『鬼のように青く、』
なぜ、こんなにも
鬼のように
空は濃く、青い
まま
なのか
なぜ、こんなにも
鬼のようにふるえる
肉、である
のか?
体の芯から
肉の底から
こがれるように甘く
甘く、ただ
鬼のように
男、
である。
なぜ、こんなにも
鬼のように
男、
なのか
鬼のように空は濃く青く
そしてその青は
曖昧な手つきで日々
塗り込められてゆく、
ばかり。
塗り込められてゆく、
ばかり。
塗り込められて
ゆく、
けれど、
鬼のように青い空の下で
樹々はきしみ、ゆがみ
それでも、なお
天空を押しのけてさえ
生えてのけるのか
ただ
生えてのける
のか
そして鬼のように濃く
青い空の根から
今日も
人、ひと、ヒトからの、糸が育つや
貴人の髪めいて
ひとふさ、ちぎれ飛び、
梢にからむ鬼、鳥に
因われても
なお
因われても
なお
ひとふさ、また、ひとふさ
生まれ、浮き
ちぎれ、飛び
もだえては、
きるきると中空の風に鳴る、
きるきると中空の風に鳴る、
のだ。
なぜ、こんなにも
鬼のように
ヒト、
なのか
なぜ、こんなにも
鬼のように
オレ、
なのか
なぜ、こんなにも
鬼のように、きるきると
甘やかに肉の底の底から
こみ上げる、
まま
うずうずと走りつづける
修羅ビトである
のか。
修羅ビト
である、まま
な
のか。
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『川村透詩集』〜Sukeru 詩 Source 『Blue Kid』〜より
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