アウトポスト
Outpost / Timjim Prism Games
ショートコメント
●ティムジム/プリズムの印象的なデビュー作品は惑星開発のマネージメントゲーム
●未開の地で資源を採掘し次の設備投資でコロニーをそれぞれの方向へアップグレードしていく
The first game from Timjim/Prism Games which covers management of planetary development.
Start mining the resources and then invest the next higher system to upgrade your colony by your strategy.
published designed players time
1991 James Hlavaty 3-6 2-5 hours
未開の地に植民地を作れ!
 未開の惑星に新植民地を作る建設系ゲームの幻(?)の傑作と呼ばれているのがティムジム/プリズムゲームズの「アウトポスト」です。
 「アウトポスト」は、90年代前半に活躍したティムジム/プリズムゲームズの最初の作品です。
 この2つの小メーカーは共同で事業を進め、SFゲームでは時間テーマの傑作「タイムエージェント」や、モノポリー系列のゲームの新機軸「ファストフードフランチャイズ」など、いくつもの傑作、話題作を90年代前半に提供しました。
 経済的なマネージメント要素が強いゲームが多かったのがこの会社の特徴ですが、「アウトポスト」はその特徴が良く出た一作です。宇宙植民地開拓の傑作ゲームと言って良いのですが、マイナーメーカーのデビュー作であったこともあり、あまり流通せず、特に日本ではそれほど見かけることがありませんでした。その一方で、実際にプレイしたゲーマーの間では内容の良さが高く評価され、早々に幻の名作になってしまいました。

 ゲームの仕組は、技術が発展していき、生産できる産物の価値が上がっていき、それによってまた技術が発展していくという、拡大再開発型で主としてカードを使ってプレイします。
 ゲームで中心的な役割を担うのは、新技術を表すコロニーアップグレードカードです。ゲーム開始時には各プレイヤーは、鉱石工場と、水工場しか作ることができず、コロニーで維持できる最大人口も5単位でしかありません。また、貯蓄できる産物カードの枚数も4枚でしかありません。
 ところが、コロニーアップグレードカードを取得することで、もっと生産価値が高い工場を建てることができるようになり、コロニーの規模を大きくすることができるようになり、手札の枚数も拡張していけるようになります。
ファイナル・コメント
 他にも様々な技術がジェットが織り込まれていて、たとえば7番目のコロニーアップグレードカードであるロボットは人間に代わる労働力としてロボットの生産を可能にします。これによってコロニーの人口制限を越える生産設備の運転が可能になるようになっています。
 基本的なゲームの仕組は上述したもので全てなのですが、コロニーアップグレードカードによる技術の発展とコロニーの発展が、いかにも科学技術と開拓地の発展らしさを出しています。ゲーム展開としては、互いに攻撃したりする訳ではなく、地味なマネージメントゲームと言って良いと思います。
 また、このメーカーの初期作品の特徴として低コスト志向のためボードはモノクロで、そこにカラフルな単色のカードをいろいろ置くことで見栄えをなんとかしているというところも地味です。
 それにも関わらずプレイした人の多くが、このゲームの魅力に憑かれてしまいます。それは、科学技術の夢、開拓地のフロンティアスピリットという開拓者SFの魅力が上手くゲーム内に詰まっているからでしょう。
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 このコロニーアップグレードカードは実に13種類もあります。そして重要な点は、各種類のカードはプレイヤー人数−1枚しかないということです。
 このため、順次コロニーアップグレードカードが競りに出てくるのですが、どれを取得するかによってプレイヤーごとのコロニーの戦略や方向性が異なってくることになります。全てを揃えることはできませんから、なにを武器にしてどんなプランで最終的な勝利を目指すかが重要になります。
 イメージを描いてもらうためにコロニーアップグレードカードの実例を少し紹介して置きましょう。
 安価なものから順に、データライブラリーは勝利得点1点をもたらし、さらに上級のアップグレードカードであるサイエンティストやラボラトリーの値引きをもたらします。これは生産に即効性がないのですが、植民地を科学志向に方向付けるカードになります。
 ウェアハウス(倉庫)は勝利得点1点をもたらし、プレイヤーが手札として持ち越せる産物カードの枚数を3枚拡張します。
 ヘヴィーエキップメント(大型建設機械)は勝利得点1点でウェアハウスやノジュールなどの設備系のアップグレードカードの値引きをもたらし、プレイヤーにタイタニウム工場の建設を可能にします。
ノジュールは勝利得点2点の居住設備で、コロニーの維持人口を3単位拡張します。
 さらにゲーム終盤になると、植民地のある惑星から再び植民者は宇宙へと拡張して行きます。11種類目のアップグレードカードは、スペースステーションで10勝利得点をもたらし、無重力を利用した軌道薬品工場の建設を可能にします。
 12種類目のプラネタリークルーザーは、15勝利得点をもたらし、小惑星資源採掘工場の建設を可能にします。
 13種類目のムーンベースは、衛星への恒久施設として20勝利得点をもたらし、月資源工場の建設を可能にします。
 順序が逆になりましたが、ゲームの手順の概要を説明しておきましょう。
 先ず、各プレイヤーが所有している生産施設に対応する産物カードを配ります。開始時には、鉱石工場と水工場しかありませんから、その産物が配られます。この産物カードが通貨となり、これを使ってコロニーアップグレードカードの競りを行い、持っている技術で可能な新生産施設の建築や、労働者の雇用をして、コロニーを拡張していきます。
 このときに産物カードは資源ごとに価値の水準がずれています。たとえば鉱石の産物カードは価値が1〜5で、水の産物カードは4〜10です。順に価値が上がっていき月資源工場の産物カードになると価値が実に40〜60になります。
 人口制限があり動かせる工場の数が制限されているため、できるだけ生産性の高い工場に移行していくことが必要なわけです。また、先に説明した手札制限というのが、この産物カードをターンを越して持てる枚数の制限になっているので、安いカードを大量に持っていてもムダになってしまうということもあります。
 このゲームでは産物カードが通貨なので、お釣りが出ません。このため、大きな額のカードには、それなりのデメリットもあります。