60億人
6 billion / Board not Bored Games
ショートコメント
●宇宙船地球号はもはや定員オーバー、今世紀の課題は太陽系内への大規模な移住だ
Spaceship "Earth" is overloaded with 60 billion people. Now, we must colonize every planets in solar system.
published designed players time
1999 David A. Coutts 2-5 2+ hours
人口爆発を解決せよ!
 人類の人口が10億に達したのは1800年頃、これが倍の20億に達したのは1930年頃と言われています。ところが、次の30億に達するにはわずか30年しか要しませんでした。そして、1974年には40億、1987年には50億、いまや人口増加は加速度的に進んでおり宇宙船地球号には60億の乗員がいるのです。
 もはや時間の猶予はありません。増え続ける人口を養っていくために人類は太陽系内の住める環境の全てに向けて移民を開始しなければなりません‥というのが「60億人」の設定です。
 「60億人」は、無名のメーカーから突然やってきた本格派のSFゲームです。発売は1999年で、まさに21世紀へ向けてのメッセージゲームでした。

独特のゲームシステム
 「60億人」は人口問題を主眼に扱った植民・移民ゲームで、システムの中心は人口増加と植民・移民になります。
 プレイの開始時には各プレイヤーは地球に人口を抱えています。そして、ゲーム終了時には、太陽系内の諸惑星にどの程度の人口を抱えているかで得点をカウントします。
 自分の手番では、人口の自然増加、前ターンに発進した植民と移民の目的地への到着、カードを使っての2アクション、捨札、手札補充を実施していきます。
 ミソは、人口増加と、植民と移民です。自分の拠点で増加した余剰人口を他の惑星・衛星へと移していくのです。
 このときに先ず、自分の拠点がない新開拓地へはまず植民をしなければなりません。
関連ゲーム
バトルフリートマーズ
●ファイナルフロンティア
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 ゲームはいずれかの派閥のいずれかの拠点人口が1024レベルに達したときか、太陽系内の全ての拠点に植民が完了したときに終了します。
 このときに各拠点ごとに、人口が最も多い派閥に1位得点、以下2位、3位の得点が配分されます。また、プレイヤーはゲーム開始時にシークレットでスコアが倍になる内惑星を指定されていて、そこで得られた得点は倍になります。同様にプレイ中に特定の外惑星のスコアが倍になるカードを入手することができ、各プレイヤー1枚だけ利用できます。
 また、人口問題が焦点なので、プレイ人数に関わらず登場する派閥が同じ数になっています。そのため、不足人数分は中立勢力として展開します。この中立勢力は、各ターンの時点で、得点の低いプレイヤーがコントロールします。この中立勢力はプレイヤーの派閥よりルールの制約が甘いため、この展開によってゲームの終了タイミングが決まってくることになります。ここらへんもゲームテクニカルですが、面白いところです。

ファイナル・コメント
 このゲームは人口問題に焦点を絞っているので、それ以外のSF的なガジェットがあまりありません。そこのところがB級SFゲーム的には少し物足りないかも知れません。
 しかし、太陽系内を人口が爆発していく様子は非常に上手く再現されています。太陽系の開拓ゲームとしては、これまでプレイした中でもいちばん雰囲気が出ているかもしれません。
 植民はカードがなければ実施できず、植民カードには距離の制限があります。このとき各惑星・衛星の距離は実際の太陽系の距離に対応しています。つまり、外側に行くほど級数的に距離が大きくなっていくのです。このため、最初は火星やアステロイドベルトへ、そこから木星、土星へ、そして天王星以遠へと展開していくことが必要になります。
 一旦、植民した後は自身の拠点同士では移民ができます。
 アクションには、こうした植民と移民のほかに、自身の人口を増加させたり、飢饉、疫病、戦争などで他のプレイヤーの人口増加を妨害したり、これらに対するカウンターアクションなどがあります。
 人口は2進法の倍倍ゲームで増加していきます。通常は植民するときには元星系の人口を1段階低下させて植民要員を出すのですが、元星系の人口が80億を越えるとその必要がなくなります。そのため拠点星系の人口を十分に増やしてから次へ展開するほうが人口が無駄にならないのですが、その一方で出遅れることになるかも知れません。
 毎ターンの人口増加は自然増で1段階ずつなので出遅れると取り返すのは容易でないのです。