バーサーカー
Berserker / Flying Buffalo
ショートコメント
●ハヤカワ文庫の「バーサーカー」シリーズを作者自らボードゲーム化した艦隊戦ゲーム
"Berserker" series published by Hayakawa is designed as a boardgame by Saberhagen himself.
published designed players time
1982 F. Saberhagen, R. Loomis 2 1+ hour
バーサーカー:皆殺し軍団

 フレッド・セイバーヘーゲンの「バーサーカー:皆殺し軍団」を初めとするバーサーカーシリーズは、銀河を渡ってくる殺戮だけが目的の戦闘機械集団と言うSF的な悪夢で印象的です。非常に長いインターバルで「赤方偏移の仮面」、「星のオルフェ」と刊行されましたが、刊行される度にファンには忘れられていないことを証明したように思います。
 このモチーフはとても魅力的だったため、AHの「アメーバウォーズ」を初めいくつもの銀河規模のマルチプレイヤーズゲームで、ノンプレイヤーの無差別攻撃の存在として似たようなモチーフが出てきます。
 フライング・バッファローから出たボードゲームの「バーサーカー」は、小説の作者、セイバーヘーゲン本人がデザインの一角を担ったことで話題を呼びました。
 ゲーム内容的には、まさに地球へと接近してくるバーサーカーに対して、地球側が水際で決死の防衛線を繰り広げると言う宇宙艦隊戦ゲームです。
 ボックスアートは紫を基調としたカッコイイもので、地球を背景に地球を爆撃するバーサーカーと、これを阻止しようとする地球の防衛部隊が宇宙戦闘を繰り広げているものです。
ファイナル・コメント
 ロボット配置、ボーディング戦闘、Cプラス砲などのちょっとしたガジェットが効いていて、プレイして楽しい宇宙艦隊戦ゲームになっていると思います。
 プレイバランス的にはバーサーカー1隻の最初のシナリオは今一つです。むしろ2隻が登場して地球側に生産ルールが入る次のシナリオが良いでしょう。

 ただ、いずれのシナリオをプレイしていてもバーサーカー側が雲霞のごとく群がる地球防衛軍に対して疲弊していく感じが強くなっています。このため、バーサーカーの持つ凶悪さというのが薄くなってしまっているのが残念です。
 結果として、小説「バーサーカー」シリーズのシミュレーションゲームとしては少々食い足りない感じです。
関連ゲーム
アメーバウォーズ
対白色彗星戦争
 ゲームシステムは艦隊戦の戦術級ゲームですので、少し複雑です。

●バーサーカーのロボット配置
●移動
●防御射撃
●攻撃
●ボーディング戦闘
●地球の生産

 というシークエンスになっています。
 ロボット配置には少し説明が必要でしょう。バーサーカーは巨大な戦闘艦ですが内部のロボットは最低限しかおらず、これらを砲手、修理、艦内戦闘に割り振るようになっています。砲手に配分しなければ射撃ができませんが、艦に損傷を受ければ修理も重要です。また、地球側のラムシップが突っ込んできて決死のボーディングパーティーが侵入してくれば艦内戦闘も重要です。
 バーサーカーの目的は地球の破壊であり、否応なしに防衛部隊の待つ地球へと接近していくことになります。バーサーカーは強力なのですが、雲霞のごとく群がってくる地球防衛艦隊にチクチクとやられると、最後は火の車になっていきます。このため、ロボット配置は意外に重要なのです。
 戦闘の中心は射撃戦ですが、地球側はバーサーカーへ乗り込んでのボーディング戦闘ができます。また、地球側の生産による増援という要素もシナリオによっては含まれています。
 比較的オーソドックスな艦隊戦ゲームに仕上がっている「バーサーカー」ですが、ロボット配置、ボーディング戦闘とともに、このゲーム独特のテイストとなっているのがCプラス砲です。これはヘクス列に沿って発射されます。Cプラス砲は発射後に自己動力でどんどん加速して超高速に入りリアルスペースと亜空間をあたかも水面を跳ねていく石のように跳躍しながら進んでいく超高速魚雷のようなものです。
 上のプレイ画像が丁度、その判定をしているところです。右下のCプラス砲艦から発射されたCプラス砲は、5ヘクス目までリアルスペースを加速して亜空間に入り、以後は2ヘクス亜空間を航行後に1ヘクスリアルスペースに出てくると言うことを繰り返していきます。ボード上に配置されたマーカーがこのヘクスを表しており、このリアルスペースに出てきたところを表しています。リアルスペースに出てきたところでそこに敵味方を問わず艦が存在していると強力なダメージを与えます。