スターフォース
Star Force / SPI
ショートコメント
●25世紀、人類は銀河へと進出し新たな戦乱の時代を迎えた
●SPIの古典的な星系間戦争ゲーム、三次元システムで戦略レベルと戦術レベルを戦う

In 25th century, human beings are getting to stars and in new conquest era.
Classic sci-fi game by SPI, which uses 3 dimensional game system in both starategic level and tactical level.
published designed players time
1977 Redmond Simonsen 2 (1, 3) 2+ hours
 「スターフォース」のゲームシステムは、三次元宇宙空間で点から点へ移動するステラシフティングを前提としたオーソドックスな作りとなっています。
 70年代のゲームとしては易しいものではなかったのですが、今となってはアイデアをそのままストレートにゲーム化したものでシンプルと言ってよいでしょう。
25世紀、人類は銀河へ進出し新たな戦乱を迎えた

 「スターフォース」は、SPIの古典的なSFボードゲームの一つです。
 時代は25世紀、近未来と遠未来の中間に位置し、人類の歴史の延長線で語られますが、その予想が真実かどうかわたしたちが確かめることはできない程度には遠い彼方です。
 このゲームはSPIの未来史の25世紀から28世紀を語っており、太陽系内の近未来と、銀河帝国の遠未来とを結ぶ太陽系外への発展期に当たります。
 70年代というSFゲームの黎明期に出たこのゲームは、オリジナル設定のSFゲームとして設定部分にかなり力が入っています。
 星系間航行を可能にする技術としては、ステラシフティングが想定されています。これは遠隔透視能力と念動力を組み合わせた超能力で、離れた空間を結びつけて移動を可能とするものなのです。
 タイトルにもなっているスターフォースは、ステラシフティング可能な星間航行船4隻からなる艦隊で、ゲームでの基本的な戦闘単位となります。
 右のボックスアートで描かれている車輪と車軸を組み合わせたようなものが星間航行船で、これが4隻でスターフォースとなります。
 スターフォースの一回のシフティング能力は5光年程度が限界ですが、これを拡張するための設備がスターゲートです。スターゲートはそれ自体はシフティングできませんが、スターフォースのステラシフトを支援することでシフティング限界を倍まで引き伸ばすことができます。
 ボックスアートの後ろに描かれている巨大なリングがスターゲートです。ボックスアートは正にスターゲートを使ったゲートシフティングへと突入するところでしょう。
スターフォースのプレイ

 左の図は、「スターフォース」のシナリオ3「人類同盟の結成」のプレイの様子です。
 戦略マップは、地球周辺の恒星図で二次元マップ上に恒星が高さ座標位置とともに印刷されています。この高さも加えた状態でマップを眺めて、星系間の距離感覚がつかめるかどうかがカギです。
 スターフォースはユニット数が少なく、この少数の部隊を立体空間でどう配置し目的地に進めていくかがカギとなります。ステラシフティングは同時プロットとなっていて、互いにシフト範囲のどこかに忽然と現れることになります。地上戦のウォーゲームから見れば大きく異質で、70年代としては、斬新な存在でした。
 ゲートシフティングは移動距離が2倍になるのですが、3次元ゲームですから、到達可能な座標は三乗の8倍に及ぶことになります。
 ゲートシフティングの優位性はプレイするとすぐに実感されます。
ネガティブ・コメント

 戦術級ゲームが機能不全気味なのは残念です。
 また、ゼノフォーブシナリオは興味深いと思うのですが、かなり大変そうな印象を受けます。
 三次元システムとステラシフティングという設定からくるゲームシステムを敷衍して完成したゲームといった印象ですが、ゲームとしてプレイする場合のプレイアビリティという点への配慮は薄かったように思います。
 とは言え、SFゲーム黎明期の試みとして記念すべき一作であることは確かです。
関連ゲーム

バトルフリート・マーズ
●タイタン・ストライク
ヴェクター3
●スターソルジャー
ザ・ソード・アンド・ザ・スターズ
スターフォースの戦術級ゲーム

 「スターフォース」のプレイの要点は上述の三次元移動とステラシフティングのプロットにあります。戦略級ゲームでは比較的戦闘解決は単純化されていて、同一へクスの彼我の戦力を攻撃と防御に割り当て、自軍の攻撃と相手の防御を比較して相互に判定を行います。このため戦場に相手より優位な兵力を集めることが重要で、移動で敵の思惑を見極め、立体的な兵力配置を的確に判断して兵力を進めることが要諦となります。
 「スターフォース」には、こうした同一へクスで行われる戦闘の詳細を描き出す戦術級ゲームも用意されています。基本的なシステムは戦略級ゲームの縮小版です。ただし、戦闘はスターフォースではなく1隻単位で行われ、各艦は毎ターンのエネルギーを戦術シフト(移動)、エネルギーの投射攻撃(キャスト)、防御シールドの展開(アンチキャスト)に割り当てることになります。
 この戦術級ゲームは、個人的な意見としては上手く機能していないと思います。三次元のマップというのは実際にプレイするとすぐわかるのですが、二次元のマップより遥かに広いのです。つまり二次元のマップが数十枚も重なっているようなものだからです。
 このためシフトやキャストのできる範囲は、広大な宇宙空間に対してあまりに狭く、戦術戦闘システムは機能不全に陥りがちです。特に攻撃のキャストの効果が射程が長くなると急減するため、アンチキャストを打ち破るのが容易でありません。このため、しばしば戦術戦闘はステイルメイトに嵌って滞ってしまいます。

シナリオ群と未来史

 シナリオ1は、人類の最初の植民地、アルファケンタウリが独立した事件を描いています。
 以下、シナリオ2からシナリオ4までは、25世紀初めの人類の諸勢力の星星での戦乱を描き出します。
 シナリオ5でエイリアンであるルカルダ族が登場し、続いてシナリオ8でレイム族が登場してきます。勢力は合掌連衡を繰り返し、この時期の最後に当たる26世紀初めのシナリオ12では人類、ルカルダ、レイムの3勢力による激闘が繰り広げられます。
 シナリオ13と14は、28世紀の真のエイリアンとも言うべきゼノフォーブの2度の人類勢力圏への侵入を描き出します。ゼノフォーブの勢力圏は盤外に存在しており、ゼノフォーブにとっては人類宙域が、人類にとっては盤外宙域が未知空域となります。未知空域では厳しくシフティングが制限されるため、互いに敵空域では非常にゆっくりとしか動けません。さらに両者の移動結果が隠匿されるため、敵地をじわじわと忍び寄るような展開になることでしょう。
 こうした制限があるためゼノフォーブシナリオは、プレイタイムが長くプレイアビリティが悪そうなため、わたし自身は実際にはプレイしたことがありません。デザイナーはゼノフォーブシナリオを強くリコメンドしていますが、楽しむにはそれなりの労力投資が必要なように思います。
 もし実際にプレイされた方があれば、感想などお聞かせいただきたいものです。