アイドロー
Idro / International Team
ショートコメント
●深海の支配種族を争う反乱、節足動物のクロスト族に挑むトリトン族と同盟者マーメイド族の反乱
Struggling for the control of the ocean, Triton and Mermaid are challenging against Krost.
published designed players time
1981 ??? 2 2+ hours
海底戦争の初心者向けウォーゲーム
 アイドローは、ムーグ海を支配するエビから進化したクロスト族に対して、隷属していたトリトン族がマーメイド族の支援を得て反乱するという初心者向けの海底戦争のウォーゲームです。
 「ザルゴスロード」や、以前に紹介した「ウーラム」や「ミレニアム」と同じインターナショナルチームの巨大な平箱のシリーズの一作になります。ただし、ゲームの難易度としては一番やさしい部類に入り、一番とっつきやすいのではないかと思います。

 下の図がゲームマップの概観になります。中央にあるのがクロスト族の海底都市です。クロスト族が最初に海底都市に守備隊をセットアップします。これに対して、トリトン族とマーメイド族は、スタック単位で編成をしてアルファベットで表示される秘密マーカーで周囲から進入してきます。
 丁度、AHの「カエサルのアレシア」と非常に良く似た戦場設定になっています。雰囲気的にも海底帝国の覇権を賭けた争いということで、近代戦よりも古代戦に近い雰囲気を持っていて似ています。
 マップ上に存在する色の異なるエリアは、濃い部分が深みのある海域を、薄いところが浅くなっていて茶色のエリアは海底種族たちにとっては障害物である島を表しています。緑の領域は海草の森で、クロスト族にとっては自由に移動できますが、トリトン族にとっては障害地形になっています。
 ゲーム自体は基本ゲームと上級ルールとに分かれています。
 基本ゲームはオーソドックスな移動/戦闘系のシークエンスのゲームですが、毎ターン、イニシアティブを決定して先にプレイを実行するプレイヤーを決定する方式になっています。このためプレイヤーターンが連続することがあるので、エキサイティングになっています。
関連ゲーム
●クロルアンドプルムニ
●ザルゴスロード
ウーラム
ミレニアム
 部隊にもバリエーションがあり、指揮官と通常の部隊のほかに、チャリオット部隊や、網を使う特殊部隊、放水砲兵などがいます。
 また、クロスト族はサメやイルカも利用しています。

ファイナル・コメント
 インターナショナルチームのゲームは発売年代から見ても分かる通り、ウォーゲームのデザイン水準がまだ開発途上の時代のゲームです。
 このため、ゲームとして洗練されているという訳には行きません。また、インターナショナルチームのネイティブランゲージはイタリア語で、英語ルールさえ翻訳で、さらに日本語訳は英語から介してきているのでいろいろとノイズが多いようです。
 その一方で、ウォーゲームという新しい形態を得て、様々な想像力を喚起された作品が出ており、ラインナップを見るととても楽しくなります。
 この「アイドロー」もそうした作品の一つで、海底戦争というモチーフをプレイアブルなサイズで描いて、いろいろなガジェットを盛り込んであります。
 具体的な難点を一つ挙げておけば、ユニット数の割りにマップが広く、特に深度の概念まで入れると広すぎかなと言う気がします。必要ならマップサイズを詰めてプレイしたり、逆にユニットを追加で作ってプレイしたりしても良いでしょう。
 完成度の足りない部分は、自分で工夫して遊ぶくらいのつもりでいると、この会社のゲームは着想が面白いので楽しく付き合えます。
豊富なガジェット
 海底戦争というモチーフは、なかなか想像力を刺激してくれます。
 このゲームには、そうした想像力の産物がいろいろと盛り込まれています。
 まず海底を流れる海流の影響と言うのが含まれています。海流の方向や強さは時間の経過とともに変わっていきます。海流を利用することで、効率的な機動ができますから、どの方向から進入していくか戦略的な判断に影響を与えます。
 海域に深さの設定があることは先にも述べましたが、上級ルールでは深度という概念が加わってきます。これによってマップは立体的な構造を持つようになり、それに伴って新たな戦術が生まれてきます。
 深海にはどちらにとっても危険なクラーケンの一族が住んでいて、うっかり刺激すると襲ってきます。これによって深海域を通るのはリスキーになっていますが、防御側の守りが薄いことも期待できるので、進入側にとっては悩み所です。
 また、この海域は地震が多いらしく、その影響も含まれています。また、大きな地震によって地底に封じ込められていた怪魚が姿を現すこともあります。