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ウィザードキングス
Wizard Kings / Columbia Games

一言で言えば‥‥

コロンビアの積木シリーズ、ついにファンタジー世界にも進出!

個性溢れる種族と強烈な地形、背中を向けている相手のユニットの正体はなんだ?

popula Block gamesystem finally advances into Fantasy World.
filled with variety of races, monsters, terrains, and legends.

プレイ人数 2−4人
プレイ時間 2時間〜
ルール難度 初級ウォーゲーム
デザイナー Tom Dalgliesh, grant Dalgliesh
入手状況 published in 2000

コロンビアの積木システムついにファンタジーに進出
ウィザードキングスのボックス
コロンビアゲームズの積木システムというと、個人的には南北戦争の傑作「ボビーリー」を楽しくプレイしたことがあります。また、「イーストフロント」あたりも筆者は未プレイですが、非常に世評が高いようです。

積木システムの魅力はいくつかあると思います。
プレイに影響する要素としては、立てることができ自分にだけ見え相手に見えない状態にできるということが大きいでしょう。このフォッグオブウォーの効果というのは絶大なものがあります。ダブルブラインドのような手間を掛けなくても、積木にして相手に背を向けて立てるだけで、こんなにも疑心暗鬼になるものかと思います。
第2の要素としては、木製のコマが人間心理に心地よいというのが無視できないと思います。ドイツゲームがファミリーゲームとして人気が高い理由の一つに、木製のコマを使ったものが多いということがあると思います。たとえ造形や色彩がどれほど優れていてもプラスチックのコマでは与えられないものを、木製コマは人に与えていると思います。

コロンビアゲームズは、いまや積木のウォーゲームでは押しも押されもせぬトップメーカーです。というより、この積木ゲームこそがコアビジネスと言ってもいいかも知れません。第二次大戦全体をカバーするかのような「フロント」シリーズの展開の後を受けて、ついにコロンビアはファンタジー世界にも進出しました。

積木のゲームの特質として、フォッグオブウォーと、温もりを挙げた訳ですが、考えてみるとファンタジーという舞台はピッタリの舞台です。個性豊かなユニットが揃っているファンタジーでは、相手の積木が一体どんなユニットを表しているかわからないということが、普通のウォーゲーム以上にドラマチックな効果をもたらします。また、ファンタジー世界の情緒は、史実の戦争よりも木製のコマの温もりにふさわしいように思います。

ウィザードキングスのプレイ
ウィザードキングスのプレイ
左の画像が実際の対戦の様子です。
わたしが指揮しているのは手前の青のユニット、バーバリアンです。相手は黒のユニット、アンデッドです。
マップは大きめのヘクスになっていて、ユニットの移動力は小さい数字になっています。地形は、森あり山あり、海あり砂漠ありの表情豊かなものになっています。1ヘクスには積木6ケまでしかスタックできず、ユニットは広いマップの要所要所に集まっています。そして、相手の戦力を睨みながら機動したり牽制したりして、ここぞと思ったときに一気に仕掛けることになります。ここらへんは中世から近代の戦争を思わせファンタジーウォーゲームらしい実感が生まれています。今しもボード上の右端ではバーバリアンの海賊部隊の上陸作戦が、左端では陸上での大会戦が始まろうとしているところです。

地形も部隊も個性的で、その組み合わせで有利不利が大きく変わります。このため、機動と牽制の中でどこに戦機を求めるかは強烈すぎるほどに重要です。加えてファンタジーのお約束ですが、魔法というものが様々な綾を生み出しています。
基本的には同等の兵力で真っ向からぶつかり合う設定のゲームなので膠着しやすいのですが、こうした特殊能力の強烈さが動きをもたらし、一旦、動き出すと、それが次の動きを生み出していきます。

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ウィザードキングスの難点
ウィザードキングスの部隊
ウィザードキングスの難点として、種族ごとに大幅に部隊構成が違うのですが、どうも強いのと弱いのがいるような気がしてならないということがあります。

オリジナルセットには、エルフ(緑)とオーク(オレンジ)が入っています。で、思うのですが、どうもオークの方が弱いような気がしてなりません。
このゲームでは渡河が厳しく、普通のユニットは橋でしか渡れません。さらに海は、友軍の港同士での海上輸送を除くと、越えられるのは海上ユニットと飛行ユニットだけです。そのくせ、マップに結構、川や海が多いのですね。
結果として飛行ユニットと海上ユニットがいない種族というのは、かなり苦戦します。そういう意味で、オークはどの種族にも共通の魔法使い以外はそうした能力がなく、相手が海で分断されているマップを持ち出してくると困ります。
もっとも召還モンスターに相当するケイオスユニットというのがあって、これ自体も別売されていて増強できますから、オーク族に有力な海上モンスターや飛行モンスターを与えてやるという手はあります。

あるいはオークを諦めて、第3、第4の種族を買い求めていくということも考えられます。
また追加マップが出ており、オークのために海で分断されていないマップばかり集めてプレイするのも良いでしょう。
なんかどうもオークをなんとかする話しばかりになって恐縮ですが、要はガジェットの組み合わせ次第でバランスが簡単に危うくなるゲームだということです。
このため、競技プレイを望むのなら、種族、召還モンスター、使用するマップなどのバランスの良い組み合わせを事前に選定してシナリオ設定した方がいいかも知れません。

関連ゲーム / 類似ゲーム

ファンタジーの大勢力同士の激突ゲームというと、ケイオシアム/AH/HJの「ドラゴンパス」が思い浮かびます。また、本当は宝探しが目的なはずなのですが、結構、部隊がぶつかり合うAHの「ウィザーズクエスト」あたりも難度やスケール的に近いところでしょう。

コロンビアの積木ゲームは他にもたくさんあります。今のところB級SFゲーム分科会の守備範囲としては、このゲームだけです。でもいずれSF界にも進出してくるかも知れませんね。
ヒストリカルなものとしては、南北戦争東部シアターを描いた傑作
「ボビーリー」は南北戦争に多少の造詣のある方なら楽しく遊べると思います。

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