フィストオブドラゴンストーンズ
Fist of Dragonstones / Days of Wonnder
ショートコメント
●オークションゲームの新機軸にして、特殊能力満載ファンタジーゲーム
●シンプルな基本構造に多彩な特殊能力を盛り込んで相互作用の面白さを味わうゲームのニュータイプ
A brand-new auction game which is filled with special fantasy characters abilities.
New kind of combo-game which has simple mechanics and variety of special abilities.
published designed players time
2002 B.Faidutti, M.Schacht 4-5 60-90 min.
シンプルなオークションゲームに特殊能力満載
 「フィストオブドラゴンストーンズ」は、「操り人形」の作者、ファイドゥッティの新作です。
 「操り人形」も特殊能力ゲームでしたが、やや複雑な構造を持っておりゲームマニアの間で高い評価を得ましたが、ゲーム初心者には薦めにくいところがありました。
 ところが、この新作「ドラゴンストーンズ」は、基本的な仕組は非常にシンプルで誰にでもできそうです。その中に特殊能力キャラクターが満載されていますが、基本8キャラクターの能力を一通り把握すると、後はゲストキャラの能力を出てきたときにプレイ中に説明してもらえれば良くハードルは低くなっています。
 タイトルの通り、拳骨握りのオークションゲームです。
 ファンタジーのキャラクターが順に登場してくるのに対して、金貨を握ってオークションを行います。競り落とすとそのキャラクターの特殊能力を使えるのです。
 この特殊能力を通じてドラゴンストーンを集め、それをさらに勝利得点へと変換していきます。勝利得点は3点で勝利でき、ゲーム全体の長さも短めに設定されています。このため手軽にプレイできると同時に、一回のプレイではゲストキャラの一部しか出てきませんから、新たにプレイすると、また新たな展開が期待できるようになっています。
 ですから手軽に遊んで、何度も繰り返して遊べます。
 重厚な大作も良いですが、こういう楽しくて何度も遊べる佳作もまた素晴らしいです。
ファイナル・コメント
 オークションゲームとしては、クニッツアの「モダーンアート」あたりを皮切りにここ10年、いろいろと傑作が相次いでいます。
 その中でもこの「ドラゴンストーンズ」は、かなり面白いと思います。
 シンプルな構造の中に特殊能力を満載して相互作用の醍醐味を味わうというのも、「コスミックエンカウンター」や「マジックザギャザリング」以来の特殊能力コンボゲームの王道でもあります。
 同じ路線で作った創作ゲームとして、「マジカルアスリート」もあります。
関連ゲーム
操り人形
●モダンアート
コスミックエンカウンター
●マジックザギャザリング
マジカルアスリート
 ゲームでは基本キャラクター8枚が毎ラウンドオークションに掛けられます。これに2枚のゲストキャラクターが加わり合計10枚で1ラウンドのオークションが構成されます。1ラウンドが終わるとゲストの2枚が新しいものに入れ替わって次のラウンドが始まります。
 上の図は基本8キャラクターの典型的なものを並べてみました。
 もっとも基本になるのはドラゴンです。ドラゴンには、レッド、イエロー、ブルーの三色があり、これを競り落とすことでその色のドラゴンストーンが1個手に入ります。いちばん左がレッドドラゴンです。
 もう一つ基本になるのは魔法使いたちです。魔法使いによって多少条件が異なりますが、プレイヤーが持っているドラゴンストーンを支払うことで勝利得点を与えてくれます。左から2番目のウィザードは、三色のドラゴンストーンを1個ずつ支払うことで勝利得点1点をもたらします。
 三番目に挙げたのはウィッチです。これは特殊な能力で、ウィッチを競り落とすとキャンセルコインが手に入ります。以降のオークションでこのコインを入札すると、そのオークションの対象キャラクターの能力はキャンセルされてしまいます。これは有力な妨害能力です。ゲームの終盤で他者の勝利を阻止していかなければならないときには重要で、これを持っているプレイヤーはキープレイヤーになってきます。その一方で自身の勝利に近づくための能力ではないのでどれだけの価値があるかの見極めが難しいところです。
 四番目はシーフです。これを競り落としたプレイヤーは次点のプレイヤーからドラゴンストーンを1個盗むことができます。
 ゲストキャラクターは毎回入れ替わります。その能力はワンショットなので通常キャラより強烈目です。ゲームの局面によっては決定的ですらあります。これによってオークションの相場は大きく変動し、柔軟な判断と、鋭い洞察と、思い切りが要求されます。
 いちばん左はフェアリーです。
 このゲームのシステムの面白いところは、入札する金貨にはフェアリー金貨と呼ばれる毎ラウンド戻ってくる金貨と、1回使うと使い捨てになるコモン金貨があることです。フェアリー金貨は8枚プレイ開始時に配られ、戻ってくるので毎ラウンド使われる固定予算になります。コモン金貨はプレイ開始時に2枚配られます。ここぞという場面で使うことになるでしょう。
 フェアリーの特殊能力は、このフェアリー金貨を1枚もたらすもので、これによって固定予算が増えます。ゲームの序盤で入手すれば大いに優位になるでしょう。終盤であっても他のプレイヤーより原資が大きければ一発勝負で必勝を期すことができますからやはり大きいです。
 金貨のほかにタイブレークで使われる銀貨というのもあります。フェアリーの他にもこうした金貨や銀貨の追加をもたらすキャラクターには、錬金術師やドワーフ、ノームなどがいます。
 二番目はインチキウィザードです。魔法使い系にもゲストキャラが何種類かいます。エンチャントレス、見習いウィザード、ネクロマンサーなどです。インチキウィザードは手持ちのドラゴンストーン全てを支払うことで1点をもたらします。これの凄いところはどんなにたくさん払っても1点ですが、手持ちがないと無料で1点だということです。
 三番目はトロールです。これは迷惑キャラで、一色を指定してその色のドラゴンストーンを全プレイヤーが手放さなければなりません。
 四番目は小鬼です。これを落札すると、このラウンドのまだオークションされていないキャラクター一人を選んでその能力を使用できます。そしてそのキャラクターはオークション済みにします。かなりトリッキーな能力です。こうしたトリックスター的なキャラクターとしては、ゴーストやドッペルゲンガー、ゴブリンなどがいます。