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ザ ソード アンド ザ スターズ
The Sword and the Stars / SPI


一言で言えば‥‥

幾多の銀河帝国の興亡を描く大銀河史ゲーム

一つの星系を征服すること,帝国の治安を維持することの困難さ

こんなゲーマーにお薦めしたい

アシモフの銀河帝国の興亡シリーズを好きな方に

遅々として進まぬかに見える帝国建設に夢を賭け続けるゲーマーに

プレイ人数 1−5人
プレイ時間 2時間〜数日間
ルール難度 中級ウォーゲーム,ただしかなり独創的
デザイナー エリック スミス
入手状況 海外中古ゲームショップを当たるしかない

幾多の星間帝国の興亡を扱う壮大な銀河史ゲーム

「ザソードアンドザスターズ」は,幾多の星間帝国の興亡を扱う壮大な銀河史ゲームです。

ゲームは,SPI社の宇宙年表の流れにしたがって切り出された一時代を扱うシナリオの複合体として,大銀河史を描き出しています。アトヤイ帝国と呼ばれるヒューマノイドの帝国の勃興から銀河史は説き起こされます。この帝国は内部分裂しますが,内部の造反勢力同士を消耗させることで最初の危機を乗り切りました。しかし,その平和も長くは続かず,銀河の外周方向で発見された昆虫型のハイブ族の外圧と,再度の内部危機が同時に発生し,帝国は分裂してしまいます。この後,主要な5大銀河帝国が手詰まり状態で睨み合う時代が続き,やがて雌雄を決すべく銀河大戦へと突き進むこととなりました。

疲弊した勝者なき銀河大戦は,辺境星系ハーベストのドレイカの虐殺遠征により終結しました。すべての帝国はドレイカの前に敗れ去り,かつての星間国境は無意味になりました。一代の独裁者であったドレイカの死後,ハーベストによる支配は崩壊しましたが,疲弊した諸帝国が復権することはありませんでした。この時,かつての栄光あるアトヤイ星系の末裔たちが不死鳥のごとくヒューマノイドの帝国を再興したのです。

かつて歴史はあたかも輪廻するがごとくSPI社の語る物語は終わります。

このゲームにはこの歴史線に沿ったシナリオの他に,最初のアトヤイ帝国の勃興から初めて1000年の歴史をまったく自由に描き出す壮大なキャンペーンゲームも用意されています。

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ザソードアンドザスターズのシステム
ザソードアンドザスターズのマップ
このゲームのシステムは,SPI社がヒストリカルシミュレーションゲーム「中世の帝国」で使用したのと同じものだそうです。中世の帝国ではヨーロッパの地域だったものが,このゲームでは星系になっていますが,基本的には同じようなゲームシステムで扱います。

右の図は,ヒューマノイド帝国の主要部分を表しています。右上の星系がアトヤイです。各星系の色は,その星系の政治形態を表しています。中央の太陽(?)の中に描かれたマークが,居住する種族を表しています。

外側の円は居住可能な惑星を軌道として表現しています。アトヤイ星系は1個しか居住可能な星系がないので,一重円しか持っていません。

この円に書かれた数字は,その星系の水準を表しています。高いほど技術が優れており,ここを拠点に遠方まで行動することができます。また,この数字はその星系に徴税できる水準でもあります。ですから,水準の高い星系をたくさん擁している帝国は豊かなのです。

プレイでは,自分の主席星系から近隣の星系を侵略し,そこを拠点にさらに先へ先へと版図を広げていきます。これを征服計画と呼びます。この他に支配を目的とせずに,相手星系から資源の収奪のみを図る襲撃計画もあります。

また,このゲームの最大の特徴ですが,内政が非常に重要です。武力支配した星系は暴動状態になり,またしばしば水準が低下して荒廃します。これを鎮圧し,また水準を上昇させるために内政計画を実施します。
ザソードアンドザスターズのカード
この他にゲームの勝利得点を得るためには,星系間の貿易を結んで星間条約を締結し緊密な関係を持つ星系集合体を組織する必要があります。そのための交易計画も実施することになりましょう。

他に宇宙版万里の長城とも言うべきスターウェブの建設計画や,SFゲームならではの星間距離をワープで結びつけるスターゲートの建設計画なども実施できます。

こうした計画の成功判定には,ダイスなどではなくカードを使用します。左がその一例です。

左端に計画名称が記載されており,その横列に結果が示されています。上のカードの場合,いちばん上の征服計画は,計画値が6以上なら成功となっています。

計画値というのは,様々な周囲の状況から計画が成功しやすいかどうかを判定するために算出される値です。各プレイヤーの政府の能力を基本として,これに行動基地の水準を加え,対象までの距離を引き,対象の水準を引き,さらに主義/種族修整をして出すような感じです。政府の能力が高いほど,また基地の水準が高いほど値が大きくなって征服しやすくなるといった具合です。主義/種族修整は,近しいものの方が征服したり交易したりしやすくなっています。

ここで面白いのは内政計画では,基地と対象が同一なのですが,その場合にはその星系の水準は対象のものとしてマイナスされます。ですから,豊かな星系ほど為政者にとっては政治の舵取りが難しいのです。

このため,帝国が発展すればするほど,内政に割かねばならない労力が大きくなるようになっています。

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ザソードアンドザスターズの難点
ザソードアンドザスターズのプレイ
右の図は,「銀河大戦」シナリオの一風景です。

左側はマップの外縁に位置するハイブ帝国です。右の方の緑色の星系群は鳥類系のアヴィアン共和国の版図ですが,その一星系にハイブの青いコマが食い込んでいます。シナリオの設定段階からこうなっているのですが,これが火種となって両帝国は延々と争っているところです。

右下は四足獣の広大ではありますが,やや水準に難のある帝国です。右上に小さく見えているのは,アトヤイ星系です。この時期は,独立星系として各帝国と条約を結んで孤高の位置を保っています。

このゲームは,壮大な銀河帝国史を感じさせてくれるゲームで,とても貴重です。ただし,プレイタイムの方もなかなかに遠大なので,そこが大きな難点です。

また,銀河系は思ったほどには広くありません。複数人の野望を満たすにはあまりにも狭すぎる‥‥というのは,とあるSF小説の一節ですが,ここではまさにそれを痛感させられます。

そして,もう一つランダムイベントが凶悪です。元ゲームにもあった宗教や外民族の一時的な侵攻を取りこんでいるのですが,これがともかく無茶苦茶に強力です。特に宗教はゲーム中に何度も全帝国を危機に陥れることになるでしょう。場合によっては,これによってプレイヤーのゲーム継続意欲が破壊されるほど銀河を席巻する可能性もあります。それも決して低くない確率で‥‥。

プレイタイムが掛かる一方で,そうした不安定な要素を抱えているので,そこのところを事前に承知した上でプレイしないと,フラストレーションを感じる可能性があります。

そのことを踏まえた上で,銀河史の浪漫に浸りたい方には,是非とも長めのシナリオをプレイすることをお薦めしておきます。

関連ゲーム / 類似ゲーム

GDW社の一連のSFゲームが一つの未来史で繋がっていることは有名です。SPI社のゲームも,同様に一部が未来史で繋がっています。このゲームは,その未来史の大枠とも言える位置にあります。同じ未来史に属していることが良くわかるゲームとしては,ARES誌のレスキュー フロム ザ ハイブや,RPGであるユニヴァースなどがあります。

星間帝国の激突するマルチプレイヤーズゲームとしては,AH社の
ステラコンケストが古典と言えましょう。近年では,FFG社のトワイライトインペリウムがあります。

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