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サンダーズエッジ
Thunder's Edge / Fantasy Flight


一言で言えば‥‥

突如として重要になったサンダー星雲辺境の惑星を掌握せよ

交渉,金策,そしてもちろん軍事行動,利権を他者に譲ってはならない

こんなゲーマーにお薦めしたい

戦闘要素を含んだマルチプレイヤーズSFゲームの新作を求める方に

ローカルルールを作っても楽しく遊ぼうという工夫するゲーマーに

プレイ人数 3−5人
プレイ時間 4−8時間
ルール難度 簡単なウォーゲーム要素を含むマルチ
デザイナー クリスチャン・ピーターセン,ジェフ・ティドボール
入手状況 新作なのでアメリカでは容易

サンダーズエッジの設定
サンダーズエッジのボックス
人類は太陽系外へと進出していた。しかし,その発展は限界に近づきつつあった。最大の理由は,星間航行にかかる時間と労力である。これを克服できなければ,人類の宇宙での発展も停滞してしまうであろう。いや,既に停滞してしまっているのかも知れない。

そんな折り,サンダー星雲の外れでワームホールが発見された。宇宙空間に開く虫食い穴は,革新的な宇宙航行システムへの未来を示すものだった。

それまで辺境の一惑星に過ぎなかったサンダーズエッジは,突然,人類の未来を担う重要な拠点となった。地球政府はまだその重要性に気づいていない。今のうちにサンダーズエッジ現地のコントロールを掌握し,人類の未来に繋がる利権を我が物にしてしまえば‥‥。

と言うのが,サンダーズエッジの設定です。そして,人類は新航法を獲得して銀河帝国への道を歩み出すのです。こうした帝国の時代は,同じファンタジーフライト社の同じシリーズの第1作「トワイライトインペリウム」へと繋がって行きます。

サンダーズエッジのシステム
サンダーズエッジのセットアップ
サンダーズエッジは,ファンタジーフライト社のヘクスプレイゲームシリーズの第3作です。

このヘクスプレイゲームシリーズは,ヘクスタイル並べることでマップを構成することを特徴としています。同社の言い分によれば,これによりプレイする度に展開が変わり,飽きることがないということになります。

サンダーズエッジでは,首都セントアを中心に置き,この周囲に各自が自分だけが正体を知っている地形タイルを置いていきます。プレイヤーは各自,限定的な地形情報のみを持ってゲームをスタートします。

それぞれのヘクスタイルは伏せられたままで置かれ,配置終了後に各プレイヤーの初期部隊が軌道から降下してきます。ユニットが降下したタイルはオープンされていきます。画像はこの初期降下が終了したところです。降下では一箇所に1ユニットずつしか降ろせないため,どの部隊も広く薄く展開しています。また,左上の一角は,不毛の地らしいという情報が流れて誰も降下しなかったため,伏せられたままスタートしています。

サンダーズエッジでは地球政府が正式に介入してくるまでにできるだけ現地を掌握することを目指します。地球政府は,現地の緊張ポイントが30になった時に介入してきます。緊張ポイントは毎ターン2ポイントずつ上昇し,それ以外にミッションカードの内のイニシアティブと言われる動向を左右するイベントの発生で上昇します。

プレイヤーの現地掌握度は勝利得点で算定されます。勝利得点は,サンダーズエッジ上の拠点の確保,地球とサンダーズエッジの間の宇宙空間の要衝の確保で得られます。この他に,イニシアティブイベントの達成,そして毎ターン決められる現地のコンスル(執政官)を歴任することでも得られます。

特にコンスルは1期勤めると5VPになるので歴任すると大きなポイントになります。このコンスルは毎ターン,カードプレイで決められます。プレイヤーは毎ターンセネートカードと呼ばれるカードを配られ,これは地球の諸勢力からの支援や支持を表しています。特定の勢力からの支援を10ポイント分集めるか,上院議員5人の支持を得られればコンスルになれます。

