双頭の獅子
Soutou no Shishi / RPGamer
ショートコメント
●モンスターメーカー戦記外伝、モンスターメーカのキャラが二手に分かれて戦うブラインド・バトルゲーム
Side Story of Monster Maker, blind type battle game in which characters of Monster Maker are fighting with each other faction.
published designed players time
2004 鈴木銀一郎 2 40+ minutes
モンスターメーカーの戦士たち再び
 RPGAMER vol.6 の鈴木銀一郎/モンスターメーカー特集の目玉が、この付録ゲーム「双頭の獅子」です。
 「モンスターメーカー戦記外伝」の副題の通り、モンスターメーカーのキャラクターたちが二手に分かれて戦うブラインドタイプのバトルゲームです。
 なぜキャラたちが二手に分かれて戦わねばならなくなったかの設定は、巻頭の九月姫さんのマンガ「双頭の獅子」に描かれています。
 王国の皇太子妃として嫁いだヴィシュナスが一方の旗印となります。もう一方はその幼馴染で騎士団長となったシュトルムです。
 ヴィシュナスの嫁いだヘリオス王は民の心を知らず圧政を揮います。民の疲弊を思って叛旗を翻したのがシュトルムですが、この反乱の中、ヘリオス王は病死してしまいます。
 ヴィシュナスは立場に縛られ、ヘリオス王の遺志を次いでシュトルムの反乱軍が占拠している獅子頭城の奪回を目指すのです。
ファイナル・コメント
 プレイすると、適度に悩ましく面白いゲームになっています。
 1時間以内で終わるでしょうし、プレイすることで色々な綾が見えてくるので、「よしもう一番」ということにもなりやすいでしょう。

 惜しむらくは「指輪物語コンフロンテーション」の影響が強く見えすぎていることです。キャラの特殊能力でも、ドラゴンライダーのアイラはフライングナズグル、それを射落すロリエーンはレゴラス、カード無視で8戦力の狂戦士アジィはトロールです。ガンダウルフのカードを使用しない能力も、そのままガンダルフです。

 昔のように海外ゲームが入手困難だったときには、その良さを取り入れた入手しやすい国産ゲームが出ることには大きな意義があったと思います。けれども、近年は良質のドイツゲームはかなり日本で流通します。「指輪物語コンフロンテーション」は映画とのタイアップということもあり、かなり広く普及していると思います。その状況でここまでアナロジーが感じられるものはどうだったのかは、やや難しいところです。
関連ゲーム
指輪物語コンフロンテーション
ウィザードキングス
●ストラテゴ・レジョンド
シンプルで悩ましい
 「双頭の獅子」は、互いに相手のコマの正体が見えない状態でプレイします。昔で言う「軍人将棋」、最近で言う「積木ゲーム」や、「ストラテゴ」の仲間のゲームです。
 一番近いのは、「指輪物語コンフロンテーション」でしょう。
 ルール的には
@原則として互いに前進しかできない
A攻撃側の王党派は、戦力0で脆弱なヴィシュナスが獅子頭城へ入場することが勝利条件
B戦闘時はコマの戦力に加えカードをプレイして解決する
 といった部分が良く似ています。

 城を守る共和派は、ユニットが9つしかなく、二方向に広がる戦場へ向けて拡散して前進してしまうという弱点があります。その一方で、精鋭が揃っており、カード枚数が一枚少なく、それが最弱の1であるため、良いカードを中心に早く回せるという強みを持っています。さらに、ヴィシュナス一人を倒せば勝つことができるのです。
 これをそのままひっくり返すと王党派の強みになります。
 つまり、王党派は共和派を全滅させる必要などなく、すれ違ってヴィシュナス一人を入場させてしまえば勝利できるのです。また、ユニット数が多いということも大きな利点です。

 さらにキャラクターモノのお約束ですが、キャラ間の特殊効果や、キャラの特殊能力もあります。
 特に強調されているのは、愛し合う同士が敵味方に分かれて戦っているということで、それに伴う無条件勝敗関係や、相撃ち関係があり、プレイで意識して置く必要があります。
 たとえば、ヴィシュナスは最弱のゼロですが、シュトルムとの戦闘には自動的に勝ちます。
 王党派に付いているガンダウルフは、共和派にいる昔の恋人の魔術師ガーラに自動的に負けます。
 また、共和派に付いているガンダウルフのライバルであるモンドールは、ガンダウルフと相撃ちになる能力を持っています。