スターウォーズ クイーンズギャンビット
Star Wars Queen's Gambit / Hasbro AH

一言で言えば‥‥

エピソード1のクライマックス、4つの場所で同時に進行する進行する戦いを鮮やかに再現する

ハスブローならではのゴージャスコンポーネントのプレイアブルなビッグゲーム

こんなゲーマーにお薦めしたい

スターウォーズファンなら一度はやってみるべきでしょう

ミニチュアフィギュアを使った賑やかなコンポに魅力を感じるなら一見の価値あり!

プレイ人数 2人 (4人もできるが薦められない)
プレイ時間 2〜4時間
ルール難度 ルールはファミリーゲームプラスアルファ程度
デザイナー クレイグ・ヴァン・ネス アラン・ローチ
入手状況 現在、発売中

クイーンズギャンビットの扱う場面
クイーンズギャンビット
ハスブローAHの出版するボードゲームは、ゴージャスなコンポーネントと、ファミリーゲームプラスアルファ程度の平易なルールを組み合わせたものとなっています。
このクイーンズギャンビットもそうした一作で、映画「スターウォーズエピソード1」を題材にしています。

ゲームが扱うのは映画の最後のクライマックスです。この場面では、4つの場所でそれぞれに重要な戦いが同時に進行していました。
一つはクイーンアマダラのパレス進入です。その直訴により彼女は自らの惑星の未来を切り開こうなどと企んでいるのです。最終的なゲームの勝敗も、このパレスの玉座の間で決します。
もう一つの戦いは、我らが精鋭、悪の手練れダースモールと、2人の小生意気なジェダイ、クィ・ゴンと、若き日のオビ・ワンの戦いです。この戦いで相手を打ち倒した側は、パレスの戦いに援軍に馳せ参じることができ、決定的な役割を果たすことになり得ます。
今ひとつの戦いは、こうしたパレスでの重要な出来事が決着を迎えるまで、抵抗しようと言う片腹痛いガンガンどもをドロイド軍団で蹴散らす戦いです。この防衛戦を撃破していくことは、他の戦線へと波及していきます。
そして、最後はエピソード1の主人公アナキン・スカイウォーカーの宇宙戦闘です。フォースを使う戦闘機乗りであるヤツは、軌道上に浮かぶドロイドのコントロール船を狙って、我が方が繰り出す幾千の迎撃戦闘機を切り抜けて突入してきます。

クイーンズギャンビットは、こうした密接に絡み合った同時進行の4つの戦いをすべて再現するゴージャスなビッグゲームとなっています。
率直に言うと、わたしは映画を見たとき、ニューヨークで原語で見たこともあって、この4元中継のクライマックスはなにがどうなっているのか良くわかりませんでした。今回、このゲームをプレイして、初めて全体の構図がすっきり理解できたほどです。
その意味では、このゲームはエピソード1を見ていて良くわからなかった人や、これから見る人にも良いかも知れません。



幾多の名場面
ナブー平原
ゲームの仕組みを説明するより、映画ネタのゲームですので、場面の画像を使って説明していきましょう。
左の画像は、ナブー平原でのドロイドとガンガンの戦いのクライマックスです。我らがドロイド軍は、その重火力兵器が自由に使えればガンガンごときはものの数ではありません。ところがこざかしいことにファンバースというエネルギーシールド防御兵器を背負った怪獣がいて、これの張るシールドで重火器は遮られてしまっています。そのため、人間サイズのドロイドしかバリヤ内へと進入できません。
しかし、ついに我らがデストロイヤードロイド(黒のフィギュア)は、このこざかしいファンバース(倒れている緑のフィギュア)を撃破することに成功しました。
これによって戦車が運用できるようになり、一気に平原の戦いは我が軍に傾いたのです。
ジェネレーターコア
右の画像は、ジェダイ2人と戦っていたシスロード・ダースモール(赤のフィギュア)が倒れたところです。一人一人と戦えば、若造のオビ・ワン(水色)はもちろん、クィ・ゴン(緑)でさえダースモールには叶うはずもありません。しかし、それを知っているジェダイたちは、なんと卑怯にも前後から挟み撃ちにしてきたのです。ダースモールは前門のオビ・ワンを切り倒して突破を目論みましたが、ついに多勢に無勢、切り倒されてしまいました。無念!
この後、オビ・ワンは、パレスへと駆け込んで応援に行くことになります。
アマダラ女王倒れる
左の画像は、問題のパレスでの戦いです。パレスで最終的に、アマダラ陣営は3人を玉座の間に辿り着かせねばなりません。いまやダースモールは倒れ、この後、アナキンがコントロールシップを破壊すると、ドロイドたちも停止してしまうことになり、負けが確定してしまいます。

