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インペリウム
Imperium / GDW


一言で言えば‥‥

SFゲームの歴史に残るであろう代表的古典作品

宇宙へ版図を広げた人類は,強大な銀河帝国と遭遇した

こんなゲーマーにお薦めしたい

宇宙艦隊が激突する星間戦争を夢見る方に

ウォーゲームはやってみたいが,本格的なものは辛そうという方に

プレイ人数 2人
プレイ時間 戦争:1−3時間、これを繰り返す
ルール難度 初級ウォーゲーム,ただしかなり独創的
デザイナー マーク ミラー
入手状況 海外ゲームショップを当たられたし

インペリウムのボックス インペリウムの思い出

「インペリウム」というゲームタイトルを初めて目にしたのは,SFマガジン誌上でした。まだ,海外のボードゲームは,一部を除いては手の届かぬ存在で,SFマガジンで紹介されるSFゲームはSF少年の心をせつなく躍らせたものです。

そのゲームが輸入販売されるようになったのは,その数年後でした。学生になっていたSF少年は,もちろんそのゲームを買い,宇宙艦隊を率いて,ある時は地球の命運を荷い,ある時は帝国皇帝の現場への無理解を嘆いたものです。


インペリウムの設定

インペリウムでは,一方のプレイヤーは宇宙へと躍進した地球を率い,他方のプレイヤーは強大な銀河帝国の地球付近の辺境司令官となり新興勢力地球と戦います。

インペリウムで特徴的なのは,一回の連続した戦役ではなく,途中で停戦して平和な期間が設けられるところです。この期間中に両軍は次の戦争への軍備を整えることになります。こうした何次もの戦争を繰り返す仕組みが,長大な時間と空間をまたがって行われる星間戦争の雰囲気を作り出すのに一役買っていて,このゲームの重厚な雰囲気を作り出しています。

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インペリウムのマップ
インペリウムのゲームシステム

インペリウムは,ウォーゲームの仲間に入りますが,そのシステムは星間戦争を描いていていささか独特です。

インペリウムのマップには,広大な宇宙空間に点在する恒星が描かれていて,それらがワープ航路で結ばれています。基本的に,宇宙艦隊はこのワープ航路に沿ってジャンプして航行し,敵の支配下の星系までは無制限にジャンプできます。このため,両軍は広大な宇宙空間を結ぶワープ航路のネットワークの拠点となる星系を巡って争うことになります。

ユニットは星間航行する艦船のほかに,地上部隊,基地施設などがあります。敵の星系を奪取するには,自軍艦隊で敵星系へ侵攻し,敵艦隊を撃破し,さらに地上へ降下して敵地上部隊を粉砕するという手順になります。

艦隊船のルールでは,両軍の主力兵器システムが異なっているのが大きな特徴です。帝国艦船は,誘導ミサイルを主力兵器としており,長射程での戦闘に長けています。一方の地球の艦船は,近距離戦闘で威力を発揮するレーザー兵器を主武装としています。艦隊戦は,一方の艦隊が壊滅もしくは撤退するまで何ラウンドも続けられます。この時,最初のラウンドは必ず長射程であるが,以後のラウンドは互いの艦隊運動によりイニシアチブを取った側が射程距離を決める仕組みになっています。この他に,長射程ミサイルでは全弾を集中射撃することができたり,近距離戦闘では決死突撃を敢行できるルールがあります。シンプルではありますが,互いの兵器の長所短所を生かして戦うための戦術の色付けが盛り込まれていて面白いです。


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インペリウムのコマ プロキオン問題

インペリウムでは,帝国軍が初期配置でプロキオンにタンカーを配置して,プロキオンより地球に近い星系に艦隊を配置できるかどうかというルール問題が長いこと話題になりました。ゲーム輸入発売当初には,多くのプレイヤーはこれをできないものとして遊んでいたと思うのですが,TATICS誌に「できる」という解釈が掲載されたため,以後,ながきに渡って両論がゲームプレイの場で衝突することになりました。
近年,GDW社の第二版を入手して確認したところ,帝国軍のセットアップ手順が,「ワールドやアウトポストを連結できる状態で配置,その後に艦隊などを友軍星系に配置」となっていること,連結の定義として「タンカーの存在しない第三レベル星系は通せない」となっていることが確認できました。したがって,ワールドやアウトポストを置く段階ではタンカーはまだ置くことができないので,プロキオン(第三レベル星系)より先の星系を友軍基地にできません。その結果として,そこに艦隊を置くこともできないということになります。したがって,当初に巷間で流布していた解釈が妥当であったということです。


関連ゲーム / 類似ゲーム

GDW社のSFゲームは,RPGの「トラベラー」とその兄弟分も含めて長大な未来史を形成しています。そのため,これらのゲームはすべて関連しています。その中でもほぼ同システムの姉妹編とも言うべきものとして「ダークネビュラ」があります。

銀河帝国規模での宇宙艦隊を使った星系を争うゲームは,SFゲームの本流の一つです。その意味で類似ゲームは数多くあります。いくつか例を挙げるとすれば,SPI社の「ザ ソード アンド スターズ」や,AH社が出版していた「ステラコンクエスト」があります。

また,新興の地球が遭遇した強大な銀河帝国という構図としては,WESTEND社の
「ウェブ アンド スターシップ」なども挙げられましょう。

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