ケイブトロール
Cave Troll / Fantasy Flight Games
ショートコメント
●宝物の溢れるトロールの洞窟に群れ集う冒険者たち、最後は狭い洞窟に冒険者が溢れる???
●ドイツゲームの影響を随所に感じさせるダンジョンゲームの大家、トム・ジョリーの新作
Adventurers gathered at the troll cave which is filled with treasures. Finally, the cave is filled with advenrurers.
New game from the dungeon-game designer, Tom Jolly, which shows influences of German Family games.
published designed players time
2002 Tom Jolly 2-4 1 hour
トロールの洞窟に集まる冒険者
 「ケイブトロール」は、最近、ドイツゲームデザイナーの雄、クニッツアを登用したりドイツゲームの良さを取り込もうという努力が目立つFFGの新作です。と言ってもデザイナーはアメリカゲームの雄、ダンジョンゲームデザイナーとも言うべきトム・ジョリーです。
 その結果、仕上がったものはちょっと不思議なテイストのゲームになりました。

 ゲームの仕組はケイブトロールのマップにどんどん入り口から冒険者カウンターを侵入させることで成り立っています。プレイヤーは自分のパーティーを構成するカウンターを裏返して一山持っており、これをめくってはケイブに進入させて行きます。
 この中に決算マーカーが含まれていて、決算になるとケイブの各部屋について、どのプレイヤーの冒険者が多数派かを決め、そのプレイヤーがそこの部屋の金貨ポイントを得点するのです。
ファイナル・コメント
 実際にプレイすると、有力なポイント源になりそうな部屋を巡って確執が生じます。トップ目を叩く展開もお約束です。非常にゲーム性が高く、皆でワイワイ言いながらサクサク進みます。
 ポイントの記録トラックがボードの周囲を巡っている当りもドイツゲームテイストを感じさせます。シンプルで、それでいてガジェットがあって、競技性が高く、多くの人に薦められるゲームになっていると思います。
 ただし、ダンジョンゲームとしては少々おかしい気もします。それは最後にはケイブが冒険者だらけになってしまうことです。人口過密で喧々諤々のダンジョンと言うのはどうにもファンタジーの冒険物としてはいただけません。
 ドイツゲームの「ティカール」も遺跡発掘の終盤は採掘者だらけになって、せちがらい支配権争いのカウンティングになって浪漫がなく寂しいのですが、この「ケイブトロール」も同じ寂しさがあります。
 誤解のないように書いておきますが、どちらもゲームとしては面白いです。
関連ゲーム
●ウィズウォー
ドラコン
ダンジョンクエスト
 こう書くと、いわゆる決算系のドイツのマネージメントゲーム(たとえばエアラインズ)に良く似た仕組だということがわかるでしょう。
 その一方で、ダンジョンものにふさわしいガジェットも盛り込まれています。冒険者カウンターには、普通の冒険者だけでなく特殊能力を持った冒険者が混ざっています。たとえばバーバリアンは部屋の多数派を決めるときに二人分に数える心強い仲間です。ドワーフはなんとその部屋の価値を2倍にしてくれます。騎士は他の冒険者やモンスターのその部屋への侵入を防ぐことができます。
 他にモンスターも含まれていて、これは他のプレイヤーの冒険者を妨害するために使われます。その中にはこのケイブの本来の家主、トロールもいます。トロールの置かれた部屋はアンプレイアブルになってしまうのです。
 また特殊能力をもたらす宝物も用意されています。最後まで能力を使わないと換金もできますが、大抵の場合はグッドタイミングで使う方が効果が大きいでしょう。