しかし、我らがドロイドは機械なるが故に最後まで諦めを知らず戦い続けます。まず女王アマダラの影武者を打ち倒し、そして今度はついに本物のアマダラ女王を仕留めました。画像の右端で倒れている紫のフィギュアが女王です。
左側では、オビ・ワンが血刀を揮って反撃してきています。アマダラ陣営は全部で5人ですが、アマダラと影武者が死んで残るは3人、全員が玉座の間に辿り着かねばなりません。
決着付く!
最後の画像は、決着が付いたところです。血気にはやったオビ・ワンを、ドロイドの冷静な射撃が少しずつダメージを与え、最後はまさかのジェダイの死で終わりました。
軌道上ではアナキンの戦闘機はコントロールシップに後一歩まで迫っており、わずかでも遅れていたならすべてのドロイドは停止してしまっていたことでしょう。かくて銀河の利権は我が手に残り、まだしばらくは安泰でいられることになったのでした。

見ての通り、4つの戦場を描いたコンポーネントはゴージャスそのものです。
右下がジェネレーターコアになっています。その奥がアナキンの軌道上での突破を描くスゴロクのようなコントロールシップバトルのボードになっています。
中央がパレスで、圧巻なことに三層構造の立体マップになっています。いちばん上が玉座の間です。オビ・ワン(水色のフィギュア)が1階の左端で倒れているのがわかるでしょうか?
その左側は平原の戦いになっています。



ゲームの全体の仕組みと難点

ゲームの実際のプレイでは、パレスカードと、フィールドカードから、自分の行いたいアクションを選んでプレイすることになります。
パレスカードは、パレスや、ジェネレーターコアでのプレイに使うもので、それらの場所の特定のユニットを指定し、それに移動・攻撃を行わせるものです。
フィールドカードは、平原の戦いと、宇宙空間の戦いで特定のユニットを指定し、それに行動を行わせるものです。
移動や戦闘のルールは簡単ですが、どの戦場でどういう順序でアクションして全体を進めていくかがこのゲームの醍醐味になっています。
最終的にはパレスで勝敗が決まりますが、平原の戦いの帰趨はボーナスでアクションを行えるようになるので見逃せません。たとえ回り道に見えても平原で優勢になれば、ボーナスアクションで一方的な電撃突破を次のターンに別の場所でもできるようになるからです。
パレスはもちろん直接、勝敗に関係していますから重要です。
ジェネレーターコアの戦いは、両者とも優れた能力者であるが故になかなか決着が付きません。しかし、彼らが相手を倒してパレスに駆け込むと、そこいらの雑魚はお呼びでないので、この戦いを早く勝利できれば決定的な援軍になれるかも知れないのです。
アナキンがコントロールシップを破壊すれば、平原やパレスのドロイドはすべて止まってしまいますから、これも重要です。しかし、迎撃戦闘機の群を突破するには必ずある程度の時間が掛かります。即効性が出ないアナキンの突破をどのタイミングで進めるかは悩ましいですし、迎撃側もタイミングを逃すと簡単に突破されて致命的なことになりかねません。

というような具合で、場面の持つ重要性とジレンマを上手に描き出しているゲームです。
ただ、これが同時に難点にもなっています。4つもの戦場をプレイするので、個々の戦場の進行は遅くなってしまいます。特に長考派の人がプレイすると、長くなります。コンポに釣られて見に来たギャラリーにすれば、「なかなか進まないゲームだなぁ」という感想を持つことになります。プレイしている当人は悩みが尽きず、それほど時間を長く感じてはいないのですが。
とは言え、プレイタイムが2−4時間と書いた通り、万人向けとは言いがたい重さになってしまっています。

あとコンポから想像が付きますが、かなり広いテーブルがないと床でプレイすることになるでしょう。これは日本の家庭事情では大きなネックになるかも知れません。
プレイタイムと空間という問題をクリアできるのなら、一度プレイしてみて欲しい作品です。ルールは難しくありませんから、知っている人に説明してもらえれば当日学習で十分にプレイできます。

関連ゲーム / 類似ゲーム


スターウォーズのゲームというと、ウェストエンドが出していたエピソード4−6のゲーム群が思い出されます。
エスケープ フロム ザ デススターホス強襲
スターウォリアーバトルフォーエンドアがそれです。
この他に国産ではツクダがいくつかのスターウォーズボードゲームを出していました。

また、SPIのフリーダム インザ ギャラクシーはずばりのスターウォーズではありませんが全局図として興味深いでしょう。