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チタデル オブ ブラッド
Citadel of Blood / SPI / Ares #5


一言で言えば‥‥

血の城塞の中へと進入し,未知の者Xの野望を阻止せよ!

ランダムに作られる迷宮,シンプルな戦闘ルール,手軽なダンジョン探検ゲーム

こんなゲーマーにお薦めしたい

ゲームマスターなしで手軽に遊べるダンジョン探検ゲームとしてソロプレイヤーに

RPGというジャンルを知らない人に,その基本的な醍醐味を知ってもらうツールとして

プレイ人数 1人〜
プレイ時間 2−3時間
ルール難度 初級ダンジョン探検ゲーム(RPG?)
デザイナー エリック・スミス
入手状況 アメリカの中古ゲームショップを当たってみるべし

チタデルオブブラッドの歴史チタデルオブブラッドの表紙

チタデルオブブラッドは,当時,グレートソードヴァレーで圧倒的な勢力を誇っていたダークロード,ロキ・ヘルソンが建設した。AF480年から25年間におよぶ大工事によって,血の城塞はついに完成したのであった。

ダークロードが城塞を建設した理由は二つあった。一つは,彼は圧倒的な勢力を持っていたにも関わらず,いつか他の勢力により攻めこまれる日が来るであろうと予見していたということである。今一つは,魔法使いでもある彼は,自身の研究に没頭することの出来る安全な隔離された空間を欲していたと言うことである。

実際,城塞の上空にはしばしば怪しげな雲が掛かり,硫黄の匂いが流れていたという。様々な噂が流れていたが,もっとも信憑性の高いところではダークロードは冥界へのゲートを操ることに成功していたという。この冥界へのゲートから彼は大きなパワーを引き出し,これによりグレートソードヴァレーでの圧倒的な地位を築き上げたという。

この秘密を守るため,彼は城塞を何者の侵入も許さぬように作り上げた。城塞は深い湖の中央に屹立する岩の上に築かれており,部隊による攻撃に対しては難攻不落の存在であった。ダークロードは配下のオークたちを守備兵として使い,幾多の要塞兵器で敵の侵攻を跳ね返した。

部隊の攻撃以外にも,少数精鋭の侵入者も後を絶たなかった。そうした侵入者に対しては知恵に欠けるオークには頼らず,入り口に設けた巨大な迷宮で迷わせた。さらに,この迷宮にダークロードは多くの凶悪な生き物を召還して住まわせ,侵入者を彼らの餌食として与えたのであった。さらに魔法使いでもあるロキは,魔法のからくりもしかけて万全を期していたという。

しかし,ダークロードは,グレートソード戦争のクライマックスで,同盟していた祝福されしものヴィシリの裏切りにより側面を突かれて敗走することとなった。最後は,トーリン・エヴィルスベインに討たれることとなったのである。

以来,数世紀にわたって城塞は家主のないまま荒れ果てていった。しかし,南方から勢力を伸ばしてきた帝国の力が,やがて城塞の付近にも及ぶようになってきた。この頃に,正体不明の未知のものXと呼ばれる魔法使いが,帝国に対して支払いをして城塞を買い取った。ダークロードほどではないにせよ,魔法に長けたXは,城塞に住みつき,その内部を探求し始めた。

城塞の内部には今もダークロードが使っていた冥界のゲートがあったが,それを制御する術は失われていた。Xは,この術を手に入れ,再び冥界からのエネルギーを引き出して第二のダークロードになることを企んでいた。そして,長い探索の末に,彼はダークロードが隠していた冥界のゲートを操るタリスマンを見つけだしたのであった。

グレートソードヴァレーの諸勢力は,この知らせを聞いてXと同盟を結ぼうと使者を送りこんだ。Xはそのすべてに快諾したが,本心は違っていた。取りあえず妨害を受けずに,もっと探求を進める時間を得られれば,彼はやがて容易に世界を手にできると思っていたのだ。

Xの行動に不審を抱いた諸勢力は,城塞への攻撃や進入を相次いで試みた。だが,その試みは一つの例外を除いて失敗し,大半のものは生きて戻ることさえかなわなかった。ただ一人,偉大なるエルフ,リンファレイドだけは,城塞の奥へと進むことができた。彼は,Xが住みついて間もない頃,エルフを代表するものとして客人として招かれたことがあり,迷宮について多少の土地勘もあったのだ。しかし,Xは迷宮に改造を加えており,その彼の案内するパーティーですらも迷ってしまい,迷宮の最奥部までは行きついたものの引き返すことを余儀なくされた。引き返す彼は,パーティーの仲間の死体を目印に入り口へと戻って行き,最後の湖の掛け橋までたどりついた。そして,そこで迷宮の知識を持ってしまった彼を生かして帰すまいとするXが変化の魔法で変身した魔物と戦ったのである。リンファレイドはXによって深傷を負わされ,生きては帰りついたものの再び城塞へと挑むことはかなわない体になってしまった。しかし,その傷を受ける前に,彼の精霊の剣はXに傷を負わせることに成功した。Xは冥界のパワーで傷の回復を試みたが,精霊の剣の負わせた傷は完全には癒すことはできなかったという。

