アステロイドパイレーツ
Asteriud Pirates / Yaquinto

一言で言えば‥‥

輸送船と護衛艦隊、それを襲うパイレーツ、アステロイドを舞台に宇宙戦の火蓋が切られた!

手軽なコンポとシンプルなルールながら、船の設計から始まる意外な本格派スペースコンバット

こんなゲーマーにお薦めしたい

自分でゲームを改造することも厭わないスペースコンバットフリークに

スペースコンバットものの歴史的発展をみる資料の一角として価値あり!

プレイ人数 2人 (4人もできるが薦められない)
プレイ時間 2〜3時間
ルール難度 設計からなので難しめだがユニット少なくプレイ容易
デザイナー Michael S. Matheny
入手状況 海外中古ゲームショップを当たられたし

設定とゲームシステム
アステロイドパイレーツのボックス
アステロイドパイレーツは太陽系に発展した近未来の宇宙戦闘を描きます。
一方のプレイヤーは輸送艦艇とその護衛艦からなる艦隊を指揮します。もう一方のプレイヤーはこれを襲う宇宙海賊です。戦場は折しも海賊が待ち伏せるのに適したアステロイドベルト。

アステロイドパイレーツはコンポーネント的には小品ですが、内容は結構な本格派です。ゲームでは、まず艦船のデザインをします。設計はかなり自由度があり、船殻、ドライブ、レーザー、ミサイル、トラクタビーム、スクリーン、カーゴにパラメータを割り振ることで、様々な個性の船を造れます。
こうして作り上げた船でアステロイドを舞台に戦うことになります。

カーゴシップはボードの一端から進入し、他端へと航路をまっとうすることを目指します。パイレーツはこれを阻止しながら護衛船の撃破も進めることになります。

アステロイドベルトでの戦闘ですので、ボード上には浮遊物が一杯です。多くはボード上に印刷された固定浮遊物ですが、中にはダイスによりランダムに移動するものもあります。実際のプレイでは、敵船よりもこうした移動浮遊物の方がしばしば危険だったりもします。

各船の性能は実際のプレイを通じて証されていきます。その相性によって、プレイの雰囲気は大きく変わります。このため、リプレイアビリティが高くなっています。

設計から始まるためルール難度がやや高めになっていますが、その代わり一軍あたり8隻しかありません。ですから、実際のプレイに入ると、思ったよりずっとプレイアブルです。



アステロイドパイレーツの難点
アステロイドパイレーツのプレイ
とまぁ、設定とシステムとしてはスペースコンバットものの王道を行っており、設計から舞台のアステロイドの小道具まで賑やかな構成となっています。

ただ、このゲーム、惜しむらくは、もう一押し詰めが足りません。
ゲームシステムとして、毎ターン、様々な機能の活性レベルを決めるようになっているのですが、これはあまりプレイに実影響がなく煩雑なだけになっています。

艦船の設計が自由なのは良いのですが、肝心の選択肢のバランスが良くありません。特に攻撃兵器の中で、レーザーが強力で汎用性が高いのに対して、ミサイルが運用しにくい上にレーザーに撃墜されてしまいやすく役に立ちません。これではミサイルを購入する人はいなくなってしまうでしょう。
ここのところを改造していじらないと、折角の設計から戦闘までをコンパクトにまとめたゲームでありながら、醍醐味が大きく削がれてしまっています。

あと艦船の設計は1隻単位で変えられるのですが、これをやると船の管理が大変です。4隻のチーム単位にするとかしないと、実際のプレイのときにミスが出やすくなります。これはプレイヤーの好みにもよりますが。

こうしたところをきちんと詰めておけば、コンパクトでプレイアブルなスペースコンバットゲームとして良くまとまった佳作となるのではないでしょうか?

関連ゲーム / 類似ゲーム


スペースコンバットものは人気のあるモチーフです。いろいろなものが思い浮かびますが、SPIの「ワールドキラー」「ヴェクター3」、GDWの「トリプラネタリー」、AH(バトルライン)の「オメガウォー」などの古典から近年ではパシフィックリムの「スペースナチスフロムヘル」やファットメシアの「ハードヴァキューム」などまでずらりと並びます。艦船のデザインからさせるものも少なくありません。

アステロイドベルトが舞台のものというと、経済ゲームに近くなりますがGDWの
「ベルター」が思い浮かびます。メタゲーミングの「ブラックホール」もそうでした。

こうして見てみると、このテーマはSFゲーム界のヴォリュームゾーンと言えるかも知れません。