アウトポストガンマ
Outpost Gamma / Heritage
ショートコメント
●薄い大気しか持たぬ小石のような小惑星イルダは、もし貴重なイルダストーンを産出しなければ誰も省みなかったろう
●しかしイルダストーンのため開拓者が入り原住民トワーグを使って採掘を始めた、そして反乱が起こった
A small planet Irda which has only thin atmosphere would be ignored if it doesn't have valuable Irda-stone.
However, because of Irda-stone, colonists landed on Irda and started mining by using netive Twarg.
Finally, Twarg made uprising.
published designed players time
1981 Howard Barasch 2 90+ minutes
アウトポストガンマの設定とゲームシステム

 イルダは薄い大気しか持たない小さな惑星で、もしイルダストーンという貴重な宝石を産出することがなければ人類の誰もそこを省みることはなかったであろう。ところが全宇宙で此処でしか得られないイルダストーンのために、この小さな宇宙服が常にいる小惑星は入植され、そして鉱業惑星として開拓されることとなった。
 入植者にとって幸いなことに、この惑星にはトワーグという先住民が住んでおり、低テクノロジーの彼らはハイテク兵器を持つ開拓者にとっては格好の採掘労働力となった。
 過酷な労働者とも、奴隷とも言われる境遇に、トワーグは少しずつ武器を秘密裏に集め時を待ち受けた。そしてある日、彼らは立ち上がったのだ。
 かくて人類の入植者は次々とトワーグの報復に遭って殺され、人類のアウトポストは最後のガンマを残すのみとなった。そのアウトポストガンマも包囲殲滅され、生き残ったわずかな開拓者の脱出アクションが行われることとなった。
 「アウトポストガンマ」は、こうしたイルダでの人類の尖兵デバステーター・スコードによるアウトポストガンマの最後の戦闘と、開拓者の脱出アクションを描いた個人レベルの戦術戦闘ゲームです。
ネガティブ・コメント

 「アウトポストガンマ」は、シンプルで面白いゲームです。
 ただしいくつか残念な点があります。
 第1に、シナリオが二つしかないことです。もう少しシナリオ数があってくれたらな‥という気がします。
 第2に、内容は良いのですがゲームボックスの外から見る限り、もう一つ魅力が伝わってきません。ヘリテージの小箱は8つありますが、その中でも「アウトポストガンマ」は外から見た印象としてはあまりそそられないゲームでした。特に茶色一色に近いマップはイマイチのように思います。ボックス表紙に描かれたデバステーターは、AH版の「スターシップトルーパーズ」よりは現代的ですが、ジャパニメーションの洗練されたメカデザインを見慣れてしまった目には物足りなく映りました。
 第3に、設定的にアイロニカルな部分を含んでおり、プレイするときに一種のふっきれなさを感じさせます。デバステーター・スコードは確かに人類の植民者を救出する立場ではあるのですが、ストーリー設定を見る限りイルダでの悪者は人類の側なのです。
関連ゲーム
スターシップトルーパーズ
プリペアーフォーバトル
●バトルスーツ
●スターソルジャー
シナリオの妙

 「アウトポストガンマ」の良いところは単純なシステムで手軽に遊べると言うところです。
 それともう一つは「質 対 量」という戦術級ゲームで面白い異質の部隊の戦闘であると言うことでしょう。
 また、戦術級ゲームは往々にしてシナリオ次第なのですが、「アウトポストガンマ」の2つのシナリオはいずれも興味深いシチュエーションとなっています。
 左の画像は第1シナリオの「最後のアウトポスト」です。人類の最後のアウトポストがトワーグの大部隊に包囲されてしまっているところです。ターン数は12で、人類側が全滅するかどうかで勝敗が決まります。
 下の画像の第2のシナリオは「脱出」で、生き残った3人の植民者を護衛したチームがトワーグたちの待ち構えるエリアを抜けて、迎えに来る増援と合流して脱出するシナリオです。
 どちらもプレイして面白いシチュエーションになっていると思います。
 「アウトポストガンマ」のシステムは、個人レベルの戦術級ゲームとしては非常に単純な部類に入ります。このレベルの戦術級ゲームというと、「スナイパー」、「アンブッシュ」、「ファイアーパワー」などがありますが、いずれも中級者から上級者向けの複雑目のシステムになります。
 ところがこのゲームは入門者向けのスモールサイズゲームで、比較的シンプルにまとまっています。シークエンスは、
  1:エネルギー嵐フェイズ
  2:人類の撹乱射撃フェイズ
  3:イルダの移動フェイズ
  4:イルダの戦闘フェイズ
  5:イルダの衝撃回復フェイズ
  6:人類の移動フェイズ
  7:人類の戦闘フェイズ
  8:撹乱回復フェイズ
  9:人類の衝撃回復フェイズ
 10:ターン終了フェイズ
 となっています。特徴的なのは、人類には通常の移動/戦闘のほかに撹乱射撃があることです。これはイルダの移動/戦闘の前にあり、イルダに対する威嚇射撃でイルダ側が思ったように人類側に接近して攻撃できないようになっています。
 人類側のデバステーター・スコードは、攻撃力も防御力も高くなっており、加えて上述の撹乱射撃ができるのですから八面六臂の活躍ぶりです。対してイルダの主力部隊は射程がまったくなく隣接しないと攻撃できません。デバステーター側の射程は6ヘクスもありますから、接近するまでに随分と撃たれることになります。さらに撹乱射撃で足を止められてしまいます。
 にも関わらず実際にプレイするとイルダは圧倒的です。それはユニットの絶対数が違うからです。
 少数精鋭のデバステーター対、人海戦術のトワーグ、質 対 量の典型的なシチュエーションで、戦術級ゲームとしては面白いシチュエーションです。
 こうした細工はあるのですが、それでもゲームはシンプルです。戦闘では射撃も白兵戦も隣接しているか遠距離からかの違いしかなく、射撃に射線の問題があるほかはほとんど区別がありません。また、ユニットの向きの概念などもなく、ユニットの状態も正常と、戦闘による衝撃(次の自分の適切な回復フェイズまで移動・戦闘不能)しかなく、後は除去されるだけです。
 このため、入門者でも手軽に戦術ゲームの雰囲気を味わえる佳作となっています。