
ホス強襲
Assault on Hoth / Westend Games
一言で言えば‥‥
スターウォーズのエピソード5,氷の惑星ホスへの帝国軍の強襲を画く
巨大な四足ウォーカーの破壊力,迎え撃つスノースピーダー
こんなゲーマーにお薦めしたい
スターウォーズのSF戦闘シーンをこよなく愛する貴方に
手軽で面白く目に訴えるウォーゲームをやってみたい入門ウォーゲーマーに
プレイ人数 |
2人 |
プレイ時間 |
90分−3時間 |
ルール難度 |
初級ウォーゲーム |
デザイナー |
ポール マーフィー |
入手状況 |
絶版,入手困難 |
氷の惑星ホスでの戦闘の状況

「ホス強襲」は,スターウォーズのエピソード5「帝国の逆襲」の冒頭のホスでの戦闘を再現するボードウォーゲームです。これに先立つエピソード4で反乱軍にデススターを破壊された帝国軍は,生意気な反乱軍を粉砕するべく反乱軍基地のある氷の惑星ホスを強襲します。
帝国軍の主力兵器は,ウォーカーと呼ばれる巨大な四足歩行兵器です。言って見れば荒れた氷原用の歩行大型砲台とも言うべき強力兵器です。ウォーカーの前に反乱軍はまさにたじたじとなります。
これに対して反乱軍はホス基地を放棄して脱出することを決断します。しかし,輸送船による脱出のための時間を確保するため,ウォーカーの進撃を一定時間食い止めねばなりません。このために,防衛線に配置した砲台と歩兵,そしてスノウスピーダーの編隊を繰り出します。
果たして最後の輸送船が脱出できるまでウォーカーの秘密基地への突入を遅らせることができるでしょうか?
スターウォーズの最初の三部作の中で,惑星地表上の部隊戦闘としては,ボードウォーゲームにもっともしやすいシーンでしょう。

ホス強襲のコンポーネント

映画を題材にしていることもあって,ゲーム「ホス強襲」のコンポーネントは視覚重視になっています。
左の写真の左側に立っている紫のバックの四足歩行機械が帝国の誇るウォーカーです。その前方を帝国歩兵が進んでいます。
迎え撃つ反乱軍は青のバックです。右側の方にはタワーと,砲座があり,その前に歩兵がいるのですが,ちょっとわかりにくいかも知れません。
さらにその前方,帝国軍と入り混じるようにして飛行しているのがスノウスピーダーの編隊です。
右下にあるのは戦闘解決用のダイスです。黒いのはダースベイダーマークで,青いのはビームセイバーマークです。帝国軍はダースベイダーをたくさん出すほど良く,反乱軍はセイバーマークをたくさん出すほど良いのです。ここらへんもわかりやすい。

ホス強襲のシステム

「ホス強襲」は,映画を見てゲームを購入する層のことを考えて,初心者にもプレイしやすいゲームシステムを採用しています。
具体的には,アクションカードと呼ばれるカードのデックを順にめくっていくことでゲームは進行します。
カードには,どのユニットを移動もしくは戦闘させるかの指示が書いてあります。これに従ってプレイしていけば良いのです。逆に言えば,多くの陸戦ウォーゲームでは,一度に一方の軍の全ユニットが行動し,次ぎに他方が行動するのですが,そういう仕組みではありません。
上はカードの一例で,いちばん左のものは反乱軍のスピーダーを移動もしくは戦闘させることができるカードです。スピーダーは機動性が高いので,カードの指示が柔軟に書かれていることで機動性が表現されています。つまり,状況によって移動もしくは戦闘のどちらを選んでも良いのです。
その次ぎのカードは帝国軍のウォーカーを移動させるカードです。ウォーカーは重火力重装甲の兵器で強力ですが,融通は利きません。このため,個々のカードは移動なら移動だけ,戦闘なら戦闘だけを指示しています。このため,状況によってはチャンスを逃すこともあります。
カードは部隊の特性に応じて用意されていて,機動性の高い部隊はカードの枚数も多くなっています。すべてのカードをめくった時点で1ゲームターンが終了するので,機会は必ずめぐってきますが,状況に応じて柔軟に行動できる部隊と,チャンスを捕まえられない部隊とがでてくるようになっています。
その次ぎのカードは,ルーク・スカイウォーカーのカードで,反乱軍の手札として配られ,ここ一番でいつでも使用できるカードです。主人公効果のゲームでの再現というところです。
いちばん最後のものは反乱軍の輸送船が,新たにまた一隻脱出したことを示すイベントカードです。これにより所定の隻数輸送船が脱出すると反乱軍の勝利となります。その前に基地が陥落すれば帝国の勝利です。
このゲームでは,個々のカードで成すべきことは非常に焦点が絞られていてわかりやすいです。このため,初心者でもプレイしやすくなっています。
また,カード引きの運次第で様々なドラマが生まれエキサイティングな展開にもなります。引きが強ければ初心者でも上級者を打ち負かすチャンスもあります。その意味でも,入門用ゲームとしての条件を満たしています。
ホス強襲の難点
このサイトで紹介するゲームにありがちなのですが,旧ウェストエンドゲームズは解散してしまいました。このゲームは絶版になり,新ウェストエンドゲームズはスターウォーズの版権確保を断念したようです。このため,このゲームはコレクターズアイテムの仲間入りをしてしまいました。
この手に入りにくいということが,このゲームの現在の最大の難点でしょう。
ただし,このゲームはその場で説明してもらって十分にプレイできるゲームです。ですから,貴方の周囲のスターウォーズの古くからのフリークや,SFゲームプレイヤーに打診して,是非ともゲーム本体,ルール説明,対戦相手を依頼してみましょう。
楽しくプレイすることのできるゲームですが,その一方で敗因分析がしにくいゲームだということもあります。一枚一枚のカードの指示に従ってアクションしてくのですが,その時に全体的な展望というのがある人と,行き当たりばったりの人とで,実は長い目ではかなりの差が開きます。ところが,行き当たりばったりの人には,自分の失敗がどこだったかがわかりにくいのです。
そういう意味では,初心者と,このゲームの熟練者で対戦する場合には,勝敗のバランスという意味では熟練者側に少しなにかのハンデを付ける方がいいかも知れません。
関連ゲーム / 類似ゲーム
スターウォーズ関連のゲームは少なくありません。
WESTEND の一連のシリーズとしては,エピソード4のデススターからの脱出を画く「エスケープフロムデススター」,宇宙空間での戦闘機のドッグファイトを描く「スターウォリアー」,エピソード6の惑星エンドアでの地上戦を画く「エンドアの戦い」があります。この他に,WESTEND では,「スターウォーズRPG」も出していました。
厳密にはスターウォーズのゲームとは言えませんが,SPI/AHの「フリーダム イン ザ ギャラクシー」はスターウォーズのエピソード4から6までの全体を俯瞰するような銀河規模での革命を画いた戦略級ゲームの傑作です。
近年では,トレーディングカードゲームとして,「スターウォーズCCG」も登場し,様々な拡張キットが出ているようです。
映画,エピソード1の登場で,また新しいゲームも出てくるかも知れません。
