マイフェイヴァリット SF サ〜ナ行
クリフォード・D・シマック

 シマックは中学時代にあった作家です。
 とても優しい視点の作品がわたしのお気に入りです。
 彼の優しい視点が特に感じられる「中継ステーション」と「小鬼の居留地」を挙げました。
 「中継ステーション」は、ウィスコンシンの山奥の一軒の家が銀河を結ぶネットワークの中継ステーションでいろいろな宇宙人が通り過ぎていくという話しです。
 「小鬼の居留地」は、転送機の故障でファンタジーな生物が実在する世界に辿り着いてしまうという話しです。
 出てくるものはエイリアンやファンタジー生物なのに、どうしてこんなに優しい雰囲気の作品なのかと思います。
BQSF_GAME
ジェイムズ・H・シュミッツ

 シュミッツは、高校時代に出会いました。活発で大胆なヒロインと魅力的な異星生物が活躍する爽快なSF冒険小説の書き手です。
 「テルジーの冒険」は、彼の代表作のテルジーシリーズの連作短編の一冊です。この巻ではまだ子供っぽいテルジーはシリーズが進むにつれ成長していきます。
 「悪鬼の種族」は、背景設定を共通に持つハブ連邦シリーズの一つで、美人野外生物学者ナイル・エットランドが主役です。テルジーより大人びたヒロインが、辺境の海洋惑星の紛争のカギを握ります。
 他に宮崎駿がイラストを描いている「惑星カレスの魔女」も良かった記憶があります。
ニール・R・ジョーンズ

 中学のときに愛読したニール・R・ジョーンズのスペースオペラ「ジェイムスン教授シリーズ」です。
 自分の死体を宇宙版ピラミッドよろしく保管したジェイムスン教授は、機械人間に発見されて頭脳を移植され機械人間として甦りました。そして、彼らとともに宇宙の冒険へと。
 カンテラ型の胴体の四方に手と足が一本ずつ生え、頭には360度視界の目が付いている機械人間が主人公という奇妙なスペースオペラです。内容は明るく楽しく気軽に読めます。イラストは藤子不二雄さんでした。
 1、2巻はトントンと出て、3、4巻はインターバルが長くなり5巻はとうとう出ていません。
ロバート・シルヴァーバーグ

 シルヴァーバーグは中学時代に出会いました。
 多作で独立した良質の長編を高打率で生産している作家という印象で、アメリカSF界で最も職人的なSF作家という気がします。その後、「マジプール年代記」のような長編大作シリーズを書き始め、変身していきました。
 良質の長編が多く甲乙つけ難いのですが、「禁じられた惑星」と、「内死」を挙げました。
 「禁じられた惑星」は心の交流を禁じる文化で「わたし」という言葉さえ口にできない世界での悲しいラブストーリーです。
 「内死」は人の心を読める能力を持つ男がその能力を失ってしまう過程を重い筆致で描く作品です。
 「夜の翼」、「ガラスの塔」、「いまひとたびの生」、「一人の中の二人」、「不老不死プロジェクト」などいずれも素晴らしいです。マジプールの第1作「ヴァレンタイン卿の城」も良かったです。
ロジャー・ゼラズニイ

 ゼラズニイも中学時代にあった作家です。けれど本当に彼をスゴイと思ったのは「真世界シリーズ」を読んでからでしょう。一言で言うならスゴくカッコイイ作品を書く作家でしょうか。
 「真世界シリーズ」は、パラレルワールドの真髄に位置するアンバーの王位継承を巡る現実世界と異世界を交錯したスタイリッシュなファンタジーです。
 「ロードマークス」はサンリオSF文庫の中でもトップクラスの傑作で創元から再版予告が出ながら未だに果たされていない作品です。これもパラレルワールドものですが、時間線を道路のように移動することができるというイメージで描かれています。この時間線を移動できるものたちは自分の故郷世界を探したり、自分の理想の状況を探して旅しており、多くの者が旅するところが本線となっていくのです。
 「光の王」、「魔性の子」も良かったです。
★フィリップ・K・ディック

 ディックとの出会いはハヤカワ文庫の青背で「偶然世界」や「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が出たときからです。
 世界が見た目通りのものではなく、いままで信じてきたものが崩壊していく感覚は独特でした。SF的なガジェットやアイデアも豊富で、ときにまとまりがないこともありますが読んでいて楽しい作家です。ウィンダムと共に中学時代にいちばん影響を受けた作家です。
 「ユービック」は個人的に一番のお気に入りです。いきなり月に行って爆弾が爆発、その後はモラトリアムの中での精神世界での侵食の物語です。というネタバレはともかくとして時間退行していく世界でのスリリングな展開は一気に読ませます。
 「高い城の男」は、ナチスドイツと日本がWW2に勝ってしまった世界で、どうやらこれは偽の時間線で本当は連合軍が勝っていたらしいという可能性を追い求める作品です。易経が出てきたりオリエンタルテイストもある大作です。
 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、「パーマーエルドリッチの3つの聖痕」なども素晴らしいです。
トマス・M・ディッシュ

 トマス・M・ディッシュは、中学時代に出会った作家ですが、そのときの印象が後で大きく変わった作家でもあります。
 本当に素晴らしいと思ったのはSFマガジンに載った中篇「いさましいちびのトースター」や、大作長編「歌の翼に」です。
 「プリズナー」や「人類皆殺し」のときは破滅ものやミステリアスなタッチの一流半というイメージでしたが、優しいタッチの作家に変身して本物になったと思います。
 「いさましいちびのトースター」は、別荘に取り残された家電製品たちがご主人を探して旅に出る寓話です。
 「歌の翼に」は、不幸な境遇の少年が歌によって成功しさらにはテクノロジーとの融合によって歌で飛翔するという大作です。これまでのディッシュからは想像も付かない甘く切ない物語です。
まいふぇいばりっとSF ア〜カ
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