フルメタルプラネット
Full Metal Planete / Ludodelire
ショートコメント
●鉱物資源に恵まれた未開惑星に降下し、期限までにできる限りの資源を採掘せよ
●リアルタイムで決断を強いられるウォーゲームとファミリーゲームの中間に位置する独特のボードゲーム
Mission: Land your Mother ship on Full Metal Planet for mining. Get minerals as much as you can until time-limit.
Unique boardgame between hex-wargame and family-type game in which you must decide every decision in time.
published designed players time
1988 G. Delfanti, G. Mathieu, P. Trigaux 3-4 3-5 hours
魅惑の金属惑星
 「フルメタルプラネット」は、フランスのルドデリレのボードゲームです。
 これは日本ではなかなか見かけないゲームかも知れません。
 ゲームの内容としては、アメリカ系のヘクスウォーゲームと、ドイツ系のファミリーゲームの中間に位置するような存在です。
 ユーロゲームズや、ティルジットなども同じようなポジションのゲームを出しており、フランス系のボードゲームの共通するテイストなのかも知れません。
 「フルメタルプラネット」では、プレイヤーたちは鉱石資源に恵まれた惑星にアストロネフと呼ばれる母船で降下します。そして、ターン数の期限までに種々の船外活動装備を活用して資源を母船に運び込み、再び離陸していきます。
ファイナル・コメント
 「フルメタルプラネット」のタイトル通りにメタルフィギュアの採掘ロボットが、赤錆びた地表を鉱石を採掘して活動する様は、非常に雰囲気のあるSFボードゲームです。
 日本では知名度が低いかと思いますが、本国フランスばかりでなくアメリカなどでも人気があるようで、オークションなどではそれなりの競争率があります。拡張セットも出たらしいのですが、本体よりさらに入手が難しく筆者も未見です。
 ヘクスマップを見ると難しそうに見えますが、プレイ感覚はファミリーゲームにも近いのでSFゲームが好きな人で他人を攻撃する要素があっても大丈夫な人ならウォーゲーマーでなくてもプレイできるでしょう。
 他のゲームとテイストがかなり違って個性的ですので、その意味では一度プレイしてみて損はないと思います。
関連ゲーム
アウトポスト
司政官
●プロジェクトマルス
BSMパンドラ号の航海
 「フルメタルプラネット」のマップは、ヘクスマップになっていてウォーゲーム風です。実際に戦闘ルールもあります。
 地表は赤茶色の陸地と、灰色の山岳、そして青い海が入り組んだ地形となっています。また、この惑星の海には干満があり、それによって岩礁ヘクスや沼地へクスが、陸地扱いになったり海扱いになったりします。
 このゲームのシステムは独特で、プレイヤーは手番になると3分間の行動時間と、15ポイントのアクションポイントを与えられ、その範囲で好きなユニットを好きなように行動させることができます。
 ですから1つのユニットに15ポイント全てを与えて一気に遠くまで遠征させても良いですし、多数のユニットをチームとして運用し少しずつ行動範囲を広げていくということもできます。このへんが全てのユニットが同時並行で動くウォーゲームとは異なっており、シミュレーションというよりは思考ゲームのテイストになっています。
 プレイヤーのユニットで、一番、重要なものは、鉱石を採掘して輸送するクラブと呼ばれる大型のハサミを2つ持つ低重心の採掘ロボットです。
 次にコンバーターと呼ばれる大型のロボットは、クラブから受け取った鉱石を利用して新規のユニットを製造する機能を持っています。ユニットを増やしてもアクションポイントの合計が限られているので行動範囲がどんどん広がるという訳ではありませんが、戦闘行動が起こるとユニットは消耗しますし、複数の方向に採掘活動を展開しようとすればそれなりの陣容が必要になります。ここらへんはプレイヤーの戦略によるでしょう。
 バージと呼ばれる大型の輸送船は、陸上ユニットを海を渡すために使われます。地表にはかなりの面積の海があり、これによって隔てられた地域に地上ユニットを展開するためには重要な存在です。
 戦闘ユニットには、タンク、スーパータンク、ボートなどがあります。
 このゲームの戦闘ルールは非常にユニークで、アクションポイントを消費して敵のターゲットを射程内に納め、続いて射撃することで破壊します。このときにユニットの射程が非常に短く、タンクやボートは2ヘクス、スーパータンクでも3ヘクスしかありません。さらに、射撃するときには必ず2つのユニットで同時にターゲットをクロスファイアーしなければ破壊できません。このため、敵対する勢力との境界線には複数の戦闘ユニットを配置し、仕掛けるときには一気に間合いを詰めて十字射撃で敵を撃破して突破することが必要になります。
 貴重なアクションポイントをどこまで戦闘に振り分けるかは悩ましいところですが、一旦、突破されて戦闘ユニットの数のバランスが崩れるとダメージは非常に深いのでリスクは良く考えておかねばなりません。
 ここで問題になるのが、プレイヤーの手番が3分に限られていることです。その中で状況判断や交渉をして、具体的な行動まで実行しなければならないという重圧が掛かるのです。
 母船は大型のマルチヘクスユニットで、3方に伸びたウィングに砲塔があります。最初のターンに地表に着陸するのですが、この着陸ポイントの選び方がゲーム全体の流れを左右するほど重要です。
 砲塔を多数装備した母船自体を攻撃することは容易ではありませんが、もし他プレイヤーの母船を奪うとアクションポイントを5ポイント余分にもらえるようになるので、チャンスがあれば積極的に狙うべきでしょう。
 プレイの画像を見るとわかりますが、陸地と海が入り乱れており、そこに引き潮では陸地になる礁、満ち潮では海になる沼が入り組んでいます。ユニットでは説明しませんでしたが、このゲームでは構造物としてブリッジも作ることができ、最初の着陸の段階からバージを運用するのか、それともブリッジを作るのかして海をどこで越えて版図を広げる可能性を睨んでおくかは重要です。
 ゲームの中盤以降も、他プレイヤーの勢力と、こうした要衝となる部分での激突が生じるため、中期的な視点でゲームボードを睨んでいることが必要です。その一方で毎ターンの15アクションポイントでベストを尽くすとなにができるかをリアルタイムで決断する訳です。独特のテイストですが、なかなか面白いチャレンジになっています。
 ゲームシステムの概要は以上ですが、このゲームの魅力はこうしたユニット全てがメタルフィギュアで作られていることです。フィギュアの出来はGWのチタデル品などと比べると見劣りしますが、無骨な採掘ロボットとしては雰囲気出ています。