(頭の使い方)は解かって下さる先生をお選び下さいということになります。
 この「独り学習」を小学生以上の子供たちの身に付けさせるためには,私の50余年の指導経験からも,年齢的には小学校高学年(正確には小4冬休み)のときから始めるのが最適で,学習教材としては小学校第1学年から第6学年までの算数教科書が最適と思っております。そして,この算数教科書は,既に学校で学んだところであっても,復習するという姿勢ではなくて,初めて学ぶという姿勢で小1教科書からの学習のやり直しをさせるのがよろしい。
 算数の学習内容は,論理的で,頭の中を論理的に体系化するのには大変よいものであると同時に,基礎・基本の修得に大変役立ちます。また,算数という「論理的に体系化された易しい学習内容」を短期間でやり直すことによって,「知識を体系化するという頭の使い方」をここで学ぶことになります。従って,指導者はこのことに全神経を打ち込まなくてはなりません。かくして,小4教科書が終了する頃には「独り学習」の方法がほぼ身に付き,それまでの学習内容もよく理解された形で頭の中に体系化されますので,それから後は指導者からの「ほんの少しではあるけれども,ものすごく大切な助言」を時々貰うだけで,「独り学習」の方法でどんどん先へ進められるようになります。かくして,小学校6学年卒業の頃には,中3数学教科書を独りでやり終えられることになります。これから後は,完全な「独り学習」で,中学生時代に「高校数学教科書の数T・数A・数U・数B・数V・数C」の全部を消化し,場合によってはそれより先の大学の数学専門書までにも立ち入ることが出来るようになります。
 このような「独り学習」という学習方法を身に付けますと,そのような学習方法で学習内容をこなすことが楽しくて仕方なくなりますので,独りでどんどん先へ進みたくなります。それだけではなくて,この学習方法は他教科へも波及しますので,算数や数学以外の教科も「独り学習」の方法で,学校の授業よりも先へとどんどん進むことが出来るようになります。更に,充実感のある本当の意味での楽しさを味わうことになりますので,性格も明るくなり,優しい子に変わっていきます。この「独り学習」は,学校の授業で先生の講義を聞くのと異なって,マイペースで進めますし,自分の頭脳活動に合わせて進めますので,非常に効率的ということにもなります。従って,時間的余裕も出来て,勉強以外のことをする時間も大幅に増えるということになります。そのようなわけで,学校の部活動や児童会活動・生徒会活動等に参加しても,まだ時間に余裕があるというようなことになります。
 
時間的余裕の実例に関しては「学習革命シリーズ」の小5編でも述べましたが,ここでも少し申し添えることとします。教育研究所クラフォサで長期間指導をした子供たちは現に部活動や委員会活動をよく行っております。「独り学習」の方法を身に付けた子で最も進度の大きかった子は女のお子さんで,小学校5年生の冬休みから小学校6年生の冬休み終了までに小学校1年生教科書から「旧課程の高校数学T教科書の1/3」までの学習をなし終えました。小学校5年生の半ばまでで中2までの数学を完全消化し,中学受験へ方向転換した子もいます。また,部活動と委員会活動を精一杯し,高3の5月の連休まで体育祭の委員会活動を目一杯して,受験態勢に入るのがやや遅れましたが,それでも現役で東大理Tへ進んだお子さんもいます。更に,もう1人の例ですが,小学生の頃から中学2年生の夏まで殆ど不登校で過ごしていたお子さんは,小1の足し算や小2の九九から始めて,1年間で9年分の学習をやり終えて,県立高校の入試に見事パスし,大学も卒業して,今は社会人です。「独り学習」の学習方法を身に付けると,これくらい効率がよくなります
 これらの実例は,嘘やまやかしではありません。子供たちのこれらの輝しい足跡の記録は,子供たちが使用したノートによって残されています。これらのノートは,本研究所に大切に保管されています。

