サッキングバキューム
Sucking Vacuum / Alien Menace
ショートコメント
●窮地の宇宙ステーション、空気が枯渇していく中、宇宙服を揃えて脱出艇に給油して発進することはできるか?
Space station at the bay, lacking the air second by second, you must collect
spacesuits and prepare the escape pod.
published |
designed |
players |
time |
2002 |
Marc Davis |
3-6 |
45+ minutes |
窮地の宇宙ステーションコメディ?
「サッキングバキューム」は、新興のメーカー、エイリアンメネースから出た封筒ゲームです。このゲームは非常に評判が良かったようで、実は既にコンポーネントもルールもシナリオも増強したボックス版の2版が発売になっています。
ここでは初版を紹介します。
設定は、6人乗りの宇宙ステーションで事故が起こり、緊急脱出するというものです。ここでお粗末なのが、宇宙ステーションには宇宙服が一応あるのですが、ヘルメット、ボディ、レッグの3ピースからなる宇宙服は、船内の各所にてんでんばらばらに置かれていて、誰もすぐには着られない状態なのです。
そこで、各宇宙飛行士は一区画ごとに進んでくる真空の中、どうにかして宇宙服の3ピースをかき集めて着込むことから脱出を始めます。
各ルームで移動を終了すると、そのルームにある裏返された備品コマをチェックすることができ、そこから任意の1つを手に入れることができます。他のプレイヤーがチェックした内容はわかりませんから、自分の欲しいピースがそこにあったかどうかは自分で行って確かめて見るしかありません。かくて船内を宇宙飛行士たちは右往左往していくのです。
しかし、問題はそれだけではありません。
実は唯一の脱出ポッドは二人乗りなのです。そして、二人でなければ操縦できません。しかも、その燃料は充填されておらず、船内のどこかに置いてある燃料を持ってきて注入しなければ動きません。
無事に宇宙服を着込んで燃料を注入し、さらに二人そろって脱出ポッドに乗り組むと、めでたくその二人は勝利できます。とは言え、残りの宇宙飛行士も黙って置いていかれるはずはありません。
ファイナル・コメント
設定的にはシリアスなのですが、実際にプレイするとどことなくシチュエーションコメディのようなゲームです。
最先端のはずの宇宙ステーションがこんな杜撰なことで良いのかと思わせるような頓珍漢な騒動がコミカルなのでしょう。
ゲームとしてはそれほど戦略的ではありません。アイテムの引きが重要ですし、宇宙服が揃わない内に真空が迫ってくると、宇宙服を奪い合っての泥試合が始まります。いかにもアメリカンテイストのビア&プレッツエルゲームです。
二版ではコンポーネントがカラー化されており、エイリアンが潜入していると言う設定のシナリオも追加になっているようです。コンベンションなどではこのエイリアン潜入シナリオが非常に人気があると言う話しです。
いずれ二版をプレイする機会があれば、また追加して紹介したいと思います。
宇宙飛行士にとっての敵は二つあります。
第一は真空です。真空エリアは最初は限定されていますが、宇宙飛行士が物資を探してエアロックを開けると、真空エリアが広がっていきます。
宇宙服を3ピース集めて着込んでしまえば良いのですが、そうでないと肺の形をした呼吸トラックで呼吸状態が低下していくことになります。酸欠状態に陥ると、床を這いずることしかできなくなり、他の宇宙飛行士に持ち物を一方的に奪われても抵抗できなくなります。
ただし、船内各所に酸素タンクがあり、そこに辿り着くと、一時的に呼吸トラックが回復して再度活動できるようにはなります。
第二は他のパイロットです。パイロットは他のパイロットを攻撃することができ、それによって相手の呼吸状態を悪化させたり、さらには酸欠状態の相手からアイテムを奪ったりすることができます。酸素が不足する極限状態では、生き残るためにはなんでもありというゲームなのです。