対白色彗星戦争
War against the White Commet

一言で言えば‥‥

あの「宇宙戦艦ヤマト」が、新世代のゲームシステムで、いま甦った!

さらば、地球よ! 旅立つヤマト! 必ずここへ帰ってくるぞ!

こんなゲーマーにお薦めしたい

バンダイ版「宇宙戦艦ヤマト」が手に入らない方はもちろん、持っている方にも!

本放送のときに熱狂してみたわたしたちにも、今からDVD版を見る新世代ヤマトファンにも!

プレイ人数 2人〜
プレイ時間 1時間〜
ルール難度 中級ウォーゲーム
デザイナー ???
入手状況 ???

ヤマト 対 ガミラス 「宇宙戦艦ヤマト」の思い出
冥王星会戦
「宇宙戦艦ヤマト」の本放送は、わたしが小学校5年生のときでした(年齢がバレてしまいますが‥‥)。

それまでの怪獣や怪人が毎回1体ずつ倒されていくものとはまったく異なった銀河を越える旅に出る宇宙戦艦の物語。それは、折しもSF小説にはまり始めていたわたしにとっては衝撃の作品でした。

流星爆弾で放射能汚染された錆色の地球。そこから最後の希望として飛び立っていく宇宙戦艦ヤマト。幾多のガジェット、数々の人間ドラマを乗せ半年間の航海は、正にセンスオブワンダーだったと言えます。

放映当時は、敵のガミラス帝国のドメル将軍や、デスラー総統のカッコ良さに惹かれたものでした。その後、自身も年齢を加えて再放送を見るたびに、そのドラマとしての出来映えにも気付き、ますます魅了されて今に至ります。実は、いまもDVD版を見ている途中なのですが、画像的には今となってはチープさも目に付くものの、シナリオの充実度とガジェットの満載度には改めて感心してしまいます。

その後、ヤマトは次の旅に出て、それがこのゲームのタイトルにもなっている白色彗星帝国との戦いでした。ヤマトはさらに幾度かの旅に出ていくのですが、わたしにとっては今もなおヤマトの旅と言えば最初のガミラスとの戦い、イスカンダルへの往復です。

「宇宙戦艦ヤマト」は、おそらくわたしと同世代のSFゲーマーであれば、少年時代の思い出のSFアニメであるに違いありません。この「宇宙戦艦ヤマト」は、ウォーゲームブームの初期にバンダイの手でゲーム化されました。しかし、バンダイは早々にこの世界から撤収してしまい、以来、このゲームはレアアイテムとなってしまいました。

レアアイテムの常ですが、手に入らない‥‥となると、作品は伝説化されていきます。近年のインターネットオークションでは数万円という価格で取り引きされており、ボードゲームの中ではトップクラスのレアアイテムとなってしまいました。その「宇宙戦艦ヤマト」が、新しいゲームシステムで、よりウォーゲームとして完成度を高めた形で再登場したのがこの作品です。



対白色彗星戦争のシステム

対白色彗星戦争のシステムは、90年代のウォーゲーム界で主流となったチット引きシステムを使っています。両軍はその艦隊指揮官の能力に応じたチットをカップの中に入れ、このカップから引かれたチットにより行動できる艦隊が決まるのです。面白いのは各艦にはエネルギー値というのが設定されていて、ターン開始時からそれまでに引かれたチットの数がこれを越えてしまうとチットが引かれてももう行動できません。ですから、エネルギーの低い艦はいくらチットがあってもそんなに機動できないのです。

戦闘システムは、ツクダ系列のゲームを少し彷彿とさせます。艦艇にはかなりいろいろのパラメータが記載されていて、これらをフル動員して解決します。まず砲撃回数(砲門数と関連している)分のダイスを振り、射程距離(砲ごとに異なります)によりこの内の一定の目以上のものが命中します。そうすると砲の威力に命中数を乗じて効果のほどを算出します。
得られた数値を今度は目標艦の装甲で除します。これにより装甲の厚い艦は損害を食いにくいことが表現されています。この結果得られた商が最終的な有効命中数になり、この命中ごとにさらにダイスを振ってどのような損害が出たかを判定して適用します。
主な損害は2種類あり、船体損害が出ると上述のエネルギー値が減少し、艦の機動に支障をきたします。もう一つは武装損害でこれにより前記の砲撃回数が減少していきます。この他に特殊損害というのがあり、その場合はさらにダイスを振っていろいろなタイプの損害のいずれが発生したかを判定します。

上述したのは一般砲撃の話しで、これ以外にミサイル射撃があります。さらに、艦載機が登場し、もちろんヤマトの波動砲も出てきます。デスラー殺法の異名をとる物質転送装置や、小ワープなども特殊兵器として出てきます。

とまぁ、そんなこんなで基本システム自体、ヤマトの様々な艦隊戦事象を描くのに十分な緻密さを持っており、しかもガジェットも豊富です。ということで、少々、歯ごたえのあるゲームとなっています。

とは言え、一旦、慣れてしまえばそれほど難しくはなく、チャートなどを見ないとわからないというような複雑な判定はなく、どんどんダイスを振って解決していけるようになります。むしろ慣れてくると、やはり最低でもこれだけのディティールは必要だ‥‥という印象に変わってきます。



ガミラス編をプレイしてみての中間報告
七色星団
筆者は現時点で、シナリオ1−3までのガミラス編しかプレイしていません。その段階での感想を書いておきます。

まず、シナリオ1は「冥王星会戦」です。TVの第1回で、沖田艦隊司令官率いる地球防衛艦隊がガミラス艦隊に敗れた会戦です。このゲームでは、沖田艦長の能力を高く評価しているので、チットの引きが地球側に偏ると、地球艦隊に十分勝機があります。最初の画像が実はその風景なのですが、機動し損ねているガミラス艦隊に雪風級駆逐艦軍が雷撃を一方的に敢行して地球が圧倒しているところです。これはちょっとTV史実からすると、違和感があるところです。ガミラスのチット数を1つ増やしてやるとヒストリカルになるという噂ですので、次にプレイするときには試してみようかと思っています。

シナリオ2は、ついにヤマト登場です。ガミラスの哨戒艦隊と遭遇したという架空戦です。このゲームの特徴の一つとして勝利条件がポイント式になっているということがあります。このシナリオではヤマトは早めに脱出することで得点を得るようになっています。ガミラス側はヤマトを遅滞することで地球の得点を減らし、同時にヤマトに多少なりとも損傷を与えると自身の得点が得られることになっています。こうした勝利得点方式のため、いろいろな要素を天秤にかけながらプレイすることとなっています。

シナリオ3は、初代TVシリーズ中の白眉、ドメル艦隊との七色星団決戦です。左上の画像がそれなのですが、中央で被弾しているのがヤマトです。ヤマトの艦載機ブラックタイガー隊は左上で敵の戦闘機隊と交戦しています。しかし、その間にヤマト本体が、爆撃機と雷撃機に相次いで波状攻撃を受けてしまっているのです。これは正に史実を再現しており、ファンとしては感涙もののプレイ風景です。
ちなみに、このプレイではヤマトは爆撃と雷撃には持ちこたえたものの、さらなる艦載機の固定武装攻撃でついに炎上してしまいました。

このゲームは続編の暗黒星団編が企画されているという話しがあります。ガミラス編や、白色彗星編の追加シナリオや追加ユニットも期待したいところです。

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なんと言ってもバンダイの「宇宙戦艦ヤマト」、「さらば宇宙戦艦ヤマト」の二作品に尽きるでしょう。