   ――――――― これまでとこれからの活動の展開 ――――――

 教育研究所クラフォサの研究所規程第3条(目的)の第2項は「教育のあるべき姿を希求し,その成果を発表して,世界の教育の向上に資することを目的とする」となっています。平成3年からの14年間余りの取り組みと「学習革命シリーズ」の著書の発行で,成果の発表の主たる部分は成し終えたと思っておりました。しかし拙著やHPによる発表だけでは「教育の向上」に大きい効果が期待出来ないことも分かりました。それで,平成17年秋から,その普及活動を起こすことにしました。それが「独り学習の全国展開」です。トップページの「独り学習の全国展開」のところをクリックして頂いて,御理解を賜り,御協力して下さいますようお願い申し上げます。
 平成17年秋から,私立小学校等の現場への働きかけをしましたが,いろいろとありまして,具体的に指導に乗り出せたのは平成18年夏でした。この夏には,福島県南会津郡の南会津町教育委員会舘岩分室主催のホーホケキョ教室での「薦田式独り学習」によるボランティア指導を行いました。この指導を皮切りとして,外部へ出掛ける普及活動を具体化し,続いて,同年10月からは埼玉県の戸田市立笹目東小学校でもボランティア指導を行うことになりました。これらの2例について,以下に簡単に紹介します。詳しくは「教育研究所クラフォサのアウトライン」の「5.現在行なっているボランティア指導」を御覧下さい。
《その1》…南会津町後援・独り学習寺子屋教室
 南会津町では,高い評価を得て,父母の会による「薦田式独り学習寺子屋教室」が平成18年秋に立ち上がり,平成19年6月12日からは町が後援して下さることになり,「南会津町後援・独り学習寺子屋教室」として新しい門出をしております。この教室でのボランティア講師兼塾長をしております。開室日は,学校の長期休業期間中の各1週間余りと毎月1回の土曜・日曜で,1日当たりの授業時間は,午前中3時間,午後3時間の計6時間です。町の広報誌では講師募集もして下さっており,やがては私が居なくなってもよい方向に進んでいってもらえるのではないかと嬉しい期待をしております。
《その2》…戸田市立笹目東小学校(学校管理下の指導)
 戸田市立笹目東小学校では,放課後の学習教室である「わくわく150時間スペシャル指導教室」のボランティア講師として,平成18年10月からその指導に参加しています。好評を得て,平成19年度には特色ある教育課程の1つの柱として,「薦田式計算力UPコース」が据えられ,校長先生始め先生方や事務の方の温かい御支援のもとに活動して来ました。そして去る平成20年3月28日には,「児童の基礎学力向上の功績多大」とのお褒めのお言葉による「戸田市教育委員会表彰」を頂きました。

 以上の2例につきましてはここまでで終わりにして、話を元に戻します。今の教育の問題点は新聞紙上等いろいろなところで多く述べられています。しかし,その解決方法については殆ど述べられていません。例え述べられていても,その殆どは急場凌ぎのものばかりです。私は,その解決方法について,既に著書11巻で具体的に詳しく述べて参りました。要点は,頭脳の使い方と並んで基礎・基本を大切にすることです。このこともよく言われていますが,どのように具体的に大切にし,どのように具体的に学習を展開させていくかになると,全く述べられていないのが現状です。そこのところについて詳しく具体的に述べているのが私の著書(単なる指導書ではなくて,平易に解り易く書いた教育方法論の本)であり,その著書に述べられていることが私の主張するところのものです。このことに関しましては,ここでも既に概略を述べて参りました。
 くどいようでも大切なことですので,それをここでもう一度簡単に申しますと,「小学校の算数教科書を使って,第1学年のところから算数のやり直し(復習ではない)を行い,同時によい学習方法(頭脳の使い方)を身に付け,基礎・基本をしっかりと固め,独り学習によってどんどん上級学年の算数や数学を身に付けていく」というものです。小学校第1学年の算数からやり直すのは,その学習内容が易しいので,数学的な考え方を培うのには,最適であるからなのです。この「数学的な考え方」は,早ければ小4算数教科書の終了までに,遅くても小6算数教科書終了までにどの子も付けることが出来ますので,それから後は「独り学習」の方法でどんどん先へ進んで行けるということになります。
 最も大切なのは,頭脳の使い方と並んで基礎・基本です。ここを疎かにして,中学や高校で「中学校や高校の学習内容」にこだわるから,いつまで経っても数学好きにはならないのです。基礎のしっかりしていない建築物はいくら上部を手直ししても直ぐに傾いたり崩れたりしてしまいます。これと同じです。「小学校1年の算数からやり直す勇気があるかないか」,あるいは「小学校1年の算数から学ぼうという真剣な気持ちを子供に生じさせられるかどうか」のここのところがポイントです。一流の音楽演奏家は演奏の直前でも基礎的な練習を大切にすると聞いております。これはすべての分野でいえることではないでしょうか。
 1ヶ年程度で,算数が出来て,数学が出来るようになり,その結果他教科の学習でもよい学習方法で学べるようになり,短期間に殆どの他教科でも好成績が得られるようになります。これは人間が持って生まれた本来の頭の使い方で,本当に楽しい学習ですので,性格的にも明るく優しい方向へ向いてくれます。これは明るい未来への突破口です。是非子供たちに「独り学習」へと進ませて頂きたく思います。どこかの学校やどこかの学習塾が旗頭になって,この「独り学習」を採用して下さって,日本といわず,世界中へ広めて頂いて,子供たちを明るくし,よい未来へとつないでいって頂きたく思います。御協力を是非お願い致します。指導法につきましては,出来る限りの大いなる支援をさせて頂きたく思っております。
 子供たちを,受験のための「解答方法のパターン暗記」等の「暗記中心の学習」から解き放ち,「人間が持って生まれた本来の頭の使い方(考える学習)」へと引き戻し,目がキラキラと輝いた健全な子供たちにしようではありませんか!!
                 (所長の薦田 , 更新 2008.4.1)               
                                   以上


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