PHSの高速データ通信サービスであるPIAFSが3月15日からスタートする。先行してDDIの独自方式αデータが既にサービスを開始しており、いよいよ携帯端末を使った通信が本格化してきた。PHSを携帯端末に内蔵したタイプの機器も、すでに3社が発売を開始、あるいは発表しており（京セラのData Scope、パナソニックのピノキオ、東芝のGENIO）、今後もこのテの商品は次々と出てくると思われる。これらの製品群は、米国で"SmartPhone"と呼ばれているジャンル〜Nokia9000などが有名〜に類似したコンセプトを持っており、単体で電話になりかつインターネット接続が可能、さらにPIM機能を備えている。PHSのサービスの発展に合わせてPHSとの融合という方向を打ち出している商品群だ。

一方、昨年のCOMDEXで正式に発表され、同時にカシオなどのメーカーから発売が開始されたHPC（Handheld PCの略）は、マイクロソフト社のWindows95のサブセットOSである"WindowsCE"（CEとはConsumer ElectronicsともCompact Editionとも言われるが、マイクロソフト自身はそのどちらであるともないとも発言していないようだ）を積んだ携帯マシンである。一見HPの200LXのような外観だが、まがいなりにも95直系のGUIを実現しており、Word／Excel／Internet Explorerの"ポケット"版を標準で搭載している。マイクロソフトのやることだから、当然のことながらOSのライセンス商売で、現在7社のハードウェアメーカーが名乗りを上げている（NEC / カシオ / Compaq / HP / 日立 / LG / Philips。すでに発売を開始しているのは最初の3社のみ）。ソフトウェアも、早くも数十社からリリースされているが、主に米国内でのページングサービスなど地域限定の通信サービス関連のソリューションと絡んだソフトウェアが多い。言い遅れたが、WindowsCEは現在まだ英語版のみしかなく、日本語版HPCがお目見えするのは早くて今年の初夏（6〜7月頃？）であるという。
日本で既に発売されている英語版HPC、カシオの"カシオペア"（今までになかった のが不思議なくらいハマるネーミングだ）は、残念ならがモデムを内蔵していないの で、通信したければPCMCIAスロットにモデムカードを差すことになる。しかし、Philipsが「今上半期中に発売」としている"Velo1"は独自チップによる技術でソフトモデムを内蔵、14.4Kbpsでの通信ができる。Velo1が日本語で通信できれば、ACCESSザウルスといい勝負だろう。しかし、Philipsは日本でHPCを販売する計画を明らかにしていない（というか、日本では発売しないようだ）。HPC日本語版は、NEC、カシオ、日立、Compaqあたりは確実に出してくると思われるが、問題は時期、そして何よりも機能である。まだ見えないHPC日本語版もまた、期待大ではある...。

さて現在日本のPDA市場を独占中のZAURUSだが、ここ数年の進化の結果、現在はインターネット接続もできる「カラーZAURUS」のライン、モデムを内蔵し最新機種ではFAXの受信（従来は送信だけだった）も可能になった、パソコン通信に強いビジネスマン向け携帯情報ツール「ACCESS ZAURUS」、そして最も小型軽量で情報の参照や素早いメモなどの活用に重点を置いた「WIZ」の3ラインとなっている。 「WIZ」は通信端末としての機能は持たないため「インターネットや携帯電話」とは無関係だが、「パソコンとの連携が可能な、安価で最軽量のPIMマシン」として商品のポジショニングは絶妙だ。例えば、情報端末としてはやや大型になってもサブノートなどを持っている人が、PIMにはWIZを使う、というようなことは良くあるだろう。携帯端末を使い込む人種は、特に日本ではそもそもこういう小物が好きでしょうがない人間が多いらしい。一人で何台でも端末を持っている人は結構多いだろう（と言っても、実用上常に使っているものはどんなに多くても3つ程度が限度と思われる、でないとPIMなどは意味をなさない）。