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ウーラム
Wohrom / International Team


一言で言えば‥‥

RPGの冒険と,ウォーゲームの戦闘をミックスした手軽なゲーム

ウーラム王なき後を目指し,二つの部族の騎士たちは旅立った

こんなゲーマーにお薦めしたい

冒険と戦闘を手軽に楽しめるボードゲームを探している方に

ファンタージーも好きなウォーゲーマーに

プレイ人数 2人
プレイ時間 2−3時間
ルール難度 初級ウォーゲーム,ただし曖昧な部分あり
デザイナー ???
入手状況 困難,ただし不良在庫の安売りが国内で散見される

ウーラムのボックス ウーラムの設定

ラジャタの国は,名君ウーラム王を得て繁栄していた。しかし,ウーラム王の死後,周辺民族の侵入や魔物の出現により,国は乱れ,暗黒の時節へと移行した。

群雄割拠となったラジャタだが,その中から二つの部族が力を得て次第に他を統合していった。ファラド族とインゲル族である。この2つの部族の騎士たちが,ついにウーラム王の遺産を承継しラジャタの地を統べるため,いままさに立ちあがろうとしている。

だが,そのためにはウーラム王の血を引く4人の王女のいずれか娶り,王位の証である王冠と杓を手に入れねばならない。王女たちは堅牢な城砦の中,屈強な黒騎士に守られており,黒騎士を倒さねば目通りもかなわない。王冠と杓は広いラジャタの地のいずこかに埋もれており,それらはドラゴンにより守られているという。


ウーラムのシステム

ウーラムは,RPG的なヒーローの冒険を要素として含んだボードゲームで,同時に部隊戦闘というウォーゲームの要素も含んでいます。かなり欲張りなゲームですが,ルールの分量はそれほど多くなく,ウォーゲームの入門編程度の難しさです。
ウーラムのマップ
このゲームは,ファラド族プレイヤーとインゲル族プレイヤーの二人の対戦ゲームとなっています。ゲームの前半は,それぞれの部族の騎士は各地へと散り,あるものは魔物を退治して王冠と杓を捜し求め,またあるものは黒騎士を倒して王女との邂逅を目指すことになります。ゲームの中盤戦では,部族の騎士の中でももっとも優秀なものに得られたものを集めて盛り立てることになりましょうか。そして,終盤ではもし王冠と杓が二つの部族に分かれてしまったならば,互いに相手の王位の証を奪うために,部隊戦闘が繰り広げられることになります。また,一方が王位継承権のすべてを満たしたなら,他方は最後の逆転の望みを賭けて,ウーラム王の墓地で最後の決戦を挑むことに‥‥。
こうしてゲームは,RPG的な冒険と,ウォーゲーム的な部隊戦闘がミックスされた独特の展開を見せることになります。

こうした「個人の冒険と,部隊の戦闘を同時に取り扱うボードゲーム」は,他にもありますが,ウーラムはその中でも両者がバランス良く上手く機能するゲームです。プレイ人数を二人に限定してしまったところが,成功の要因ではないでしょうか。もしこれ以上の人数でプレイするようになっていたなら,他部族の騎士の上がりを狙うハイエナのようなプレイが有効な殺伐としたゲームになってしまう危険性があったでしょう。二人対戦にすることで,バランス良く前半の冒険と後半の部隊戦闘がそれぞれの段階で必然性を持って展開するようになっています。

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ウーラムの住人
ウーラムのカード
正しくはラジャタの住人というべきでしょうか。二つの部族の騎士は,それぞれ8人が用意されていて,アルファベットのAからHを頭文字に持った名前を有しています。この中からランダムに数人を選んでプレイを開始し,残るものは予備となります。騎士たちにはそれぞれ個性があり,武勇に長けたものもいれば,人間的魅力に優れたものものもいます。はっきり言ってあまり冴えない騎士も中にはいます。ラジャタの地は広いので,一人の優秀な騎士だけでは,王冠と杓を探し出すことはかなわないでしょう。能力の低い騎士たちもプレイ上は重要なメンバーであり,より王位にふさわしい騎士が志し半ばで倒れるようなら,部族を背負わねばならなくなるかも知れません。

 騎士たちには部族の従者たちが付いており,彼らは騎士の率いる部隊の中核を成しています。また,ラジャタに散在する村には農民たちが住んでおり,政治力に長けた騎士なら彼らの協力を得ることもできます。

そしてウーラムには普通の人間以外のものも住んでいます。巨人や一角獣は,人間と敵対する存在ではありませんが,気難しい隣人です。さらに普通の人間にとって危険な存在も少なくありません。ドラゴンはその中でも意義深い存在ですが,それ以外にも幽霊や大トカゲ,魔術師や魔女が住んでいます。彼らとは戦わなければなりませんが,戦闘の結果次第では彼らを服従させて戦力とすることもできるのです。中には狼男のように部下にあたる狼たちを引き連れているものさえもいます。

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ウーラムの問題点

ウーラムは,比較的簡単なルールでヒロイックな冒険と部隊戦闘の両方を楽しめるゲームです。その意味では,非常にお薦めしたいゲームなのですが,残念なことにルールが曖昧だったり,大雑把だったりするという問題点がああります。

一例を挙げます。前述した通り,各部族には8人の騎士が用意されているのですが,スタート時点ではこの中からダイスを1個分の人数がランダムに登場することになっています。この決め方はきわめて乱暴で,1人だけの場合と,6人の場合では話しが違いすぎます。極端な場合には,最初のこのダイスでゲームの勝敗がほぼ決してしまうことになります。

関連ゲーム / 類似ゲーム

ファンタジーでの冒険と部隊戦闘をミックスさせたゲームとしては,AH社のマジックレルムがありますが,個人戦闘の比重が高く,最終的な目的も個人のものであるため,雰囲気はかなり異なります。SPIのソーズ アンド ソーサリーは,部隊戦闘の本格的なヘクスウォーゲームと,個人戦闘のクエストゲームの双方をパッケージしていました。国産では,エポック社の魔法帝国の興亡が両者を混在させて取り扱う点で近いかと思いますが,一つのゲームでさらに欲張った内容を含んでいるためルールの分量がかなり多くなっています。ウーラムのようにシンプルでいながら両方を含んだものは珍しいのです。

宇宙SFまで見れば,個人の冒険と部隊戦闘を同時に扱った成功事例としてSPI/AH社のフリーダム イン ザ ギャラクシーが挙げられます。ただし,これも難度的にはだいぶ上のゲームになります。

RPG的な冒険までは含まないが,多士済々のファンタジーワールドでのウォーゲームで個人も活躍するものとしては,AH/HJ社の
ドラゴンパスが傑作です。ウーラムをやってみてもう少し本格的なウォーゲームをやってみたいと思われるようならお薦めかと思います。この他にはSPIのAres誌のゲームアルビオンが近い路線です。

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