スタートレーダー
Star Trader / SPI Ares
ショートコメント
●忘れられたビジネスゲームの傑作システムを使ったSF星間交易ゲーム
●この分野の決定版とも言える作り込みは見事だが、決して手軽ではなくなってしまった
Forgotten great business game system is implemented as a Sci-Fi inter-steller trading game.
Great enthusiasm to make this as a final game of this topic, on the other hand this is pretty tough to play.
published designed players time
1982 Nick Karp 3-5 6+ hours
国際ビジネスゲームの決定版システム
 SPIの宇宙交易ゲームその名もずばり「スタートレーダー」です。このゲームタイトルは似たようなものに、スティーブジャクソンゲームズの「アイザックアシモフのスタートレーダー」が前後して発売され紛らわしくなってしまいました。
 SPIの「スタートレーダー」は、SF/Fゲーム雑誌「ARES」の第12号の付録ゲームです。雑誌の付録ゲームとは言いながらフルマップ、200ユニットのフルサイズゲームです。
 内容を一言で言うと、国際商社ゲームの決定版とも言うべき内容です。設定がSFであるがために注目のされ方が絞られてしまいましたが、ビジネスゲームの基本ゲームシステムとして非常に優れたデザインだと思います。
 マップを見ると、機能優先でまるでビジネスゲームの計算チャートを思わせます。しかし、実際にプレイすると非常に目的にあった良いデザインであることがわかってきます。この当りはSPIのナンバー2だったサイモンセン特有のセンスでしょう。ゲリラ戦ゲーム「チトー」と並ぶ彼の傑作マップデザインでしょう。
ファイナル・コメント
 実際にプレイすると、価格変動に対するプレイヤーの影響力が少し大きすぎるようで、本格的にビジネスが展開されると、世界中(というか宇宙中)でモノの価格差が急速に縮まっていきます。
 けれどもこれは実際の世界経済で物流の活発化によって起こっているのと同じことで、このゲームがシミュレーションとして優れているということの証明とも言えます。少し褒めすぎてしまいましたが、優れたデザインの割には忘れられてしまっている残念な作品ですので丁寧に紹介してみました。
関連ゲーム
アシモフのスタートレーダー
●マーチャントオブヴィーナス
カタンの星の旅人
カタンの宇宙船
#12 スタートレーダー
 ゲームは6つの太陽周辺の恒星系を舞台に、それぞれの星系の需給格差によって生じる価格差を利用して、供給過剰で低価格な星系から需要過剰で高価格の星系に物資を運んで稼ぎます。このゲームがシミュレーション的であるところは、需給バランスにプレイヤーが移動する物資の分量を加味して価格変動が形成される合理的なシステムです。
 これは実際にゲームマップを使って手にとって説明すると良く分かってもらえるのですが、文章だけだと伝えにくいのでここまでにしておきます。
 このゲームは本テーマの決定版を目指したかのような作りで、こうした基本システムに加えて、国際物流ゲームであればあっても良さそうな因子は皆含まれています。価格変動を睨んで倉庫を購入して物資を保管することもできます。また、ある市場で大きな取引をすることにより市場でコネクションや評判を獲得することができ、以後の取引で有利になるという要素もあります。
 取引には合法のものの他に非合法なものもあります。このためコネクションにも、政治コネクション、ビジネスコネクション、非合法コネクションと3つの種類があります。
 さらに、宇宙船も「マーチャント・ヴィーナス」が出来合い4種類だけだったのに対して、「スタートレーダー」では船体から始まって、それに載せる部品を自由に組み合わせて好きな設計ができるようになっています。船体設計ルールがあることから想像されるかも知れませんが、宇宙戦闘も標準ルールに組み込まれています。
 もっとも海賊行為は当然、非合法なわけです。このためパトロールのルールがあり、先にも述べたように非合法コネクションと言う物まである訳です。とは言え、ここらへんは少々やりすぎで設計や戦闘に時間を取られてプレイが進まないのはいただけません。
 市場に影響を及ぼすニュースチットや、特殊イベントチットもあり、およそ雑誌の付録ゲームとは思えないほどの作り込みになっています。