このカードのトレードの仕組みは,AH社の「シビライゼーション」に少し似ています。プレイヤーは1枚のカードを相手にリクエストし,互いのリクエストが合致すると交換します。この時にリクエストされた1枚の他にもう1枚かならず付けなければなりません。カードの中にはババに当たるブラックカードがあり,これがプレイヤー間を回ることになります。コンスルが決まった瞬間に持っていた人がその悪影響を受けます。それまでは何回でもトレードして回せます。その一方でブラックカードを集めることで逆ボーナスが発生するルールもあります。
サンダーズエッジのプレイ
軍事行動は各プレイヤーのアクションフェイズに実施されます。戦闘ルールは,ごく簡単なウォーゲーム程度です。しかし,ウォーカーと呼ばれる歩行型装甲兵器による突破のルールがあり,要塞の構築もでき,都市などの拠点の包囲のルールもあります。作戦を楽しむのに十分な程度のガジェットが含まれています。ユニットも,防御の強い歩兵,突破のできるウォーカー,攻撃の強いオブリテレーター,支援のできる砲兵など,それほど種類が多いわけではありませんが,ツボを押さえたラインナップになっています。

この他に宇宙空間の拠点も争えます。通常はカードプレイを通じて政治的に掌握するのですが,兵力をこっそり送りこんで置いてゲーム終了時に一斉に開けて最終的な支配権を決めます。画像は宇宙空間の拠点に兵力を配置しているところです。

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サンダーズエッジの問題点

サンダーズエッジは,見栄えのするコンポーネントで非常にそそります。説明した通り,交渉要素と,戦闘行動が過剰でなく詰め込まれていて,ルールを読んだ段階では大いに期待させました。

ところがプレイしてみたところ,いろいろと問題が出て来ました。まずコンスルを選ぶ交渉部分では,5人の上院議員の支持を集める手段が,特定勢力の支援を集めるよりも容易なため,不具合が生じているように思います。取引が少なくなってしまい,同じプレイヤーが再選されやすいため,プレイバランスを悪くしています。

また支援はミッションカードのイニシアチブの達成にも必要なのですが,取引が薄いためイニシアチブも発動しにくいように感じました。

戦闘ルールでは,要塞のコストパフォーマンスが高すぎるようです。どちらかと言えば,このゲームは普通のウォーゲームより攻撃側に有利なシステムで,局面が動きやすくなっています。しかし,要塞が設立され始めると,動きが鈍くなってしまいます。しかも,その要塞がコマがなくなるほどボコボコ建ち始めるので,ちょっとおかしいのではないかという話しになっています。

この他に各拠点を制圧すると得られる特殊能力があるのですが,これが少し強すぎるかも知れません。また,こうした特殊能力のルールの記述用語がきっちり定義されていないため解釈に疑義が生じるのも問題です。

全体に見て,非常に面白そうな要素を満載しているのですが,練りこんでバランスを取るということがされていない印象を受けます。もうちょっと頑張ってテストプレイして仕上げてくれたら,凄く良いゲームになっていただろうに‥‥という感じです。

とは言え,魅力的な部分もあるので,コンポーネントを作り変えないで済む程度のマイナールールチェンジでどうにかならないものかと思っているところです。

コンポーネントと言えば,一部のカードやタイルのフォントが非常に小さくて読みにくいのも難点でしょうか。

関連ゲーム / 類似ゲーム

ファンタジーフライト社のヘクスプレイゲームシリーズの第1作は星間帝国の争うトワイライトインペリウムでした。続く第2作はファンタジーのバトルミストでした。本作はこれに続く第3作です。
また、拡張キット
デーモンキャニオンが既に発売になっています。

辺境でのゲリラ戦というと,個人的にはGDW社の
ブラッドツリーレベリオンを思い出します。ゲームとしては全然違いますが‥‥。

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