マイフェイヴァリット SF ハ〜ワ行
エドモンド・ハミルトン

 ハミルトンは小学校から中学校に掛けて愛読しました。
 なんと言ってもスペースオペラの代表作「キャプテン・フューチャー」に尽きます。
 なにを取り上げようか迷いましたが前半の太陽系編から二つにしました。時空を越える冒険となる「惑星タラスト救出せよ」やトリッキーな展開と舞台が面白い「魔法の月の決闘」など他にもたくさん挙げたいのですが‥(^_^;
 「太陽系7つの秘宝」は、太陽系全体を巡ってライヴァル、ウル・クォルンと争う傑作ストーリーです。ウル・クォルンが出てくるとタイガー・ジェット・シンを思い出すのはわたしだけでしょうか?
 「謎の宇宙船強奪団」は、太陽系一周レースというビッグイベントを前に起こる謎の事故に潜む陰謀と対決します。太陽系一周レースはゲームのモチーフとして良く出てきますね‥(^o^)
BQSF_GAME
E・R・バローズ

 バローズは、「ペルシダーシリーズ」と小学生の時に出会い、中学で「火星シリーズ」と出会いました。
 なんと言っても「火星シリーズ」ですね。その中でもマッドサイエンティスト、ラス・サヴァスの出てくる2作でしょう。
 「火星の交感頭脳」は、ジョン・カーターを追って火星に飛来することとなったユリシーズ・パクストンが今正にラス・サヴァスの頭脳移植手術の進もうというところに‥というお話し。
 「火星の合成人間」は、ラス・サヴァスの作り出した合成人間による火星制圧の陰謀に挑むこととなった親衛隊士官ヴォル・ダーの物語です。なんと言っても合成人間たちが魅力的です。
 ところで、火星シリーズと言うとヒロインの魅力が良く言われますが、やはりシリーズ中のベストヒロインは「火星の秘密兵器」の表紙であろうと思われるタヴィアだと思うのですがどうでしょうか?
フレドリック・ブラウン

 中学のときに愛読した二冊の長編が印象深いブラウンです。
 「火星人ゴーホーム」は、タチの悪い緑色の小人の火星人に悩まされるユーモアストーリーです。これでテンポの良い長編にしてしまうのですからブラウンの達者なこと。
 「発狂した宇宙」はパラレルワールドものの原点とも言われるクラシックですね。B級SF的なテイストもたっぷりの作品で、とても楽しく読めました。
マリオン・ジマー・ブラッドリー

 ブラッドリーは先週から読み始めました‥(^_^;
 と言うより、この「ストームクイーン」がとても良かったので、思い切ってこんなページを起こすことを思い立ったのです‥(^o^)
 「ストームクイーン」は、ダーコーヴァー年代記の初頭、ラランを強化すべく近親交配が行われ、その力の濫用や、近親交配の悲劇が続いていた混沌時代の初期を描いています。
 雷や嵐を操る力を持つドリリスと、その異父兄のドナル、野心家の兄ラファエルを持つ修道院修行僧のオーラート・ハスター。オーラートが来るべき紛争で兄の力となるべく呼び出され、その政略結婚相手として登場するカサンドラアイヤール。さらに塔の監督者レナータ。
 血族の争いを描くファンタジーとして素晴らしく、制御できない超能力を持つ異文化を描ききり、最後は超能力を濫用した紛争から、悲劇の結末へと至ります。ストーリー、文化描写、超能力SF、人物の魅力の全ての点でレベルの高い傑作と思いました。
★クリストファー・プリースト

 プリーストは高校時代に出会った作家です。踊らない筆致でありながら一気に読ませる筆力は独特のものがあります。難点はあまりに寡作であることですね。
 いちばん良かったのはSFマガジンに載った中篇「蒼ざめた逍遥」ですね。一種のタイムトラベルもので、甘酸っぱい青春ストーリーになっています。
 「スペース・マシン」は、加藤直之さんのカッコイイメカで買って内容の意外さに‥って、まるっきり「ブロントメク!」ですね。ウェルズの「タイムマシン」や、「宇宙戦争」へのオマージュになっていますが、これ自体の面白さもあって一気に読ませます。
 「ドリーム・マシン」は、多くの人間の共通の理想社会を思考空間に作り上げる実験から、そこに定住しようとする逸脱が生まれる話しです。一種の夢モノですが作品世界のタッチのリアリティが素晴らしく引き込まれてしまいます。
バリントン・J・ベイリー

 ベイリーとの出会いは大学になるかと思います。
 一時期いわれたワイドスクリーンバロックの一派の一人ですが、奇想天外なアイデアで次々に長編をモノにする馬力は中でも群を抜いていると思います。とにかく読んでいて気持ち良くビックリさせてもらえる作家と思います。イアン・ワトスンも良いのですが少し観念的に過ぎるかなという気がしてベイリーの方がずっと好きです。
 「カエアンの聖衣」は、服は人なりというアイデアが延長して服による人のコントロールを通じた侵略‥というとんでもないストーリーです。
 「時間衝突」は、文字通り時間線を我々のように過去から未来へと進む世界と、これとは異なる方向から進む世界が衝突するというアイデアです。これに完全無欠な技術カースト社会の存在が絡んで‥。
 まぁ後は読んでくださいというしかない奇抜なアイデアの連続する錯綜ストーリーです。
ジョージ・R・R・マーティン

 マーティンの短編と出合ったのは高校時代にSFマガジンでです。
 でもやはり凄い!‥と思ったのは「翼人の掟」を読んだときでしょう。
 どこかで「高い技術と低い志」ということをマーティンに対する言葉として見たことがありますが、なるほどなと思います。筆力という点ではカードより上でSF界でもトップなのではないかと思います。その割に、SF史に残りそうな作品がなかったのですが、氷と炎の歌がライフワークになりそうですね。
 「翼人の掟」は、ディッシュの「歌の翼に」と共に飛ぶことへの浪漫を描いた甘酸っぱいストーリーです。ただしこちらは各部で一気に時代が移り、甘酸っぱい青春ストーリーだけでない厚みがあります。作品のベスト10を作るとしてもトップ候補の一つと思う素晴らしい作品です。
 「サンドキングス」は、マーティンの才能を感じさせる傑作短編集。表題作はリアル昆虫でやるミニチュアウォーゲームが‥というホラーストーリーです。怖い怖い‥。
まいふぇいばりっとSF ア〜カ
まいふぇいばりっとSF サ〜ナ
★マイク・レズニック

 レズニックと出合ったのは社会人になってからになります。
 独特のアフリカやメキシコを感じさせるタッチと、時間の重み人間の生の軽さと、その生き様について哀愁を感じさせながら考え直させてくれる作家と思います。
 大人のための童話という感じが強い「アイヴォリー」と「キリンヤガ」はどちらもお薦めですが、「アイヴォリー」の方を挙げました。持ち主の運命そのものを担っているキリマンジャロ・エレファントの象牙を巡るエピソードを綴った連作集です。
 「サンティアゴ」は銀河を舞台にした賞金稼ぎストーリーで、その最大のターゲット、サンティアゴを追うものたちを順に描きながらサンティアゴに潜む秘密を最後に解き明かしていきます。
 「アイヴォリー」も「サンティアゴ」も意外なほどあっさりと登場人物が死ぬのですが、それでいてレズニックの人間に対する愛情や、人の生き様を見つめる暖かい視点が感じられます。