リンファレイドは自身の冒険を数冊の記録として書き残し,これを頼りに今日も新たな冒険者が城塞へと挑んでいくのであった。

「ロキヘルソンのダークタワー(チタデルオブブラッドの歴史),ニック・カープ,Ares #5」より概略

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チタデルオブブラッドのシステム
チタデルオブブラッドのプレイ
チタデルオブブラッドは,いわばダンジョン探検RPGの入門編とも言うべきシステムになっています。

プレイヤーは自分が担当する冒険者の設定(種族,能力,武器,防具,呪文,装備)などを決めます。そしてダンジョンの中へと進入していきます。

ダンジョンの中の地形は,チットを引くことでランダムに決まります。左の画像がプレイの写真で,左下が入り口です。そして,奥へと進んでいき,いちばん奥に階段があります。

右側は第二層(地下ダンジョンではなく城塞を登っているので二階になります)です。ここで,魔法の鏡を発見し,これによりパーティーは今しも禁断の冥界のゲートの力を解放せんとしているXの野望が,どこで行われているかを映し見ることに成功しました。

この情報を頼りにパーティーは奥へと進んで,Xの邪悪な儀式の現場に辿り着いたのです。右上の一角の赤いコマが,冥界のゲート,X,そして召還された使い魔たちです。その手前の水色のコマが,Xの野望を打ち砕かんとする冒険者たちです。

冒険者は二列になっていて前列がもっぱら戦闘を担当し,後列からは弓矢や魔法などで攻撃補助をするシステムになっています。ここらへんは,ダンジョン探索系のRPGのごくベーシックな作りになっています。

そして見事,Xを倒し,冥界のゲートを封印することに成功すれば,任務達成です。

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チタデルオブブラッドの難点

チタデルオブブラッドは,手軽にできるダンジョン探索ゲームとして良くできていると思います。少しあっさりしすぎている嫌いはありますが,作られた時代や,雑誌の付録ゲームであることを考えれば止むを得ないでしょう。思えばこのゲームの当時は,RPGというジャンルが勃興期にあって,まだ元祖D&Dや,元祖トラヴェラーが新顔の時代でした。そのことを踏まえた上で評価しなければ酷というものでしょう。

その一方で,かつてのウォーゲームブームやRPGゲームブームを知らない新しい世代の人たちにとっては,このくらいのゲームがダンジョン探索RPGの面白さを体験する入門編として適当かも知れません。ただ生憎とそうした入門編として機能するには,入手困難であることが問題かも知れません。

ちなみにこのゲームは月刊タクティクスの付録ゲームとして掲載されたことがあるそうですので(情報ありがとうございました>Fさん),それを探されるのがいちばん見つかりやすいでしょう。また,アメリカの中古ショップまで当たるつもりがあれば,Ares誌の中ではまだしも見つかりやすい部類ですので(後期のものは出版部数が下がっていったせいか見つかりにくい),頑張れば見つけられるでしょう。

気がついてみれば,元祖D&Dも今では店頭ラインナップからは姿を消しており,その意味ではこのゲームあたり時代を越えて,今となってはむしろ貴重な存在になってきたのかとも思います。ここには,ダンジョン探索RPGの醍醐味である,キャラクター作りの面白さ,役割分担してパーティーとして目的を達成する面白さ,様々なファンタジーガジェットと遭遇/活用する面白さが,一通り盛りこまれていますから。

関連ゲーム / 類似ゲーム

「チタデルオブブラッド」は,SPIのファンタジー架空史の一環を成しています。その意味で,同社の「ソーズアンドソーサリー」や,ファンタジーRPG「ドラゴンクエスト」と密接に関連しています。

また,このゲームは当時それなりに人気を博したようで姉妹編とも言うべき類似のゲーム
「デスメイズ」も登場しました。

前項で書いた通り,ダンジョン探索RPGの入門ツールとして勧められますので,この方向の次のアイテムとしてTSR社の伝説的RPG
「ダンジョンズアンドドラゴンズ」も挙げておきましょう。

この他にダンジョン探索のボードゲームとしては,GW社の「ダンジョンクエスト」があります。日本では翔企画から
「ダンジョンウォーズ」「ダンジョンウォーズ2」というゲームが出ていました。ダンジョン探索は,ある意味でファンタジーゲームの王道ですから,他にもたくさんのゲームがあります。

また,Ares全体については「Aresを覚えていますか?」をご参照ください。

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