スターシップトルーパーズ
Starship Troopers / Avalonhill
ショートコメント
●ハインライの傑作「宇宙の戦士」をアヴァロンヒルが本格的な戦術級ウォーゲームとして仕上げたクラシック
●機動歩兵の能力の全てを、アレクニドの巣窟の脅威の全てをゲーム化し、7つのシナリオで学習していく
A straight classic tactical wargame that Avalonhill made from Heinlein's "Starship Troopers".
It covers every detail of powered armor suit and threat of Aleknid Bughouse..
published designed players time
1976 Rabdakk C. Reed 2 1-4 hours
宇宙の戦士と、パワードアーマースーツ

 「スーツは宇宙服ではない、しかしその様に使うことができる。スーツは宇宙船ではないが飛ぶこともできる、ちょっとではあるが。これを着込むと、巨大な鋼鉄製のゴリラがゴリラサイズの武器で武装しているように見える。しかし、このスーツはゴリラより遥かに強いのだ」
 ハインラインの古典的傑作「宇宙の戦士」の中で機動歩兵(スターシップトルーパーズ)が着るパワードアーマースーツは、そう説明されます。
 これこそが宇宙の戦士の真髄であり、それを着た機動歩兵の活躍が小説で、そしてゲームボードで繰り広げられます。
 なかんずく日本ではハヤカワ文庫版の表紙を飾ったスタジオぬえのイラストが抜群の出来栄えで、着想に魅力的な実像を与えてブレークしました。
 そして、ここから影響を受けた「機動戦士ガンダム」がアニメで大ヒットするに至り、パワードスーツ(あるいはモビルスーツ)はSFファンを越えて広く知られるものとさえなったのです。
 スターシップトルーパーズは近年映画化もされましたが、残念ながら魅力的なパワードスーツが登場しなかったことから、特に日本ではファンの失望が広がりました。ストーリーや個々の作戦などは綺麗にイメージ化されていただけに残念でした。
ネガティブ・コメント
 「スターシップトルーパーズ」は、SFゲームの戦術級のクラシックであり、また非常に出来が良かったため長年に渡り親しまれました。
 内容は本格派であり、全部のシナリオをプレイするまでは行かずとも順にいくつかのシナリオをプレイしてシナリオ5まで辿り付いて遊ぶにはそれなりの取り組みが必要になります。
 このゲームの難点を挙げるとすれば、やはり学習システムによるハードルの高さと、システムが変更になっていくことでバランスが振れるため、全てのシナリオ、全てのルール段階の組み合わせでバランスの取れた競技ゲームが期待できないことでしょう。
 未プレイなので伝聞と推測になってしまいますが、シナリオ6で登場する機動歩兵の原子力兵器がバランス破壊気味であるという噂もあります。
 とは言え、そうした些傷はあるものの本格的に取り組む価値のある面白い戦術級ゲームです。システム全体のまとまりや、地下の巣という特別なガジェットの面白さもあり、今もなお存在感のある傑作です。
関連ゲーム
スターシップトルーパーズ・
プリペアーフォーバトル

●バトルテック
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ウォーハンマー40k
アウトポストガンマ
●バトルスーツ
 この「スターシップトルーパーズ」ではシナリオは7つに分かれており、それぞれ次のような内容のシステムが導入されてきます。
●シナリオ1:ヒューマノイド襲撃
 基本的な移動・戦闘のシステムによる、機動歩兵とアレクニドに使われているヒューマノイドの戦いを再現します。
●シナリオ2:バグハウス作戦
 本命の敵、地中に巣を作る蜘蛛型エイリアン「アレクニド」が登場します。アレクニドの巣は右のようなミニヘクス図に秘密裏にプロットされます。機動歩兵は地中から湧き出てくるクモどもに悩まされます。
●シナリオ3:スキニー5
 このシナリオからは盤上のセットアップではなく、機動歩兵は降下して進入してくるようになります。また重火器や遅発性爆弾が登場して戦術が多様化してきます。
7つのシナリオと、ゲームシステム

 「スターシップトルーパーズ」は、プログラム学習方式を導入した本格派の戦術級ゲームです。戦術級ゲームはどうしても複雑になりがちですが、これを緩和するために単純な状況のシナリオから初めて、徐々に特殊な状況に対応するルールも導入していってフルシステムを説明するというのが学習システムです。
 アヴァロンヒルがこの方式を導入したかと思いますが、特に有名なものは「スコードリーダー」の第1作でしょう。他にはファンタジーの「マジックリオーム」や、西部劇の「ガンスリンガー」などがありますが、こうして並べてみるといずれ劣らぬ傑作揃いです。
 複雑なシステムを整理して学習しやすくまとめたアヴァロンヒルの手腕たるや当時のウォーゲーム界の双璧の一方としてさすがというところです。
 ただしこのやり方には難点もあって、フルシステムのゲームをプレイするまでに幾つものシナリオを全部プレイしなければならないというのは話しが遠いという問題もありました。特にシステムが巨大化したスコードリーダーでは、全面的な整理をしなおした新版が登場することとなりました。
●シナリオ4:反撃
 このシナリオでは通常の機動歩兵に加えて戦闘工兵が加わります。高性能爆薬を使いこなし敵の巣穴を破壊します。アレクニド側にも爆薬が加わり、工兵のための輸送手段としてエアカーも登場します。
●シナリオ5:シーオウル
 このシナリオでは機動歩兵を任務終了後に回収するルールが登場し、降下から回収までの全体をプレイできるようになります。「機動歩兵は決して仲間を見捨てない」ための負傷者の運搬ルールも登場します。
 アレクニドはプレイ中にトンネルを拡張できるようになり、機動歩兵側は地中聴音器を使って探索できるようになります。
 このシナリオで基本的な道具立てはほぼ出揃います。告白するとわたしは此処までしかプレイしていません。
●シナリオ6:王族作戦
 このシナリオは機動歩兵がアレクニド側を研究するために巣穴の女王を捕獲する作戦です。小説や映画でもクライマックスに当たる作戦ですが、機動歩兵が地下へ侵入することになり、これまでの単純化された地底ルールが詳細で複雑なものに置き換えられます。そして凶悪な原子力兵器が登場します。
●シナリオ7:クレンダーツウ決戦
 最終のシナリオではバリエーション的なルールが加わります。アレクニドの巣のパターンのバリエーションと、捕虜室、そして捕虜の救助などです。